「父事」ってなんと読む?「ちちこと」「ちちじ」ではありませんよ!

明日は6月の第3日曜日『父の日』ですね。『父の日』は、1909(明治42)年、アメリカのワシントン州に住むドットさんという女性が『父の日』を作りたい、と提唱した活動がしだいに全米に広まり、日本にも渡来したものです。

当時は、5月の第2日曜日の『母の日』だけが広く認識されていたので、子ども時代に母を亡くしたドットさんは、再婚もせずにドットさんら6人の子どもを育てあげてくれた父への尊敬を表現する日をぜひ作りたい、と『父の日』を提唱したのです。しかし当時のアメリカ議会は長い間男性ばかりで構成されていたため、逆に男性に限定した『父の日』という考え方が懸念され、『父の日』がアメリカ議会で正式に認められたのは1972(昭和47)年と、なんと最初の提唱から60年以上もの長い年月が経っていました。その間にも民間では『父の日』が受け入れられ、先行して外国にまで広まっていた…という経緯があります。この本末転倒的な歴史には、ものを考えるときの本質とは何か?を考えさせられますね。ということで、本日は「父」という字の入った日本語のクイズをお送りします。

【問題1】「父兄」に代わる現代的な言葉はなに?

「父兄」という日本語に代わって使われる現代的な言葉をお答えください。

ヒント:かつて教育の現場等で使われていた「父兄会」「父兄参観日」は、現代、どのような言葉に置き換わっているでしょうか?

かつて日本でよく使われた「父兄」に代わる、現代的な言葉は?
かつて日本でよく使われた「父兄」に代わる、現代的な言葉は?

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 保護者 など です。

「父兄会」「父兄参観日」は「保護者会」「保護者参観日」と変化しています。
「父兄会」「父兄参観日」は「保護者会」「保護者参観日」と変化しています。

「父兄(ふけい)」は、「対象となる人の保護者」を指す言葉として日本で長い間使われてきた表現ですが、文字通り「父と兄」を意味しており、男尊女卑の歴史を思い起こさせる、なんとも前時代的な表現です。現在は「保護者会」「保護者参観日」など、総じて「保護者」という言葉に置き換えられるケースが多いようです。「保護者」という表現に辿り着くまで「父母」という表現も一時、出ていましたが、家庭の多様な事情を鑑みると「保護者」という表現が時流に合っている、と言えるでしょう。

そんな現代でも、クセのように「父兄」という言葉を用いる方が、たまにいらっしゃいます。先日、筆者の周囲で40代の男性が「ご父兄のみなさま」という表現をうっかり文書に用いており、はっとしました。「父兄」は現在、放送禁止用語です。「保護者」という言い換えがしっくりこない場合には「親御さん」「おうちの方」などの言い換え表現もございますので、周囲で「父兄」を無意識に使っている方がいらしたら、それとなく注意をうながして差し上げると親切でしょう。

さて、2問目にまいります。

【問題2】「父事」ってなんと読む?

「父事」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:他人に対し、父として尊敬するのと同じように仕えること。

<ヒント>

「先生に父事し、もう30年になります」

かな2文字です。
かな2文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 父事(ふじ) です。

「父事する」というように使います。

「師事(しじ)=師匠として尊敬しその教えを受けること」と、似た構成の言葉ですが「父事(ふじ)」は「師事」よりも親密な結びつきを感じさせる表現ですね。「母事」という言葉は現在、存在していませんが、「父事(ふじ)」という言葉そのものは美しい表現ですので、覚えておいても良いのでは?

*** 

本日は、明日の『父の日』にちなんで、「父」という字の入った日本語から、

・「父兄(ふけい)」に代わる現代的な表現…保護者/親御さん/おうちの方

などのおさらいと、

・父事(ふじ)

という言葉の読み方をおさらいいたしました。

この記事の執筆者
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Precious.jp編集部 
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参考資料:『精選版 日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/『知恵蔵』(株式会社朝日新聞出版)/『cross currents』ウェブサイト/NHK放送文化研究所ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
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ILLUSTRATION :
小出 真朱