街にクリスマスムードが漂い始めると、気になるのは新年用の手帳ではないでしょうか。スケジュール管理にインターネットやスマホのアプリを利用している人も多いようですが、ここ数年は再び“手書きの手帳”や“手書きメモ”が注目されています。新しい手帳を手に入れたら確認したいのは祝・休日です。今回は「国民の祝日」のひとつである「勤労感謝の日」を取り上げます。

【目次】

勤労感謝の日とは
「勤労感謝の日」に神社へ行ってみませんか?

「勤労感謝の日」は「いつ」?正しい「意味」など基礎知識】

■「勤労感謝の日」はいつ? 

日本では「国民の祝日」が年間16日間あり、これは世界を見渡しても多いのだとか。1年最後の「国民の祝日」が11月23日の「勤労感謝の日」です。今年は木曜日にあたり、多くの企業や教育施設が休日になります。

■「国民の祝日」って?

そもそも祝日とは「国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)」(以下「祝日法」)によって定められたもの。「自由と平和を求めてやまない日本国民は、美しい風習を育てつつ、よりよき社会、より豊かな生活を築きあげるために、ここに国民こぞって祝い、感謝し、又は記念する日」という立派な大義名分があります。

■「勤労感謝の日」は何をする?

元日は「年のはじめを祝う日」、成人の日は「大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い励ます日」など、それぞれの祝日には意味があります。そして、今回取り上げる「勤労感謝の日」は「勤労を尊び(たっとび)、生産を祝い、国民が互いに感謝しあう日」なのだとか。

「祝日法」制定時の報告書では、この日の「感謝」について「国民が毎日生活を続けていられるのは、お互いがお互いを助け合っているからである。従って、ここにいう感謝というのは、すべての人がすべての生産とすべての働きとに感謝し合うのでなければならない。この感謝の心もちは、今日のような世相のけわしい時には最も必要なものであるが、世の中が落ち着いた新穀時にも常に大切なものである」と説明しています。戦後間もなくの制定という時代観も感じられる報告ですが、「国民すべてが互いを助け合い、その働きに感謝する日」なのです。


【「勤労感謝の日」の「由来」】

■なぜ11月23日?

例えば4月29日は、昭和天皇(現在の上皇陛下)の誕生日を祝日とした「天皇誕生日」が「昭和の日」(平成元年から平成18年までは「みどりの日」)に改定されたものですが、「勤労感謝の日」はなぜ11月23日なのでしょう? 祝日法の制定前から、11月23日は「新嘗祭(にいなめさい)」という祭日で、新穀(その年に取れた米などの穀物)に感謝する日でした。「新嘗祭」では天皇が自ら新穀を神々に捧げ、これを食します。宮中で行われる祭祀のなかで最も重要とされているので、その様子をニュースなどで見る機会があるのではないでしょうか。

■「勤労感謝の日」は「新嘗祭」の国民バージョン

休日法の制定にあたり、名称を「新穀祭(しんこくさい)」や「新穀感謝の日」 とする提案もあったそうですが、古くからの収穫感謝の風習を生かしつつ、「勤労感謝の日」として新たに設けられました。「勤労感謝の日」は、11月23日に行われる皇室祭祀の「新嘗祭」がもとになっていたのです。


【「勤労感謝の日」にすべきことは?】

「勤労を尊び、生産を祝い、国民が互いに感謝しあう日」である「勤労感謝の日」ですが、どのように過ごすとより有意義な休日といえるのでしょうか? まずは感謝すべき例を挙げてみましょう。

・労働賃金をもたらしてくれる家族に感謝する

・労働できる環境や健康に感謝する

・農業や漁業関係者、食品生産者などの苦労に思いを馳せながら感謝する

■各地で「新嘗祭」が行われています

稲作を行い日々の糧(かて)としてきた日本人にとって、大変重要な意味をもつ「新嘗祭」がもととなった「勤労感謝の日」ですが、全国の神社では「新嘗祭」が行われています。小規模ながら境内で稲作を行い、収穫した米を供える神社も少なくありません。「勤労感謝の日」は、今年の収穫に感謝して来年の豊作を祈る「新嘗祭」の日。食育やフードロスについて改めて考えるきっかけにしてはいかがでしょうか。

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今年の「勤労感謝の日」は木曜日なので、連休という人は少ないかもしれませんね。ちなみに来年(2024年)は金曜日なので3連休のチャンス! 年間16日ある「国民の祝日」に加え、祝日が日曜日に当たる場合の振り替え休日(祝日法第3条第2項による休日)を加えると、来年は今年より4日も多い21日もの「国民の祝日」が! 休日を上手に利用して、心身のリフレッシュをはかりましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『平成ニッポン生活便利帳』(自由国民社) :