ビジネスシーンで「A部長とは長年懇意にさせていただいております」などと使われる「懇意」。「打ち解けて親しい仲であること」を示す言葉ですが、あまり馴染みがない人も多いのでは? 今回は「懇意」の意味や使い方、類語や対義語について解説します。

【目次】

「懇意な仲」の友人は何人いますか?
「懇意な仲」の友人は何人いますか?

【「懇意」を正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

「懇意」は「こんい」と読みます。

■意味

「懇意」にはふたつの意味があります。
1)親切な心。心のこもった接し方をしようとする心。また、周到な心。
2)打ち解けて仲よくしていること。親しいこと。

「懇」という文字には「手厚い。真心を尽くす。丁寧(ていねい)」といった意味があり、「親切で丁寧」という意味の「懇切」や「打ち解けた話し合い」を表す「懇談」などの熟語に使われています。「意」は「気持ち」を表す言葉です。このふたつが合わさった「懇意」は1の「親切な心」という意味で使われ、「打ち解けて親しい間柄」も表すようになりました。ビジネスシーンでは2の「打ち解けて親しい間柄」という意味で使われることが多い言葉です。


【「使い方」がわかる「例文」4選】

では、具体的に「懇意」はどのように使われているのか、例文を見てみましょう。

■1:「A部長とB専務は、プライベートでもかなり懇意な間柄と聞いている」

■2:「今後とも、ご懇意にお願い申し上げます」

■3:「A社と弊社は、すでに10年来懇意にしていただいております」

■4:「事情が事情だけに、ごく内密に、誰か懇意な人に頼むことはできないだろうか」


【「類語」「言い換え」表現】

■昵懇(じっこん)

「昵」には「慣れる。親しむ」という意味があり、「昵懇」は「遠慮なく付き合えるほどに親しいこと」を示す言葉です。

■懇親(こんしん)

「親しいこと。親しく交際すること。親睦」を意味するのが「懇親」です。もっぱら「懇親会」として使われますね。

■深交(しんこう)

「深交」は「互いに心を許した深い交際」のこと。「深交を結ぶ」のように使います。

■遠慮のいらない仲

■気が(の)置けない仲

「気が置けない」とは「遠慮がいらない」を意味する言葉です。


【「対義語」は?】

「懇意」の対義語が何なのか、思い浮かびますか?

■不仲 

「不仲」は「仲が悪いこと」。「打ち解けて仲がよい」という意味をもつ「懇意」とは反対の言葉ですね。

■不和

■そりが合わない

「不和」は「気持ちが合わないこと」。「そりが合わない」は「仲がしっくりしない」こと。

■疎遠

「疎遠」は「遠ざかって関係が薄いこと。音信や訪問が久しく途絶えていること」。仲が悪いわけではありませんが、引っ越しや異動など、なんらかのきっかけて交流が途絶えている様子を表します。

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「A部長とは親しくさせていただいております」と「A部長とは懇意にさせていただいております」。A部長が取引先のキーパーソンであったり、目上の方であるならば特に、「懇意」という言葉はビジネスシーンにしっくきます。「大人の語彙力」を感じさせるのは、こんな「ほんのちょっとした差」なのかもしれません。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :