雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、THALIE創設者、デザイナー、ナタリー・ディオンさんの活動をご紹介します。
廃棄されるサーモンの皮を素材に。サステイナブルな姿勢が話題のバッグ
ナタリーさんが主宰するパリのバッグブランド「タリー」のアイコン的アイテムが、三角形のバッグ。素材はなんと、寿司店の食品廃棄物であるサーモンの皮! その名も『スシコレクション』。
「国内の若い研究者が立ち上げたラボで出合った素材です。彼らはサーモンの皮をレザーのようになめす技術を開発していて、これでバッグをつくってみよう、と。同じく国内の職人に声をかけ、本格的にものづくりを始めました。サーモンの皮は幅が狭いので、パッチワークのようにするしかなく、工夫を重ねていくうちに生み出したのが、この三角形だったんです。結果、個性が受けて、人気のアイコンバッグとなりました」
一部レザーも使われているが、これは高級ブランドの規格に合わず、なめし工房で使われないままになっているデッドストックをアップサイクルしたもの。使用する場合は「どのような場所から来ているか」「染色はどうやって行われたのか」など、独自の基準をクリアしたものだけを選ぶ。
「同時に可能性を探っているのがビーガンレザー(※)です。サボテンを原料とするレザーは、石油も使わないので環境に優しい。この『カクタス コレクション』では100%ビーガンになるように、レザーのライニングも使いません」
20年にわたってアパレル業界で仕事をし、サステイナビリティについて深く考えるようになった。コンサルティング業を経てブランドを立ち上げたのは’20年。素材はもちろん、製造のプロセスから流通まで、あらゆる段階でサステイナビリティを意識している。
「SDGsは、創造性を制約するものではなく、チャンスなんです」
可能性はどんどん広がっていく。
【SDGsの現場から】
●革新的な素材でエレガントなデザインのバッグを
●素材を無駄なく活用するためにデザインを工夫
※ビーガンレザーとは…動物の革を使用せず、合成素材や植物由来の材料によってレザーの見た目・質感を再現した素材で、さまざまな種類がある。
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- PHOTO :
- Yusuke Kinaka
- EDIT :
- 正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
- 取材 :
- Noriko Ishizaka