「浮太」ってなんと読む?「うきふと」ではありません!
明日、8月10日は、江戸時代前期の作家・井原西鶴(いはらさいかく 1642~1693年)の忌日『西鶴忌』です。西鶴は俳諧師(はいかいし)でもありましたが、有名なのは浮世草子(うきよぞうし)の作者としての活動です。代表作『好色一大男』などは現代にも有名ですね。
西鶴が活躍した江戸元禄時代(1688~1704年)は、長く続いた戦乱の世が終わり、人々の暮らしにゆとりが生まれた時代で、「元禄文化」と呼ばれるさまざまな文化が花開きました。浮世草子は、元禄文化を代表する文学のひとつで、今で言うと大衆小説のようなもの。大きく4ジャンル「好色もの」「武家もの」「町人もの」「気質もの(登場人物の性格や気質を職業などに特有の類型によって描いた作品類)」があり、「うきよ」という言葉の内包する意味が「憂き世(つらく、はかない世)」から「浮世(楽しむべき世)」へ転じた時代の文学なのです。ということで本日は「浮世草子」にちなんで、「浮」「草」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「浮太」ってなんと読む?
「浮太」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:福岡県博多市から九州各地に広まった郷土料理で、「沖独活」とも表記します。
<使用例>
「浮太は常温で固まるけれど、この時期は、よく冷やして頂いたらおいしいでしょうね」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 浮太(おきゅうと) です。
「浮太(おきゅうと)」、九州の方はご存じでしょう。別の地域の方々も、九州の郷土料理店ではおなじみのメニューですね。浮太は海藻のエゴノリを煮溶かしてから寒天状に固めた料理で、酢味噌や、削り節とお醤油などをかけていただきます。江戸時代の『筑前国物産帳』ですでに紹介されておりますので、当時「天下の台所」と呼ばれた大阪の豪商の家に生まれた井原西鶴も、食したことがあるかもしれませんね。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】「草熱れ」ってなんと読む?
「草熱れ」という日本語の正しい読みかたをお答えください。
ヒント:「草むらが、夏の強い日ざしを受けて発する熱気」のことです。
<使用例>
「川の近くは涼しいかと思ったけれど、ここも、草熱れでむわっとするわね」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 草熱れ(くさいきれ) です。
「熱れ(いきれ)」という言葉は、単体では「蒸されるような熱気」を意味します。人の多い場所で感じる熱気も「人熱れ(ひといきれ)」と言いますね。元禄時代は、浮世草子のほかにも、俳諧、浮世絵に戯作…さまざまな文化が「熱れ(いきれ)」を放っていたようにも思えます。
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本日は、8月10日・江戸時前期の作家・井原西鶴の忌日『西鶴忌』にちなんで、「浮」「草」という字の入った日本語から、
・浮太(おきゅうと)
・草熱れ(くさいきれ)
の読み方をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『精選版 日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『日本大百科全書(ニッポニカ)』(株式会社小学館)/『Hugkum』ウェブサイト(株式会社小学館)/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)/photo AC
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱