不祥事が起こった際に、よくニュースで見聞きする「保身」という言葉の正しい意味を知っていますか? 「自分の立場や名誉を守るための言動」に対して使われますね。今回はこの「保身」について、サクッと深掘りしていきます。

【目次】

平社員に「保身」は当てはまらない?
平社員に「保身」は当てはまらない?

【「保身」の基礎知識】

■読み方

「保身」は「ほしん」と読みます。

■意味

「保身」は「身の安全を保つこと、自分の地位や名声、安穏を失うまいと身を処すること」を表す名詞です。ぐっと簡単にいえば「自分のことが最優先」ともいえる言葉です。「保」という漢字には「大切に守る」という意味があります。「保身」のほか、「保安」「保護」「保健」などは一般的によく使われますね。「身」は「自分自身」のことです。例えば不祥事が起こった際、監督責任がある上長の人間が「自分の監督下ではない」とか「知らされていなかった」など、自らの地位や名声を守るためにとる言動を「保身」といいます。責任逃れや非を認めないことでもあるので、他者に「ずるい」とか「残念な人」という印象を与えてしまうのです。

■使い方

・保身を図る ・保身に走る ・保身的な言動


【「保身」の「使い方」がよくわかる「例文」5選】

■1:「あの役員は今回も保身に走って、ますます信用を失った」

■2:「忠誠か保身か、非常時にこそ、その人の本質が露呈するものだ」

■3:「今まで自己保身に走る上司ばかりで、身を挺して部下を守ってくれる上司をもったことがない」

■4:「リスクを抑えるための保身が、結局事態を悪化させる」

■5:「保身的な言動を恥じていれば、まだましだ」


【「保身」の「類語」「言い換え」「対義語」】

「保身」はネガティブなニュアンスで使われることが多い単語です。類語や言い換え表現なども確認しておきましょう。

■類語1:「自己防衛」「自己防御」

どちらもほかからの攻撃などから自力で自分を防ぎ守ること。言葉としては悪い意味ではなく、むしろ必要なスキルだったりしますが、非常時に「自己防衛」にだけ走ると「保身」と同じように「他人より自分が大事」という印象を与えてしまいます。 

■類語2:「護身」「自衛」

自分の力で自分自身を守ることを「護身」や「自衛」と言いますね。

■言い換え:「身の安全を図る」「万全の対策をとる」「うまく立ち回る」

「大規模な人員カットが行われるという噂を聞きつけ、身の安全を図るために奔走する」「上司が代わっても今の立場を保つため、万全の対策をとっておかなければ」「自分でもミスはわかっていたが、知らないふりをしてうまく立ち回ったことで叱られずにすんだ」というように、いずれのフレーズも状況によって「保身」と同様の意味になるということです。

■対義語:「献身」

身勝手な「保身」の対義語には、「他人やある物事のために自身を犠牲にして尽くすこと」を意味する「献身」が当てはまるでしょう。


【「英語」ではなんと言う?】

英語で「保身」は[self-defense][self-protection]と言います。「自ら守る」と考えれば納得ですね。英語の場合もこの単語自体にネガティブ要素はありませんが、下記のようにも使います。

・It was only for the sake of self-protection that he took such an action.(彼がそんな行動をとったのは保身をはかったにほかならない)

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社会人として、地位や名誉を得るのは素晴らしいこと。それは努力のひとつの結実でもあるからです。けれど組織内での不祥事や問題がもち上がった際に、自分を守ることを優先すると「保身」と言われ、これはネガティブワードに。使い方次第でニュアンスや意味が変わることがあるので、読書をしたり、本連載をこまめにチェックするなどして、語彙力のバリエーションを増やしていきましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『使い方のわかる 類語例解辞典』(小学館)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館)/『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) :