「律儀」は「義理堅い」や「正直で真面目」という意味の言葉です。少々古風な印象の言葉でもあり、意味が曖昧になっている人も多いのでは? 今回は「律儀」について、その意味や使い方を詳しく解説します!
「【目次】
【「律儀」を正しく理解するための「基礎知識」】
■読み方
「りちぎ」と読みます。「りつぎ」とも読みますが、その場合は異なる意味になるので注意しましょう。
■意味
「律儀(りちぎ)」は「非常に義理堅いこと。実直なこと」「馬鹿正直なこと」。古くは「健康なこと。丈夫なこと」という意味でも使われていました。一方、「律儀(りつぎ)」は主に仏教用語で「悪行または過失に陥ることを未然に防ぐはたらきのあるもの。善行のこと。また、善行を行うよう定めた戒法」を意味します。
■ 「律儀」「律義」ビジネスではどちらが正解?
『日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』ともに、「りちぎ」を検索すると、「律儀」と「律義」は併記されています。どちらも正しい表記です。
■「ほめ言葉」と言える?
「律儀」が意味する「義理堅い」とは、「対人関係において人として守るべき正しい道を大切にすること」。誠実な人柄を表現する「ほめ言葉」であると言っていいでしょう。ただし、「律儀すぎる…」などと使われた場合、「(正直すぎて)融通が利かない」「そこまでやらなくても…」といったニュアンスが添えられていることも。注意してくださいね。
【「律儀な人」の具体的な「特徴」は?】
■ルールに忠実
■約束を守る
■誠実
■稀(まれ)に正直すぎて融通が利かない
【「律儀」の「使い方」がわかる「例文」5選】
■1:「道で拾った100円玉を交番に届けるとは、彼女も律儀な性格だ」
■2:「初めて会ったとき、彼は『律儀な働き者』という印象だった」
■3:「数年前、少々手助けをして以来、彼女は盆暮れの挨拶を欠かしたことがない。今どき珍しいくらいの律儀者だ」
■4:「律儀者(もの)の子沢山(こだくさん)」とは、「律儀者は品行方正・家内円満なので、自然に子どもが多く生まれる」という意味のことわざだ。
■5:「律儀なのは彼の長所だが、ときに少々真面目すぎて、融通が利かないことも事実だ」
5は「律儀」が少々ネガティブな意味で用いられた例です。例えば、ワリカンにしたランチ代。1円単位のやり取りに、「律儀ね〜」と言われたときは「ちょっとめんどくさい」というニュアンスが加わっているかもしれませんよ。
【「律儀」の「類語」「言い換え」表現】
■類語
・謹厳(きんげん)
・実直(じっちょく)
・実体(じってい)
・義理堅い
「謹厳」も「実直」も「正直でまじめなこと」という意味が「律儀」と共通しています。使い分けとしては、「謹厳」は、非常にまじめで軽い浮わついたことは好まないこと。「実直」は、「誠実で真面目」を意味します。そして、「律儀」は、義理堅い点で真面目なことです。「実体」は「正直で真面目なこと」を示す言葉ですが、古風な言い方で今はあまり使われていませんね。「律儀」は「非常に義理堅いこと」を意味しますので、義理堅さの程度では、「義理堅い」よりも「律儀」が上と言えます。
■対義語
・不義理
・不真面目
・恩知らず
「不義理」とは「義理を欠くこと」。「不真面目」は「まじめでないこと」。どちらも実直さを意味する「律儀」とは正反対の意味の言葉ですが、「不義理」は日常会話ではあまり用いられない、主に書き言葉です。また、「恩知らず」は「受けた恩に感謝せず、報いようともしないこと。また、そのような人」のことです。
【「英語」で言うと?】
「律儀」の「忠実さ」や「誠実さ」を英語で表現すると[faithful]となります。
・He faithfully comes every year to offer New Year's greetings.(彼は毎年律儀に年始の挨拶に来る)
「正直な」「誠実な」という意味で、[honest]も「律儀」の英訳に使えます。
・He is always honest with his children.(彼は子どもたちにいつも誠実だ)
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「律儀」は「義理堅い」を意味するほめ言葉です。ただし、「そこまでしなくても…(融通が利かないな)」というニュアンスを含んだ使い方をされることもあります。特に「律儀すぎる」といった表現には要注意です。とはいえ、本来「律儀」であることは人として理想とする姿のひとつです。少々不器用に見えるほどの誠実さは、世知辛いと言われる現代に、むしろ眩しく映るものです!!
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) :