「音信物」ってなんと読む?「おんしんもの」ではありませんよ!

明日・8月20日『交通信号設置記念日』です。これは、1931(昭和6)年のこの日、東京の尾張町交差点(現在の銀座4丁目交差点)、日比谷交差点などの34か所に、3色灯の自動交通信号機が設置されたことに由来します。ちなみに日本初の自動交通信号機は、この前年に日比谷交差点に設置された米国製のものでした。ということで、本日は「信」という字の入った日本語クイズをお送りします。

【問題1】「信太寿司」ってなんと読む?

「信太寿司」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:「稲荷寿司」の別名で、関西地方の伝説に由来する呼び名です。

<使用例>

「大阪の祖母は稲荷寿司を信太寿司って呼んでいるわ」

かな5文字です。
かな5文字です。

・・・さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 信太寿司(しのだずし) です。

稲荷寿司をこう呼ぶのはなぜかと言うと…解説をお読みください。
稲荷寿司をこう呼ぶのはなぜかと言うと…解説をお読みください。

大阪府和泉市にある信太山(しのだやま)の有名な伝説に『信太妻(しのだづま)』がございます。信太の森に住む女狐が人間に化け、安倍保名(あべのやすな)と結婚したのち、子ども(のちの安倍晴明)をもうけますが、正体がばれて姿を消した…という伝説です。『信太妻(しのだづま)』は17世紀後半から人形浄瑠璃や歌舞伎、日本舞踊の題材としても扱われており、『芦屋道満大内鑑(あしやどうまんおおうちかがみ)』という作品タイトルや、「安名(やすな)」「葛の葉狐」などの登場人物名は、日本文化に詳しい方にはおなじみです。

さて、稲荷寿司に使う油揚げといえば、古来から「狐の好物」というイメージが定着しておりますね。さらに「信太といえば、狐の伝説」というイメージとつながり、「稲荷寿司」は「信太寿司(しのだずし)」という異名でも呼ばれるのです。さらに改めて考えると、全国的に定着している「稲荷寿司」という呼び名も、「稲荷神社の使いの神獣=狐…油揚げが好物」というイメージからきています。…日本語の歴史と奥行き、なんともおもしろいですね。

さて、2問目にまいりましょう。

【問題2】「音信物」ってなんと読む?

「音信物」という日本語の正しい読み方をお答えください。

ヒント:「訪れのしるしとして、また、厚意を示すためや、賄賂として贈る品物。進物」という意味の言葉です。

<使用例>

「あちらさまには長らくご無沙汰してしまったから、音信物をたずさえないと伺えないわね」

かな6文字です。
かな6文字です。

…さて、正解は?

※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。

正解は↓に‼
正解は↓に‼

正解は… 音信物(いんしんもの) です。

「音信」は、現在では「おんしん」と読むことが多いですが、古来「いんしん」とも読みます。

「音信」だけでも、現在も「おんしん」「いんしん」の2通りの読み方が辞書に掲載されており、四字熟語の「音信不通」も「おんしんふつう/いんしんふつう」と2通りの読み方がございます。しかし「音信物(いんしんもの)」に限っては「おんしんもの」とは読みません。「進物(しんもつ)」の同義語でもあり、「音物(いんもつ)」とも言います。

***

本日は、8月20日『交通信号設置記念日』にちなんで、「信」という字の入った日本語から、

・信太寿司(しのだずし)

・音信物(いんしんもの)

の読み方をおさらいいたしました。

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Precious.jp編集部 
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参考資料:『精選版 日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』『日本大百科全書(ニッポニカ)』(株式会社小学館)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/東京新聞TOKYO Webウェブサイト(株式会社中日新聞社)/CBCwebウェブサイト(中部日本放送株式会社)/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
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小出 真朱