雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、サステイナブル観光にまつわるアクションをつづける、ハイデルベルクマーケティング社のマーケティング&コミュニケーション長、リザ・アントニエッタ・ガロさんの活動をご紹介します。

リザ・アントニエッタ・ガロさん
ハイデルベルクマーケティング社 マーケティング&コミュニケーション長
ハイデルベルク大学で語学を修める。10年ほど教育関係に関わったあと、'16年にハイデルベルクマーケティングへ。同市の経済科学委員会の専門家と、研修訓練・労働同盟の広報分野モデレーターも兼任している。

古城巡りで人気のハイデルベルクをサステイナブル観光のパイオニアに

環境問題への意識が高い国ドイツのなかでも、ハイデルベルク市は、持続可能な街づくりにおいては先駆者といえる。市が「住民そして観光客が緑に囲まれた環境で安らぎ、新鮮な空気の中で過ごすことができる街に」という都市開発計画を策定したのは1997年のこと。そして現在、リザさんが所属するハイデルベルクマーケティング社は、市と協働で持続可能のためのさまざまなプロジェクトを展開している。

「観光におけるマーケティング全般が私たちの仕事ですが、なかでも“ペーパーレス化”は、長期にわたって取り組み、ようやく成果が出てきた戦略です。’19年からすべての書類やパンフレットをデジタルあるいは高品質の環境用紙に切り替え、その年は木材12トン、水30万リットルを節約。’23年にはホテルやツアーの申込書、交通機関や公共施設への入場割引券などのフライヤーといった印刷物もなくなりました」

そして今年1月、シュトゥットガルトで開催された世界最大級の国際旅行見本市「CMT」で、リザさんたちは業界初の取り組みとして「完全ペーパーレス化」をアピール。大きな注目を集めた。

「これにより木材55トン、水1300万リットル、電力量13万キロワットの節約に成功しました」

市民の健康増進だけでなく観光客にも快適な時間を、と、大気汚染防止や騒音対策にも注力する。

「人口16万人のハイデルベルク市を訪れる観光客は年間約1390万人。現在は、コロナ禍とウクライナ戦争の影響からどう回復していくのかも大きな課題です。サステイナブル観光(※)のモデル都市として、SDGs達成に向け世界をリードしていきたいですね」

【SDGsの現場から】

●愛の南京錠はこちらへ!遊び心も大切

サステナブル_1,インタビュー_1
石橋に南京錠を付けることは、安全性や環境への配慮で禁止に。代わりに付ける碑を設置した。

●お土産にもサステイナブルなひと工夫を

インタビュー_2,サステナブル_2
根元にひまわりの種やチアシードを埋め込んだ鉛筆。使用後土に埋めれば植物が生えてくる。

サステイナブル観光とは…国連世界観光機関(UNWTO)も推進するサステイナブル・ツーリズム。自然環境やそこに暮らす人々への負荷に配慮した観光のこと。

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PHOTO :
Horst Stange
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
Noriko Spitznagel