『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。今回は、犬走さんが長年買い足し、買い足し、愛用し続けている「J.M. WESTON(ジェイエムウエストン)」のローファーにフォーカスを当て、ファッションのプロならではの選び方、そして着こなし方のポイントを伝授していただきます。

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)本誌をはじめ数々の女性誌や女優のスタイリングを手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目を集める。

犬走さんのこだわりが詰まった「パーソナライズド・エディション」

フランスの名門シューメーカー「ジェイエムウエストン」。メゾンを象徴する『180 シグニチャーローファー』は、ローファーの永遠の名品として愛され、憧憬を集めています。トラッドをベースにトレンドを加味したコーディネートが、自身の私服スタイリングの核である犬走さんも『180 シグニチャーローファー』を長年愛用しているファンのひとり。

「最初に購入したのはこげ茶のローファーでした。手入れをしながら大切に履き続けてきたのでかなり長くもって、“十分履いたな”というところまで愛用しましたね」(犬走さん)

犬走さんの『180 シグニチャーローファー』コレクションのなかで、現役で活躍しているのは3足。すべて、サイズはもちろん、カラーや素材、ソールやディテールもカスタマイズできる「パーソナライズド・エディション」による、いわば“犬走オリジナル”です!

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ウイメンズは3型から選ぶことができる「パーソナライズド・エディション」。フランス・リモージュの工場で、メゾンが誇るクラフツマンシップによって製作される。

元来高価な「ジェイエムウエストン」のローファー、「パーソナライズド・エディション」となるとさらにお値段は張りますが、犬走さんはその価値があると語ります。

「名門シューメーカーならではの豊富なレザーラインナップから好みを選んで、自分だけの1足をオーダーするという ── 大人の贅沢ではありますよね。でもその過程も楽しいですし、オーダーしてからでき上がるまで数か月待つことになりますが、その時間もオーダーの醍醐味。普段からこまめに手入れをし、またソールの張り替えなど定期的にケアをお願いすれば一生ものになりますし、決して高過ぎる買い物ではないと思うんです」(犬走さん)

犬走さんが『180 シグニチャーローファー』を合わせるのは、基本的にはパンツスタイル。

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シンプルな白シャツに、サイドにラインが入ったグレーのパンツというカジュアルなコーディネートに、ローファーの名品オーラがさりげなく品格を添えて。

「メンズシューズという出自をもつローファーですから、やはり自然にマッチするのはパンツです。ローファーに限らず足元はボトムスと同系色、あるいはそれに近い色味でつなげて。下手に靴で“差し色”などはせず、パンツから靴へ流れるようなグラデーションをつくるのが、スタイルアップ、そして洗練への王道です」(犬走さん)

完璧な美しさを湛え、フレンチエレガンスを描き出すローファー3足

「ジェイエムウエストン」のローファーの最大の魅力は「頑ななまでにブレないところ」と語る犬走さん。

「1946年の誕生以来、タイムレスに輝き続ける『180 シグニチャーローファー』は、フォルムから細部のつくりまで完璧な美しさ。静謐な風格を漂わせながらも日々のコーディネートにさりげなく寄り添ってくれる、これぞ名品だと思います」(犬走さん)

■1:レアなライトグレーのパテントカーフ

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凹凸がある厚めのラバーソールでよりカジュアルな雰囲気に。

ライトグレーのパテントカーフという珍しいマテリアルの1足は、ビブラム風のラバーソールで履きやすく、スニーカー感覚で取り入れられるお気に入り。

「パテントのほうが柔らかく足当たりもいいので、履いていてすごく快適です。スニーカーを合わせがちなカジュアルスタイルも、このローファーでコーディネートを仕上げれば一気に洒脱さが加速します」(犬走さん)

■2:最愛ネイビーコーディネートと相性抜群のオリーブグリーン

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オーダーの際、ちょうど来日していたデザイナーのミッシェル・ペリー氏がシューキーパーにサインをしてくれたという思い出の品。

犬走さんの私服コーディネートのメインカラー、ネイビーはもちろん、さまざまなベーシックカラーのボトムスにマッチするのがこのオリーブグリーン。

「パテントカーフのほうが私には履き心地よく感じるので、たくさん歩くときにはあまり履いていないというのは写真を見ておわかりかと思いますが(笑)。この絶妙なグリーンのニュアンスが本当に気に入っています」(犬走さん)

■3:10年弱履き続けても余裕で現役のブラックのパテントカーフ

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飴色に経年美化したインソールも名品の証。

今回の3足のなかで最も長く、そして季節問わず愛用しているのが、上品な艶が印象的なこのブラックのパテントカーフ。

「これは本当にコーディネートの幅が広く重宝しています! ローファーはパンツのほうがスタイリングしやすいけれど、これに関してはスカートでコーディネートすることも多いですね。今の季節は寒暖差が激しいからソックスを合わせたりもしています。シンプルなホワイトのソックスでもいいし、先日、少し肌寒いと感じた日はグレーのリブっぽいハイソックスを合わせました」(犬走さん)


犬走さんのシュークローゼットのなかにある数ある靴のなかでも、中心的存在を占めている「ジェイエムウエストン」のローファー。フランスの洗練を宿す名品のエレガンスを、コーディネートのエッセンスとして自在に取り入れている犬走さんのスタイルを参考に、初夏のカジュアルをクラスアップしてみませんか?

※私物に関しての各ブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

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PHOTO :
黒石 あみ(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生