「固執」はよく見聞きする言葉だと思いますが、あまりいい意味ではないと感じていませんか? 単語としての意味は「自分の意見を主張して譲らないこと」。なので、こういう人はビジネスシーンでは“困ったちゃん”かもしれませんね。今回はこの言葉について解説します。
【目次】
【「固執」の意味は?読み方は「こしゅう」「こしつ」どっち?】
■読み方
「固執」は現代では、「こしつ」と読むのが一般的。「こしつ」は「固執(こしゅう)」の慣用音(慣用読み)です。慣用音とは、中国に由来する呉音(ごおん)・漢音(かんおん)・唐音(とうおん)とは違い、日本で広く使われている独自の漢字音のこと。ですから、「こしゅう」でも間違いではありませんが、ビジネスシーンでは、「こしつ」と読むほうが、相手にムダな違和感を与えないといえるでしょう。
■意味
自分の意見や自説を主張して譲らないこと、固く執着することを意味する名詞です。
【ビジネスでの「正しい使い方」をチェック!例文5選】
仕事の現場で、自分の意見に固執している人ばかりだったら大変ですね。ビジネスでは、どこかで折り合いをつけながら、ものごとを進めていくことが大切です。そんなシーンを想定しながら、例文を見てみましょう。
■1:「時代も人も変わったんだから、昭和時代のやり方に固執すべきではない」
■2:「彼は自説に固執しすぎだよ。もう少し柔らかい頭で考えられないかなぁ…」
■3:「成功者ほど、経験による自信から、自らの視点に固執し、目の前の木しか見えなくなることもある。だからこそ、上に立つものは常に森全体を見るよう心掛ける必要がある」
■4:「そんなに固執する人がいるのなら、もう一度検討してみる価値があるかもしれない」
■5:「自説への固執は、研究の成果や結論を導くひとつの鍵にもなり得る」
【「固執」の「類語」「言い換え」表現】
■固持(こじ)
固く守って変えないこと。「信念を固持する」
■執着(しゅうちゃく/しゅうじゃく)
あるものごとに深く思いを掛けてとらわれること。執心して思いきれないこと。「お金に執着する」
■執拗(しつよう)
自分の意見にいつまでもこだわり続けるさま。「執拗に自説を主張する」
■意固地(いこじ)
自分の考えなどに固執して、それを通そうとすること。「意固地な人」
■頓着(とんちゃく/とんじゃく)
深く心に掛けてこだわること。関心をもつこと。打消しの形で使われることが多い。「世間の評価に頓着しない」
【「固執」の「対義語」】
■妥協(だきょう)
お互いの意を理解し、自分の主張する条件などを相手のそれに近づけ、双方が納得する一致点を見つけて穏やかにコトをまとめること。「妥協点を見出す」
■譲歩(じょうほ)
自分の意見や主張を押さえ、相手の意向に従ったり妥協したりすること。「譲歩を求める」
■無頓着(むとんちゃく/むとんじゃく)
物事をあまり気にかけないこと。またそのさま。「彼は服装に無頓着だ」
【「英語」で言うと、どうなる?】
「固執」を意味する英単語は[persistence]、「固執する」と動詞化させたものが[persist]や[insist]です。
・persist in one's belief.(自己の信念を貫く)
・He always persists in his own opinions.(彼はいつも自説に固執する)
・insist on the justice of a claim(要求の正当性を強く主張する)
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自分の意見や信念をもつことは大切ですが、他を認め、受け入れ、お互いに歩み寄ることも忘れてはいけません。固執するばかりでなく、柔軟性も身に付けた大人でありたいですね。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『今日から役に立つ! 使える「語彙力」2726』(西東社)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) :