あなたのまわりに見習いたくなるような「内省的な人」はいますか? そもそも「内省的」を正しく読めるでしょうか? 今回は「内省」という言葉の意味や、「内省的」の正しい使い方などを学びましょう。

【目次】

「内省的」tとは?ポジティブワード?
「内省的」はポジティブワード?

【「内省的」の「読み方」と「意味」】

■読み方

「内省的」は「ないせいてき」と読みます。「ないしょうてき」ではありません!

■意味

「内省」とは、 自分の考えや行動などを深くかえりみること。「的」という接尾語は、名詞に付いて形容動詞の語幹をつくり、そのような性質をもったものの意味を表すので、「内省的」は「自分の考えや行動などを深くかえりみるさま」を表します。


【正しい「使い方」がわかる「例文」5選

「内省的」は、日常会話ではなじみがない言葉かもしれません。どのようなシーンで使われるのでしょうか。

■1:「仕事はできても、もう少し内省的にならなくては人間としての成長は望めないよ」

■2:「彼女は行動は大胆だが、性格は内省的だ」

■3:「上司が内省的過ぎると、なかなか仕事が進まない」

■4:「A社は内省的な傾向が強いので、こちらも慎重な態度を見せつつスピードアップを図っていきたい」

■5:「彼は考える前に行動するようなところがあるから、内省的な君とはいいコンビだよ」

4のように、「内省的」は人にだけでなく組織に対しても使える言葉です。


【「内省的な人」の特徴と「内省できない人」との違い】

「内省的な人」とは、具体的にどういった特徴をもっているのでしょうか。

■内省的な人の特徴

【長所となる性格】・慎重 ・責任感が強い ・計画性がある  ・真面目 

【短所となりやすい性格】・人とコミュニケーションをとるのが苦手 ・自己否定感が強い ・気にしすぎる ・ネガティブ思考 ・突発的な事態に弱い

「内省的」であることはマイナス面が多いように感じられるかもしれませんね。「内省」とは自らを省みることですから、そこからポジティブな思考や感情を引き出すか、ネガティブな思考や感情に陥るかは本人次第です。

■内省できない人って?

「内省できない人」とは、自らを振り返ることが苦手な人のこと。何かうまくいかなかった場合に、現実から目をそらしてやり過ごすので同じ失敗をくり返したり、他人の信頼を得るのが難しいのが特徴です。

■ポジティブな内省ができる方法

事実を正しく把握する → 過程に注視する → 原因を探る(仮説を立てる)

このように順を追っていくと客観的に省みられるので、負のスパイラルから抜け出せます。「失敗は成功のもと」「ピンチはチャンス」といった格言は、ポジティブな内省から生まれるものなのでしょう。


【「内省的」の「類語」「言い換え」「対義語」】

■類語

・反省:自己の過去の言動についての可否、善悪などを考えること。自分の行為をかえりみること。

・内観:心理学で、自分の意識やその状態をみずから観察すること。

■言い換え

・自己観察:「自己観察のためにも(内省するためにも)日記は欠かせない」

・思慮深い:「彼の思慮深さが(内省さが)ピンチを救った」

■対義語

・無自覚:自分のすることについての自覚がないことを指すので、無自覚な人は内省的な人と対照的です。

・社交的:「内省的」を、人とのコミュニケーションや行動を制限するものとして使用した場合の対義語。


【「内省的」にあてはまる英語は?】

「深く考える」という意味においての英単語は[reflective] 、心理学的には[introspective]と言います。

・When I reflect on my conduct, I feel ashamed of myself.(自分の行動を内省してみると恥ずかしい思いがする)

・He is introspective./He has an introspective personality.(彼は内省的な性格だ)

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内省的な人といって真っ先に思い浮かぶのはミュージシャンの尾崎豊さん…という人もいるのでは? 亡くなってすでに30年以上経ちますが、その作品がいまだ歌われ続け、愛され、人々の胸を打つのは、数々の楽曲に彼自身の内省からくる希望や未来を感じるからではないでしょうか。私たちも「内省的」という言葉をポジティブに使い、「内省」によるステップアップを試みたいものですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :