誤用が多い慣用句「間髪をいれず」…正しく使えていますか?
明日・8月24日は『ポンペイ最後の日』と言われております。古代ローマ時代の遺跡「ポンペイ遺跡」の名は、みなさまご存知でしょう。現在は遺跡の8割程度が発掘され世界遺産に登録、巨大な遺跡公園「ポンペイ考古学公園」としてイタリア・ナポリの観光名所となっておりますが、古代都市ポンペイの滅亡は大変センセーショナルだったもの、と考えられ、歴史的注目を集めております。
この遺跡が発見されたのは16世紀で、本格的な発掘が開始されたのは18世紀ですが、紀元前7世紀には都市国家として隆盛を誇り、長く栄えたものの、紀元後79年8月24日のベスピオ火山大噴火によって埋没してしまった…という史実が浮かび上がりました。突然の自然災害によって、巨大都市国家が「最後の日」を迎えたのです。
というお話を踏まえて、本日はまず、急でとっさなときに使用する慣用句のクイズをお送りします。
【問題1】慣用句「間髪をいれず」ってなんと読む?
慣用句「間髪をいれず」の正しい読み方をお答えください。
ヒント:もとは故事成語で、「すぐさま」「とっさに」という意味で使用される慣用句です。
<使用例>
「万が一、鍋のお湯が沸騰してしまったら、間髪をいれずに火を消してください」
・・・さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 「間髪(かんはつ)をいれず」です。
「間髪(かんはつ)をいれず」という慣用句は、故事成語からできた言葉で、「間に髪の毛一本入らないくらい余地がないこと」を意味します。ですので、文章として読点で区切るならば「間、髪をいれず」であり、「間髪を、いれず」ではありません。昨今「間髪(かんぱつ)」という言葉も使われるようですが、辞書にも「『間髪をいれず』の誤用からできた言葉」と書かれており、大人の語彙としては美しくありません。正しく覚えておきたいですね。
ちなみに、故事成語としての表記は「間髪を容れず」で、「入れず」ではありません。
さて、2問目は、火山噴火で埋没してしまったポンペイにちなんで「灰」という字の入ったクイズです。
【問題2】「灰持酒」ってなんと読む?
「灰酒」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「発酵したもろみに灰を混ぜて作る日本酒」の事です。
<使用例>
「煮物に、みりんの代わりに灰持酒を使うと、高級和食のような品の良い味に出来上がるのよ」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 灰持酒(あくもちざけ) です。
代表的なものに熊本の「赤酒(あかざけ)」がごさいます。「灰持酒(あくもちざけ)」は赤褐色の日本酒で、和食店や料理の達人は、例文のように料理酒として活かす例も多いようです。
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本日は、8月24日『ポンペイ最後の日』にちなんで、
・間髪(かんはつ)をいれず
・灰持酒(あくもちざけ)
の日本語の読み方をおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『精選版 日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/『ブリタニカ国際大百科辞典 小項目事典』(ブリタニカ・ジャパン株式会社)/NHK放送文化研究所ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱