【目次】
宮坂ってどこにあるの?「場所」「最寄り駅」「治安」
「場所」、新宿と渋谷までの距離は?
宮坂1丁目から3丁目があるのは、東京都世田谷区の中央部。現在は暗渠となっている北沢川と烏山川の間の高台です。とはいえ、エリア内に急坂はなく、とても歩きやすいのもうれしいポイント。川の上が緑道となっているほか、豊かな緑のある町です。
この辺りは歴史のある寺社が多くあり、昨今は外国人観光客にも人気のスポットとなっています。特に有名なのが、東急世田谷線「宮の坂駅」の東側にある招き猫で有名な「豪徳寺」、西側にある世田谷の鎮守「世田谷八幡宮」です。宮坂エリアの西側にある小田急小田原線「経堂駅」は、急行が停まるため乗客数も多く、駅の南北に連なる商店街は、とても活気があります。経堂駅から急行を利用すると新宿駅までは3駅12分程度、渋谷駅へは下北沢駅で京王井の頭線に乗り換えて15分程度です。高級住宅街宮坂は、都心へのアクセスがよい街といえます。
町名は「宮坂」で駅名は「宮の坂」
東急世田谷線にある駅の名前は「宮の坂駅」です。もともとは「宮ノ坂」と表記し、駅の場所も今の場所とは少し違って坂上にあったよう。一方で、世田谷区の町名は「宮の坂」ではなく「宮坂」と書きます。もともとは「宮ノ坂」という字名が1966(昭和41)年の住居表示実施以前の世田谷区世田谷3丁目にありました。ですが、住居表示実施時に宮ノ坂の区域が拡大されて町名となったことで「ノ」が除かれて「宮坂(みやさか)」となったそうです。
宮坂の「最寄り駅」
最寄り駅は、小田急小田原線の「豪徳寺駅」や「経堂駅」と、東急世田谷線の「宮の坂駅」や「山下駅」です。経堂駅から急行電車を利用すれば新宿へ12分(3駅)程度と上で紹介しましたが、各駅停車の場合でも18分(10駅)です。渋谷駅へ行くには下北沢駅で京王井の頭線に乗り換えます。経堂駅から下北沢駅までは急行電車で3分程度。新宿や渋谷へ出やすい宮坂は、都心への通勤・通学環境にとても恵まれています。 ちなみに、東急世田谷線の宮の坂駅から三軒茶屋駅までは約12分です。東急世田谷線はローカルな2両編成の路面電車で、もともとは渋谷駅から玉川(現在の二子玉川)駅間を結んでいた玉川電鉄(通称・玉電)の一部。それが三軒茶屋駅から下高井戸駅までの10駅が独立して残ったものです。宮坂エリアは、行きたい場所に合わせて駅を使い分けられるのが利点です。
宮坂の「治安」
宮坂1丁目〜3丁目は学校や住宅が多いエリアです。令和4年の「刑法認知件数」は世田谷区の中でも52件と少なく、治安のよいエリアと言えるでしょう。強盗などもほとんど起きていません。安心して暮らすことができそうです。
宮坂の「地図」
宮坂の「歴史」と「由来」
なぜ高級住宅街に? 宮坂の「歴史」
この周辺が人気の高級住宅街として知られているのは、室町時代に勢力を拡大した、足利義継を祖とする吉良(きら)氏の歴史が刻まれている土地だからでしょう。
宮坂エリアのお隣、現在の豪徳寺2丁目の「世田谷城址公園」から「豪徳寺」の辺りには、かつて「世田谷城」がありました。城主の吉良氏は「せたがや殿」などと称され、足利将軍家の庶流として一目置かれる特異な存在で、世田谷城はとても大きなお城だったそうです。
そして、世田谷城の周りには、吉良氏ゆかりの地が点在しています。
例えば、世田谷城の東北側にあたる位置には「勝国寺」(世田谷4丁目)があります。鬼門除けのために薬師如来を安置して祀ったのがはじまりとされているお寺です。この場所は西側と北側が高い崖になっているので世田谷城の防衛の拠点でもありました。
世田谷城の南西、烏山川の低地をはさんだ台地上に立地しているのが「延命山勝光院」です。こちらは西から攻めてくる敵に対する砦。勝光院には見事な竹林があり、「せたがや百景」にも選定されています。吉良氏代々の菩提寺です。
世田谷城があったとされる豪徳寺は、もともと1480(文明12)年に吉良忠政が弘徳庵として建立したもの。江戸時代に幕府の重臣で彦根藩主の井伊直孝が現在の寺号で再興し、現在は井伊家の菩提寺となっています。
室町時代、北条氏が小田原に城を構え、徐々に関東地方に勢力を拡大します。北条家2代当主の氏綱は、娘を吉良頼康の夫人とし、吉良氏を滅ぼすことなく平和的に懐柔しようと謀ります。4代目の北条氏政は1578(天正6年)に吉良氏の領地であった世田谷に宿場を新設。ここに「楽市」を開きました。楽市とは、市場税を免除して自由な行商販売を認められた市のこと。この楽市が形式を変えながらも現在に伝わっているのが「世田谷のボロ市」です。
1950(天正18)年、北条氏は豊臣秀吉の大軍に包囲され、約100日に及ぶ籠城戦ののち、小田原城を開城。北条氏は滅亡します。その後、吉良氏は戦わずして世田谷城を明け渡し、下総(しもうさ・現在の千葉県)へと逃れました。こうして、吉良氏の世田谷支配が終わります。その後、江戸時代になると世田谷の多くの土地が彦根藩井伊家の所領になりました。その代官職についたのが、この地に土着した吉良氏の旧臣・大場家です。大場家のお屋敷は、「世田谷代官屋敷」として世田谷1丁目に現存しています。
宮坂の「由来」
「宮の坂」という名前が歴史に上がるのはとても古く、平安時代、源義家が奥州で起きたのち3年の役からの帰路でこの世田谷の地に寄り、戦勝を感謝して宮坂に宇佐八幡宮を勧請したとき。この神社が「世田谷八幡宮」です。そして、この神社も吉良氏と関係があります。1546(天文15)年に世田谷城主の吉良氏が世田谷八幡宮の社殿を修築造営したときに、神社に備前雲次の太刀(たち)を寄進し、吉良氏領内第一の神社として尊崇しました。そして「宮ノ坂」は、この世田谷八幡宮の東側にある坂道の名前です。坂上は世田谷線開通時に切り崩され、現在はとても短い坂道となっています。
住みやすさは?宮坂の「魅力」
■1: 買い物環境が抜群によくて暮らしやすいです
経堂駅と直結しているショッピングモール「経堂コルティ」には、スーパーマーケットの「Odakyu OX」や「無印良品」、ドラッグストア、レストランなどが入っています。そのほかにも、経堂駅南口を出ると「ピーコックストア 経堂店」があり、100円ショップも入っています。経堂駅前には図書館があり、さらに周辺は商店街も充実。経堂駅北口のすずらん通りにある商店街には、珈琲豆店や青果店、ベーカリーや洋菓子店、ドーナツ店など個性的なお店が集結していて散策がとても楽しい場所です。また、経堂駅は「東京農業大学」の最寄り駅でもあり、駅の南側の商店街には便利なチェーン飲食店もしっかりそろっています。複数の店を用途に合わせて使い分けることができる環境は便利。お隣の豪徳寺駅周辺にもバラエティ豊かなカフェなどが揃っています。
■2:実は都心へのアクセスがよい場所です
経堂駅や豪徳寺駅を通る小田急小田原線は、東京メトロ千代田線直通の電車も通っています。そのため、経堂駅から霞ケ関駅まで乗り換えなしで約20分で行くことも可能です。千代田線への直通の電車でなくても、「代々木八幡駅」で千代田線に乗り換えることができます。千代田線は人気の「表参道駅」も通っています。経堂駅から表参道駅までは13分程度。そのほか、バスの利用も便利です。世田谷線「上町駅」や「世田谷駅」前を通る世田谷通りには、三軒茶屋駅や渋谷駅行きのバスが複数通っているので通勤・通学に最適です。
■3:歴史に想いを巡らせながら散策が楽しめます
宮坂エリアは世田谷の歴史にゆかりのある神社仏閣がとてもたくさんあって、保存樹木などの大木も多く、緑豊かなパワースポットと言えそうです。烏山川緑道に沿って、豪徳寺や世田谷城址公園、松陰神社などが点在し、散策がとても楽しいエリアです。
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世田谷区内でこれほどまでに歴史的建造物が集結する場所も珍しいでしょう。宮坂エリアは、歴史に想いを馳せながら暮らせる気持ちのよい場所だと思いました。また、経堂駅は買い物スポットが多く、とても使いやすい駅なのも魅力です。都心にも出やすい位置にありながら、これだけ緑がたくさん場所であればリラックスしながら暮らせそうです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- AC,柳堀栄子
- WRITING :
- 柳堀栄子