「親和性」という言葉を使ったことはありますか? もともとは物理・化学系分野で「化学反応により、物質同士結びつきやすい性質」という意味で使われていた言葉ですが、近年では「人や物の関係性や相性のよさ」を指す言葉として認知されています。今回は「親和性」の例文や言い換え表現をご紹介しながら、この言葉がビジネスシーンにおいてどのように使われているのか、解説します。
【目次】
【「親和性」を正しく理解するための「基礎知識」】
■読み方
「親和性」は「しんわせい」と読みます。
■ビジネスにおける意味は?
もともと「親和」という言葉は、ふたつの意味があります。
・互いになごやかに親しむこと。なじみ、仲よくなること。
・異種の物質がよく化合すること。
物理・化学系分野では、「親和性」は「ある物質が化学反応によって、特定の物質と結合しやすい性質」のことを指していますが、一般的には「物や人を組み合わせたときの相性のよさ」を表す言葉として認知されています。ビジネスシーンにおいては特に、組織と組織、商品とマーケット、戦略と組織など、組織をはじめとする複数の対象同士の相性がよいことを表す際に使われる言葉です。
では次に、例文で使い方を見ていきましょう。「親和性」の意味がイメージしやすくなるはずです!
【ビジネスでの「使い方」がわかる「例文」5選】
「親和性」は、「親和性が高い・低い」「親和性がある・ない」のように使われるのが一般的です。
■1:「スポーツ中継とSNSは親和性が高い」
IT分野において「親和性」という言葉は頻繁に使われます。確かに、リアルタイムで状況や結果、感想をアップできるSNSは、刻々と戦況を変えるスポーツ中継との相性は抜群ですね!
■2:「現状のハードウェアと新たなシステムの親和性は非常に重要だ」
コンピューター業界において、ハードウエアとソフトウエアの親和性は常に最優先課題です。
■3:「ヒット商品が生まれる条件は、斬新なアイデアとマーケットニーズとの親和性の高さが不可欠だ」
マーケットの分野でも「親和性」はよく使われます。
■4:「新しい家具は、現在のインテリアとの親和性を重視して選んでほしい」
■5:「一見まったく違うタイプのように見えるが、意外にも彼と私の親和性は高いので、よいパートナーシップが結べそうだ」
人間関係においても、「相性がよい」という意味で「親和性」が用いられます。
【「親和性」の「類語」「言い換え」表現】
「親和性」の類語にはどんなものがあるでしょう。
■相性
「相性」とは「気が合うこと」。人だけでなく、複数の対象がもつ性格や性質が合うかどうかを表す言葉です。「親和性」と同じような意味で使われますが、「相性が高い・低い」とは言いません。
■マッチング
「マッチング」は「組み合わさったものが釣り合うこと」、「調和」という意味の言葉です。
■シナジー
「シナジー効果」という言葉として使われることが多く、「相乗効果」を指します。そもそもは生理学の用語でしたが、現在ではビジネスシーンで、企業の合併・買収や提携などの際に使われます。
■融和
「融和」とは「打ち解けて仲良くなること」。「プロジェクトの成功のために両社の融和を図る」のように使われます。
■波長
「波長」とは、電磁波や音波などの波動で「波の山から次の山、または谷から次の谷までの水平距離」のことですが、人間関係では「互いの気持ちや意思などの通じ具合」を指す言葉です。
【「親和性」を「英語」で言うと?】
「親和性」は[affinity]で表すことが可能です。[affinity]には「親和性」という意味のほかに、類似点、類縁性、姻戚関係、親近感、密接な関係などの意味があります。「親和性が高い」は[have a high affinity]です。
・She and I have an affinity for [to] each other. (彼女と私は相性がいい)
【「親和性」を使う際の注意点】
■「親和性」は「親しみやすい」「馴染(なじ)みやすい」という意味では使えない。
「親和性」は複数の組織や人、物同士の相性を形容する際に使われる言葉です。「彼女は親和性の高い性格だ」のようには使えませんので注意が必要です。
***
「親和性」は複数の対象同士の相性を形容する際に使われる言葉です。「相性がいい」と言うよりも、「親和性が高い」という表現のほうが改まった印象で、信憑性も高そうに感じられるから不思議です。上手に使いこなしましょう!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)/『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館)/『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) :