「撥」「枹」「桴」…和太鼓演奏用の「バチ」はどれ?
明日、10月10日は『和太鼓の日』です。日付の1010を、和太鼓の音「ドンドン」に見立てて制定された記念日で、和太鼓に対する意識の向上と、その魅力を伝えるのが目的とされています。和楽器の中でも、太鼓は特にダイナミックで魅力的ですよね。本日は「和太鼓」をキーワードにした日本語クイズをお送りします。太鼓と言えば、叩くもの。ということで1問目は、「叩く」の入ったクイズです。
【問題1】「屡叩く」って何と読む?
「屡叩く」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「しきりに瞬きをする」という意味の言葉です。
<使用例>
「お祭りの和太鼓の演奏に圧倒されて、夫は目を屡叩いていたわ」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 屡叩く「(しばたた)く 」です。
「しばたたく」という言葉が「目をパチパチさせる」という意味をもつことは、なんとなく知っていた、という方も多いでしょう。文学作品などで印象的に使用されたりする表現です。「瞬(しばたた)く」は当て字ですが、「屡叩(しばたた)く」は、直訳的な表記で、「動作を繰り返し行う意」をもつ「屡(しばしば)」と「叩く」を組み合わせた言葉です。驚いたときや、感激したときの、まぶたを繰り返し叩くかのようにパチパチする目の動きを表現しています。
さて、2問目にまいりましょう。
【問題2】和太鼓のバチはどれ?
以下の選択肢は、すべて、「バチ」と読む「和楽器を演奏するための道具」を意味する字ですが、この中から「和太鼓のバチ」を意味する字を選んでください。
1:撥
2:枹
3:桴
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 1:撥 が△、 2:枹 と 3:桴 は◎ です。
「撥(バチ)」が△、というのは、この字は「撥(は)ねる」と読む字であり、本来は、三味線などの弦楽器を「はじいてかき鳴らす」という意味をもつ「撥(バチ)」だからです。しかし、弦楽器も打楽器も、和楽器を演奏する道具を「バチ」と呼ぶことから、和太鼓についてもこの字が使われることがあります。ですので、不正解とは言えません。
一方「枹(バチ)」は、「楢(なら)の木」に通じる字で、「和太鼓などを打つ棒=バチ」という意味ももっていますので◎です。そして「桴(バチ)」は、「いかだ」や、建物の「棟木(むなぎ)」などに通じる「棒状の木」を表す字で、「和太鼓などを打つ棒=バチ」という意味でも使われますので、こちらも◎です。総じて、「撥(バチ)」は厳密には弦楽器用のものから転用されて使われるようになった字で、木偏の字ふたつは「和太鼓のバチ」も意味しており、かたや木の素材、かたや形状を表す字、という形です。ひと口にバチと言っても、こんなふうに細やかな違いがあるところに、奥深さと面白味を感じますね。
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本日は、10月10日『和太鼓の日』にちなんで、
・屡叩く「(しばたた)く」
という言葉の読み方と意味、背景、
・撥(バチ)…元は弦楽器用
・枹/桴(バチ)…和太鼓用
という豆知識をおさらいしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『精選版 日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱