雑誌『Precious』では「My Action for SDGs 続ける未来のために、私がしていること」と題して、持続可能なよりよい世界を目指す人たちの活動に注目し、連載しています。
今回は、マムズ社長・マームガーデン葉山事業責任者、斎藤睦美さんの活動をご紹介します。
産んだあとも安心できる社会へ向けて、日本最大級の産後ケアホテルを実現
丘の上に立つ「マームガーデン葉山」。建物入り口のドアの先には広々としたロビーが。正面の大きな窓から、晴れた日には海が一望。その贅沢な風景をゆったり眺めているのは、赤ちゃんを産んだばかりのお母さんたち ―。ここは出産後の女性が赤ちゃんや家族と共に過ごすことのできる、日本最大級の産後ケアホテル(※)である。
「現在、7〜10人にひとりが産後うつを発症しているといわれています。高齢出産の増加や核家族化、コロナ禍もあり、産後の母親がゆっくり家で過ごすということも難しくなっています。しかし、日本では、母親と新生児が十分なケアを受けられる宿泊型の施設はほとんどない。なんとかしたい、と、’21年12月にオープンしたのが、この産後ケアホテルです」
事業立ち上げのきっかけになったのは、斎藤さんの姉の出産。「仕事もできメンタルも強いと思っていた姉が、産後は痛みや不安から涙が止まらない状態に…。そのとき、姉の夫が見つけてきた産後ケア施設でお世話になったんです。当時、私は保育園事業をしていたのですが、姉の様子を目の当たりにして、出産直後の母親へのサポートをすぐに始めなければと思ったんです」
韓国や台湾、中国では、産後ケア施設が数多くあり、産後の女性は1か月ほどは休まなければいけないもの、と考えられている。
「今の日本では、出産や子育てにネガティブなイメージをもつ方もいる。それを変えたい」
食事も赤ちゃんのお世話もサポート。お母さんはもちろん、関わるスタッフたちも笑顔だ。
「24時間無休なのでさまざまな仕事があり、多様な働き方が可能です。社会全体で進んでいければ」
【SDGsの現場から】
●海を望む心地のいい部屋で睡眠もしっかり
●1日5回の食事で産後の回復をサポート
※産後ケアとは…’19年に成立したいわゆる「産後ケア法案」により、’21年4月1日より、すべての市町村での産後ケア事業が努力義務になっている。
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- PHOTO :
- 望月みちか
- EDIT :
- 正木 爽(HATSU)、喜多容子(Precious)
- 取材・文 :
- 剣持亜弥(HATSU)