雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。

今回は、保護犬の短期里親コミュニティ「Muddy Paws Rescue」を立ち上げたレイチェル・ジーリングさんの活動をご紹介します。

レイチェル・ジーリングさん
「Muddy Paws Rescue」代表
幼い頃から犬好きで、プロのミュージシャン、音楽教師として仕事をしながら保護犬活動にも参加。’16年に「飼い主も犬も末永く幸せでいられる出会いを」と、保護犬の短期里親コミュニティ「MPR」を立ち上げる。

保護犬の短期里親コミュニティで人にも犬にも持続可能な幸せを

レイチェルさんが主宰する「マッディ・パウズ・レスキュー」は、保護犬の短期里親を探すサービス。シェルターから引き出した、あるいはシェルターがいっぱいでとりあえずの行き先すらない犬たちを飼い主が見つかるまでの間、2〜3週間飼育する里親システムを形成。’16年の立ち上げから現在まで7000頭以上の犬たちの命を助け、幸せな居場所を見つけてきた。登録中の里親は1000ファミリーを超える。

「里親のもとにいる間に、その犬が都会の生活に適応していけそうか見ることができます。また、シェルターでは発見できなかった細かな問題や性格を把握することで、適切な飼い主につなげることもできる。大型犬種や特別な医療が必要な犬、老犬にも対応できます。同時に、限られた住環境や忙しいライフスタイルのなかで、犬を飼えない人も多いN.Y.では、短期間の里親を希望する人の数は想像以上に多いという現状もありました。無理せず、自分の環境や気持ちにゆとりをもちながら動物と付き合えるチャンスを提供する。それは、人と犬の両方にとって、幸せな選択になると信じて活動を続けています」

SDGs目標15に「陸の豊かさを守ろう」(※)とある。具体的には地球の生態系を守ることを設定しているが、レイチェルさんは保護犬活動も豊かな地球コミュニティづくりにつながると力強く説く。

「人間に最も近い生き物であるペットの健全な生活も見過ごすことはできません。犬と人間のハッピーで持続可能な関係性の構築も、さらに追求されるべきです。SDGsの項目に掲げられたことで、動物保護のやり方や考え方も進化していくと思っています」

【SDGsの現場から】

●大型犬や老犬など飼育が難しい犬たちの居場所も

サステナブル_1,インタビュー_1
都会では飼育が難しい大型犬にも対応。市のアニマルケアセンターとも連携して居場所を探す。

●1頭1頭の特徴を丁寧に伝えていく

インタビュー_2,サステナブル_2
飼い主募集中の保護犬たちを紹介するリーフレット。昨年オープンの本部施設にも置いてある。

SDGs目標15「陸の豊かさを守ろう」とは…森林破壊や砂漠化、土地の劣化などへの適切な対応によって、陸上の生物多様性のこれ以上の損失を阻止しよう、ということがテーマ。

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PHOTO :
Hiroshi Abe
WRITING :
剣持亜弥(HATSU)
EDIT&WRITING :
正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
取材 :
Junko Takaku