「あぶく銭」という言葉をご存じですか? 日常で使っている人は少ないかもしれません。聞いたことがあるとすれば、時代劇でしょうか。今回はそんな「あぶく銭」を深掘り。正確な意味や語源、使い方のわかる例文や類語、対義語、英語表現まで、幅広く解説します。

【目次】

多くは泡のように儚く消える宿命です。
多くは泡のように儚く消える宿命です。

【「あぶく銭」の「意味」とは?正しく理解するための「基礎知識」】

■読み方

「あぶく銭」は「あぶくぜに」と読みます。

■意味

「あぶく銭」とは、「苦労しないで、あるいは働かないで手に入れたお金」や、「不当に得たお金」を指す言葉です。具体的に言えば、ギャンブルで得たお金や、思いがけず人からもらったお金(遺産)宝くじの当選金などを「あぶく銭」と表現します。また、詐欺や窃盗などの犯罪行為によって得たお金を「あぶく銭」と言うこともありますよ。

ただし、ギャンブルで得たお金と言えども、例えば競馬で勝つために何年も研究を重ねている人など、ギャンブルを生業とする、いわゆる「プロ」の方々が得るお金は「あぶく銭」とは言いません。同じく、株などの配当金も、研究の成果であれば「あぶく銭」とは呼べません。「あぶく銭」とは、「努力を伴わないで手に入れたお金」つまり「不労所得」という意味合いがあるのです。

■「漢字」にすると?

「あぶく銭」を漢字で書くと「泡銭」。「泡」は「水のあわ」を表し、儚くする消えてしまうことのたとえです。「あぶく銭」とは、苦労しないで手に入れたお金は、泡のようにすぐなくなってしまうことからできた言葉なのです。


【「使い方」がわかる「例文」3選】

■1:「初めて競馬に行って適当に選んで買った馬券が大勝ちした。貯金しようとも思ったが、しょせんあぶく銭だと思って、飲み食いで使いきってしまった」

■2:「あぶく銭が入っても、ムダなことに使って後悔するだけだから、欲しいとも思わない」

■NG:「一昨年コロナにかかった友人は、医療保険の入院給付金を『あぶく銭だから』と言って食事をおごってくれた」

繰り返しになりますが、「あぶく銭」は「苦労なしに、あるいは正当な理由なしに手にしたお金」のこと。医療保険の、それまで掛け金を払っていたからこそのものですし、コロナの症状に苦しんだ方も大勢います。本人は揶揄や軽い冗談のつもりかもしれませんが、「あぶく銭」と呼ぶのは適切ではありません。また、還付金なども「あぶく銭」に該当しません。


【「使った方がいい」と言われる理由は?】

例えば同じ1万円であったとしても、お給料として得た1万円は大切に使うもの。ですが、宝くじの当選金のように、思いがけない臨時収入の場合、普段は買わない贅沢品やちょっと高級なランチなどに費やして、ぱっと使ってしまったりするものです。それは、私たちが「楽して手にするものよりも、苦労して手に入れたもののほうが尊い」と無意識に考えているからです。

「臨時収入は貯金したほうがいい」という考え方もありますが、「あぶく銭」を得た人は、自然と気が大きくなって、消費に対する欲求が高まります。貯金はしたものの、何に使ったかわからないような無駄遣いが増えてしまうくらいなら、潔く「なかなか行けないレストランへ」あるいは「なくても困らないけど、あったら最高に気分が上がるもの」などに使ってしまったほうが、精神的にも現実的にもメリットは大きいかもしれません。「あぶく銭」を「普段はできないことを体験するチャンス」と捉えて、株などの投資にチャレンジするという手もあるりますね!

また、「あぶく銭」は、「人のために使った方がいい」とも言われています。災害地や慈善団体への寄付をするもよし、日ごろお世話になっている方へ感謝を込めて、ちょっとしたプレゼントを贈ったり、食事に招待するのもいいでしょう。いわゆる「生きたお金の使い道」を考えてみてはいかがでしょうか。


【「あぶく銭は身に付かない」という意味の「ことわざ」は?】

■「悪銭身につかず」

「悪銭」は「あくせん」と読み、「悪いことをして手に入れたお金」のことです。「悪銭身につかず」は、不正な手段によって得た金銭は、無駄なことに使われがちなので、すぐになくなってしまうものであるという意味のことわざです。「ギャンブルなどで得たお金は無駄遣いしてすぐになくなってしまう。やはりお金は労働への対価として得ることが大切だ」ということも言えます。


【「類語」「言い換え」表現】

「あぶく銭」と同じような意味をもつ言葉をいくつかご紹介しましょう。

■悪銭

■荒稼ぎ

「荒稼ぎ」とは「手段を選ばず、一度に大金を稼ぐこと」や「強盗や追い剥ぎなど、強引な方法で不当に金品を奪うこと」を表す言葉です。

■ぼろ儲け

「ぼろ儲け」は「元手や労力の割に多大の利益を得ること」。

■捨て金

「捨て金」とは「無駄な金。遣っても役に立たない金」のこと。


【「対義語」は?】

「あぶく銭」の「対義語」と言われても、すぐには思いつきませんね。いくつかご紹介します。

■命金

「命金」は「いのちがね」と読み、「命をつなぐための金」「最後の時に使うための金」という意味や「命ほどにも大切な金」という意味をもっています。

■身銭

「自分の個人的な金銭」のことを「身銭」と言い、「自分の金で支払いをする。自腹を切る」ことを「身銭を切ると言います。

■血と汗の結晶

■浄財

「寺社や慈善事業などに寄付する金銭」を「浄財」といいます。


【「英語」で言うと?】

「あぶく銭」に相当する英単語は[easy money]です。

「悪銭身につかず(得やすいものは失いやすい)」ということわざに相当する英語表現は[Easy come, easy go.]となります。

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苦労なく手に入れた「あぶく銭」は、泡のように儚く消えてしまうものです。とはいえ、儚く消えてしまうとわかっていても、いただけたら嬉しいですよね。「金は天下の回り物」という言葉もありますし!

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :