【目次】

【「腹黒い」とは?「意味」】

「腹黒い」は「心の中で悪巧みをしている」「陰険で意地が悪い」という意味の言葉です。「腹」には、身体的なパーツを指すほか、「心中」「本心」といった意味があります。つまり、「一見、善良そうに見える」あるいは「優しそうに見える」けれども、見かけによらずお腹のなかには黒いもの(邪悪なもの)を抱えている…そんな人を「腹黒い」と言うのです。あまり関わりはもちたくないタイプの人ですね! 


【「英語」で言うと?】

「悪い人」であれば、シンプルにa bad person]で表現できますが、日本語の「腹黒い」のように“外面と内面のギャップ”までは伝わりません。ここに「見かけによらず」というニュアンスを加味すると、[black-hearted]、[wicked]などになります。
[black-hearted]はまさに「邪悪な」という意味の単語で、現代英語ではやや文学的で、かつ強い響きがあり、日常会話ではあまり使われません。一方、[wicked]は「邪悪な」「いたずら好きな」という意味。文脈によっては「めちゃくちゃよい/すごい」(スラング)といった意味にもなるので、注意が必要です。
なので、「腹黒い」を自然な英語で表現するとなると、

・She is scheming something.(彼女は悪巧みをしている)

・He is two-faced(彼は二枚舌だ/表裏がある人だ)

・he is scheming.(彼女は企み深い人だ)

・He is a devious person.(彼はずる賢い人だ)

あたりが妥当といえます。


【「対義語」は?】

「腹黒」の反対、つまり「心の中が清く正直であること」を表す言葉には「腹白(はらじろ)」がありますが、あまり一般的ではありませんね。広義には、「善良」や「真面目」「誠実」などが、「腹黒い」の対義語と言えるでしょう。


【「類語」「言い換え」表現】

「類語」を知っておくと、「腹黒い」への理解がさらにまります。

■悪賢い

■ずる賢い

■小賢(こざか)しい

■狡猾(こうかつ)

この4つの言葉と「腹黒い」に共通する意味は、「悪いことに対してよく知恵が回る」ことです。ただしニュアンスには違いがあります。

  • 「腹黒い」は、表面上は善良そうに見えながら、心の奥で悪意や企みを抱えていることを指します。

  • 一方、「悪賢い」「ずる賢い」「小賢しい」は、頭がよく回るものの、その知恵が悪い方向に使われていることを表します。特に「ずる賢い」は日常的に使われ、「小賢しい」は軽蔑をこめて“ちょっとした知恵をひけらかす”ニュアンスがあります。

  • そして、「狡猾」は、抜け目なくずるいさまを示す、やや硬い表現です。

つまり、「腹黒い」が心根の黒さに焦点を当てているのに対して、ほかの語は知恵や行動のずるさに重きを置いている、という違いがあるのです。

また、日常会話では、「二枚舌」や「計算高い」も使われやすいです。


【「腹黒い人」の具体的な「特徴」は?】

「腹黒い人」とは、できれば関わりを避けたい存在です。外見や表面上の態度だけでは判断できませんが、いくつかの共通する特徴があります。

■相手によって態度を変える。

■お世辞はうまいが、本音は明かさない

■不利な状況になると姿を消す

■狡猾で計算高い

■出世欲など上昇志向が強い

■噂の発信源になりやすい

■自分のことは話さない割に詮索好き

■表では同調、裏では否定

■都合のいいときだけ仲良くする

■正義感ぶるが、本心は自己利益優先

***

「腹黒い」はネガティブな意味で使われることが多い言葉です。誰かを評価するときに軽々しく口にすれば、人間関係に亀裂を生む可能性もあるため、慎重に使うようにしましょう。

また、もし「この人、腹黒いかも…」と思う相手が身近にいたら、適度な距離感を保つのがベターです。最低限の仕事や必要なやり取りにとどめ、相手の愚痴や悪口に安易に同調しないことが大切です。巻き込まれると、自分まで信用を失う恐れがあります。

最後に意識しておきたいのは、「腹黒さ」も人の一面にすぎないということ。相手を断定的にラベル付けせず、あくまで自分の身を守るスタンスで接することが賢明です。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) :