「結ねる」ってなんと読む?「ゆねる」ではありませんよ!
明日、4月27日は、古代ギリシャの哲人・ソクラテスが毒杯をあおいで亡くなった…という俗説から、『哲学の日』と呼ばれています。ソクラテスは紀元前の人物ながら、彼の唱えた『無知の知』は、現代にまで知られている普遍の概念であり、彼の名は、哲学のいしずえを築いた大偉人として語り継がれています。門下にも、プラトン、アリストテレスといった、これまた偉人が名を連ねておりますが、ソクラテスの関係者の中でも、ちょっと不名誉な方向性で有名なのが、妻のクサンティッペです。真偽は定かでないものの「悪妻」として有名で、ソクラテスの忌日を『悪妻の日』と呼ぶ向きまであるそう。
しかし、プラトンの著書『パイドン』には、クサンティッペが獄中のプラトンに会いに行き、弟子たちの前で嘆き悲しみ、取り乱す描写があります。夫婦関係というのは、部外者にははかり知れないものですよね。ということで本日は「結」「婚」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「結ねる」ってなんと読む?
「結ねる」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「集めてひとまとめにする。むすぶ。しばる」などの意味をもつ言葉です。
<使用例>
「古新聞は、結ねてから資源ごみに出さないと…」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 結ねる(かたねる)です。
「かたねる」という響きが、強く固くむすぶイメージを想起させますね。ちなみに、「結ねる(かたねる)」には、「その昔、公家有職であった結政(かたなし)を行う作法のひとつとして政にあずかるべき申し入れ文の要旨を読み上げる」という意味もございました。さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「婚星」ってなんと読む?
「婚星」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「流星」の異名です。
<使用例>
「婚星とは、なんともロマンティックな呼び名ね」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 婚星(よばいぼし)です。
「よばい」というと、現代は、「夜、異性の寝所に忍び込む」さらに「情を通じる」などの意味で知られる言葉ですが、もとは「呼ばう(よばう)」という古語から転じた言葉で、「呼ばう」には「恋しい相手を呼ぶ。求婚する」という意味がありました。また、流星はその昔、「恋しい人を思う心が星となり、相手のもとへ飛んでいく姿」と思われていたのだとか。ゆえに「婚星(よばいぼし)」です。『枕草子』にも、「よばひぼし 尾だになからましかば(=流星に尾なんてないほうがいいのに」という記述が登場しています。清少納言は「恋しい人を想ってひっそり流れる星なのに、尾なんて派手な光を放たないほうがいいってものよね!」というような感想を述べているのです。
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本日は、4月27日『哲学の日』の豆知識と、「結」「婚」という字の入った日本語から、
・結ねる(かたねる)
・婚星(よばいぼし)
の読み方、言葉の背景をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
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- 参考資料:『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『日本大百科全書(ニッポニカ)』(株式会社小学館)/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)/株式会社岩波書店ウェブサイト/『パイロン』プラトン著、岩田靖夫訳(株式会社岩波書店)/『日本の古典をよむ(8)枕草子』松尾聰翻訳、永井和子翻訳(株式会社小学館)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱