旅の行き先ランキングで1、2を争う人気の北海道。本州とはスケールの異なる雄大な自然や、ご当地グルメなどさまざまな魅力に溢れますが、実は日本で一番、温泉地が多いスポットでもあるのをご存知でしょうか。旅行の際は、北の大地から湧き出た湯のよさもたっぷり堪能したいところです。
そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに、北海道の名湯をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、檜山郡江差町(えさしちょう)にある「江差旅庭群来(えさしりょていくき)」です。
公式サイト
全客室に源泉かけ流しの温泉付き!海沿いの町で上質な寛ぎ時間を過ごす
北海道の南西部に位置し日本海に面する江差町。江戸時代にニシン漁や交易で栄え、北海道文化発祥の地ともいわれています。豊かな自然に包まれた古い港町・江差にて、コンクリート塀に囲まれたスタイリッシュな湯宿が「江差旅庭群来」です。全7つの客室は離れのような造りで、各部屋では源泉かけ流しの天然温泉を誰にも気兼ねすることなく堪能できます。
「旅庭群来で特筆すべき点は、まずは外観。江差はのどかな港町なのですが、そのローカルな風景とは対照的な無機質なコンクリート外壁は、いい意味で違和感があり、インパクト大です。建物は塀の外からはほとんど見えず、一見すると旅館というよりはまるで城塞のよう。コンクリート壁に挟まれた迷路のようなアプローチ(一本道なので迷子になることはありませんが)を通って玄関に向かう最中も、非日常感にワクワクが止まりません」(植竹さん)
「この超個性的な宿を設計したのは、札幌を拠点に世界的に活躍する建築家の中山眞琴氏。外観だけでなく、建物内部にも魅せる演出が随所にあります。旅行好きでさまざまなタイプの施設に宿泊経験のある人にとっても、旅庭群来は新鮮味があり感性が刺激されるのではないでしょうか」(植竹さん)
「館内からの景色の見せ方も実にユニーク。旅庭群来では、あえて窓が低めの設計で、座ると窓越しに玉砂利を敷き詰めた中庭、その向こうにコンクリート塀、そして海がちらりと見えます。7室限定で小学生以下は宿泊不可ということもあってか、ここは本当に静か。日常の喧騒を忘れられる環境にて、センスと風情を感じさせる眺めにも癒されました」(植竹さん)
「この洗練された空間にて、上質な湯を満喫できるのも旅庭群来の魅力。大浴場はなく、全ての客室に源泉かけ流しの内風呂を備えています。泉質は、ナトリウム-炭酸水素塩・硫酸塩泉。炭酸水素塩泉は古い角質や皮脂などの汚れを優しく落とす作用があるといわれており、硫酸塩泉は血行を促進し、しっとりふっくら肌になる効果が期待できます。美肌要素を詰め込んだ湯を客室で独り占めできるのは贅沢の極み。こぢんまりとした浴槽でじっくりとよき湯に向き合うことができました」(植竹さん)
鮮度に感動!地産地消を極限まで突き詰めた創作懐石料理が絶品
羊・地鶏・卵・野菜・山菜は、自家農場の拓美ファームで丹精込めて育てられたもの。海産物は、宿の目の前の江差港から水揚げされたばかりのもの。旅庭群来では、地産地消に徹底的にこだわった創作懐石料理も自慢です。
「まず、印象に残っているのは自家農場産のラム肉。くさみがあるからとラム肉に苦手意識をもつ人にもここのラム肉は食べなきゃもったいないと力説したいくらいです。まるで高級和牛かそれ以上の旨味が感じられ、一般的なイメージのラム肉とは全く別物といっても過言ではありません。石の鉄板で自分で焼くスタイルだったのですが、あえてレア感を残すのがおすすめです」(植竹さん)
「江差は鮑の養殖業が盛んなこともあり、鮑のボリュームがあったのも印象的でした。とうもろこしもびっくりするくらい甘くてジューシーだし、北海道の自然の恵みを食べ尽くした感があります。 きわめつけはシメで出てきた鮭茶漬け。3か月も熟成させた特製の鮭を使っているというお茶漬けは、出汁の風味が格別で、余韻に浸れる一杯でした」(植竹さん)
以上、「江差旅庭群来」をご紹介しました。客室のお風呂で天然温泉を満喫するもよし。海を眺めながらただのんびり過ごすもよし。大人の隠れ宿で心身をリフレッシュしたい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。
問い合わせ先
- 江差旅庭群来
- 住所/北海道檜山郡江差町字姥神町1-5
客室数/全7室
料金/1名 ¥44,150~(税込) - TEL:0139-52-2020
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- WRITING :
- 中田綾美
- EDIT :
- 谷 花生