「浅慮」とは、「考えが浅いこと」や「浅はかな考え」を意味する言葉です。日常会話で使われることはあまりありませんが、漢字から意味が推測可能ですね。でも、なんとなくわかっているつもりも、いざ説明しようとすると理解があやふやなのでは?また、読み方はわかるでしょうか。謝罪のシーンでもよく使われる言葉ですから、誤用は禁物。この際に正確な意味や使い方、間違いやすい用法を頭に入れておきましょう。

【目次】

「慮」の文字には「思慮」という意味があります。
「慮」の文字には「思慮」という意味があります。

【「浅慮」の「読み方」「意味」】

■読み方

「浅慮」は「せんりょ」と読みます。

■意味

「せんりょ」という言葉には、あまり馴染みがない人も多いのでは? でも、「思慮」はよく使う言葉ですね。ふたつの言葉に共通する「慮」は、「おもんぱ(ば)かり」とも読み、「考えを巡らすこと。また、その考え」といった意味で、「慮」ひと文字でも「思慮」という意味を表します。つまり、「浅慮」は「考えが浅いこと。浅はかな考え」ということになるのです。また、「浅慮」は主に文章中で「自分の考え」をへりくだって表現する際にも使われます。


【「浅慮な人」「浅慮な考え」とはどういうこと?】

■「浅慮な人」

「浅慮な人」は、物事を深く考えないで行動したり発言したりする人のこと。ネガティブなニュアンスで使われます。ほかに「浅慮」は、「浅慮な発言」「浅慮な行動」「浅慮な言動」「浅慮な判断」のように使われますよ。

■NG:「浅慮な考え」

「浅慮」は「浅はかな考え」という意味です。従って、「浅慮な考え」では意味が重複してしまいます。


【「使い方」がわかる「例文」6選】

「浅慮」は主に文章で使われる言葉です。へりくだり相手を立てる意味合いに加え、改まった印象を与えるため、謝罪文でよく用いられます。

■1:「今回の失敗は私の浅慮の致すところです。大変申し訳ありませんでした」

■2:「今回の不手際は私の浅慮の至りと恥じ入っております。大変申し訳ございませんでした」

■3:「私の浅慮からご不快な思いとご迷惑をおかけしまして、大変申し訳なく思っております」

■4:「自分の浅慮な判断が、周囲への混乱を招いたと深く反省しております」

自分の考えを「浅はかな考えではありますが…」と謙遜し、「浅慮」を使用する際の例文もご紹介しましょう。クッション言葉として活用すると、自分の意見を述べつつ、目上の方に配慮した印象を与えることができます。

■5:「浅慮とは重々承知しておりますが、意見を述べさせていただきます」

■NG:「今回のミスを深く反省し、今後は浅慮せぬよう気を付けます」

「浅慮」は「浅慮する」のように、動詞としては用いられません。誤った言葉遣いでは、せっかくの謝罪の言葉も、誠意が伝わりません。ご注意くださいね。


【「類語」「言い換え」表現は?】

■浅薄(せんぱく)

■短慮(たんりょ)

「浅慮」は知識や考え方、思慮などが浅はかなことや、浅はかな知識や考えそのものを指すのに対し、「浅薄」「短慮」は、知識や見識などが浅い様子も含みます。また「短慮」には「気が短い」という意味もあるので、前後の文脈次第で意味を読み違えないよう注意しましょう。

■軽率 ■軽はずみ 

「軽率」は「物事を深く考えずに軽々しく行うこと」。「軽はずみ」は、「うっかりと物事を行ってしまうような様子」です。考えが浅いだけでなく、行動に移してしまうことまでを含みます。

■短絡的

「短絡的」は「物事の本質や筋道を深く考えずに、原因と結果などを性急に結びつけてしまう様子」です。考えが浅いことは「浅慮」と共通しています。こちらは日常会話やメールなどのビジネス文書でも見聞きする単語ですね。


【「対義語」は?】

では次に、「考えが浅いこと」「浅はかな考え」という意味の「浅慮」と、反対の意味をもつ言葉を考えてみましょう。

■深慮(しんりょ)

「深慮」とは、文字通り「深く考えをめぐらすこと」、「深い考え」という意味の言葉です。「浅い」と「深い」は反対語ですから、わかりやすいですね!

■熟慮

■熟考

「熟慮」の「熟」には「十分に」「よく知る」「素晴らしい」などの意味があります。つまり「熟慮」は「よくよく考えること。いろいろなことを考えに入れて、念入りに検討すること」を意味します。よく似た言葉の「熟考」は「念を入れてよく考えること」で、「熟慮」とほぼ同じ意味です。

■思慮深い

「思慮深い」は「物事を注意深く、十分に考えるさま」。「思慮深い性格」のように使います。


【「浅慮」が入った四字熟語を知ってる?】

■浅慮遠望(せんりょえんぼう)

四文字熟語としては少々難易度の高い言葉ですね。 「遠望」とは、「遠くを望み見る」という意味の熟語です。つまり「浅慮遠望」とは、「浅い考えで将来(遠く)を見据えること」。たいした根拠なく未来設計を立てる際に使われます。対義語は…おわかりですか? 「深慮遠望」? 惜しい!「深慮遠謀(しんりょえんぼう)」です。「遠い将来のことまで考えて周到にはかりごとを立てること」という意味で「深謀遠慮」とも言いますよ。

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「浅慮」には謙遜のニュアンスが含まれているため、相手を立てつつ、控えめに主張したいときにも使える言葉です。取引先へのプレゼンの際など、うまく活用してみてはいかがでしょう。知的な印象を与えることができるかもしれません!

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