身長156cmのインテリアエディターDが、おすすめのアイテムを実際に体験しながらレポートする本連載。今回はミッドセンチュリー期に多くの名作家具を発表したことで有名な「Knoll (ノル)」から、今もなお愛され続けるラウンジチェアをピックアップします。
名前は知らなくとも、どこかで見たことがある方が多いであろうデザイナー家具のひとつが『ワシリーチェア』ではないでしょうか? いつかは名作椅子が欲しい! と考えていたあなたの背中を押すような、美しい新色が発売されました。その魅力をさまざまな角度からご紹介します。
歴史的名作でつくる“クワイエットラグジュアリー”な空間
ファッション業界だけでなく、インテリアでも使われるようになった“クワイエットラグジュアリー”。直訳すると“控えめな贅沢”になりますが、具体的には、流行に左右されず魅力を放ち続ける高品質のものを大切にし、それらに投資することで、時が経つにつれてその人らしさが香り立つオンリーワンのインテリアになっていく…ということを意味します。
上質な素材、ニュートラルな色使いもさることながら、どこでどのように作られたものなのか…などのストーリーと共に、アイテム選びの思考そのものの積み重ねが真のラグジュアリーといえるのではないでしょうか?
今回ご紹介する線と面で構成されたシンプルなデザインの『ワシリーチェア』は、まだ木製の椅子が主流だった時代の1925年に発表され、工業素材のスチールパイプを世界で初めて用いた椅子として、デザイン界に衝撃を与えた傑作です。
スチールパイプは、丈夫で軽く機能的。大きな設備投資をしなくても大量生産が可能な使い勝手のいい素材です。自転車のハンドルにヒントを得て、開発には配管工に協力を仰いだともいわれており、クローム仕上げのスチールチューブを曲げたフレームが空間に線を描き出します。そのフレームに革の太ベルトが張られ、座面や背もたれ、アームなどの要素を作り出しているのです。
20世紀初めに芸術と工業デザインの融合を追求した革新的な芸術学校「バウハウス」のデザインを象徴する存在として、デザイン好きの人も憧れる名作椅子の一つです。
名前の由来は画家のカンディンスキー!シックな限定カラーは要チェック
『ワシリーチェア』をデザインしたのはバウハウス第1期性で、同校で教官も務めていたマルセル・ブロイヤー。彼とバウハウスの同僚で親交の深かった画家のワシリー・カンディンスキーがこの椅子を愛用したことにちなみ、イタリアのガヴィーナ社が製造した時代に『ワシリーチェア』という名前がつけられました。
その後1968年に「ノル」がガヴィーナ社を買収し製造を担うようになり、ロングセラーとして今日でも世界中で愛されています。今年で製造55年を迎えたことを記念して発表されたのが、“バウハウスグリーン”と“コニャック”の2色。いずれもシックなカラーで、自宅やオフィスで既にお使いの家具とも相性よくなじむはずです。
見た目を裏切る優しい座り心地や、意外なお値打ち価格のギャップが魅力
直線的な革のそっけない座面を見て、「なんとなく、座りにくいかも?」と思ったみなさんにこそぜひ試していただきたいのが、そのソフトなかけ心地。分厚い革はハンモック構造なので優しくたわみ、座っているうちに体温で柔らかくなってなじんできます。新しい靴がだんだんと足にフィットしていくような感覚に似ているかもしれません。毎日座っていたらなおさら愛着が増しますよね。
そしてまた、昨今の家具の大幅な値上げ事情にも関わらず、これだけの名品がいまだに50万円以下という思っていたよりも値頃感があることに少なからず驚きました。
なお、あまりに有名な椅子のため、リプロダクト品も出回っています。本物を持つ喜びをぜひ味わっていただきたいので、最後にチェックしておきたいディテールを見てみましょう。
今回は、ミッドセンチュリーモダンを代表する家具メーカー「ノル」の代表作『ワシリーチェア』をご紹介しました。
名作を少しずつ自宅のインテリアに取り入れる喜びを始めるのに、『ワシリーチェア55thアニバーサリー』は、かけ心地、歴史的価値、素材や色味の面でオススメです。ショールームでは展示台の上に飾られていますが、スタッフの方に頼めば下ろしてもらえるので、ぜひ座り心地を試してみてください。
※掲載商品の価格は、すべて税込みです。
問い合わせ先
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Knoll Japan
営業時間/11:00~19:00
定休日/日曜日
TEL:03-6447-5405 - 住所/東京都港区北青山1-2-3 青山ビル1F
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- TEXT :
- 土橋陽子さん インテリアエディター
公式サイト:YOKODOBASHI.COM