「同衾」という熟語をご存じですか? 「どうきん」と読みますが、音を聞いても何の意味かピンとこないかもしれませんね。現代ではあまり馴染みのない言葉ですが、「同衾」の「衾」は「掛け布団」のとこと。もうわかりましたか? 今回は「同衾」の意味や由来、使い方を解説します。

【目次】

同衾とは読み方意味
同衾とは、もともと友愛が厚いことを意味する言葉でした。

【「同衾」の「読み方」「意味」は?

■読み方

「同衾」は「どうきん」と読みます。

■意味

「同衾」は「ひとつの夜具(布団)に一緒に寝ること」を意味する言葉で、性行為まで含めた「男女の関係」について言及する際に多く用いられます。

■由来

「衾」の訓読みは「ふすま」。「寝るときに体をおおう夜具」、つまり「掛け布団」という意味があります。古くは綿を入れたものが普通で、材料・模様などによって、麻ぶすま、紙ぶすま、まだらぶすま、むしぶすまなどと呼ばれました。『万葉集』には、「むし衾(ぶすま)なごやが下に伏せれども 妹(いも)とし寝ねば肌し寒ししも」と、苧麻 (からむし) の衾をかけたさまが歌われています。この歌は、「やわらかい掛け布団の中で寝ていますが、あなたと寝ていないから寒いです(寂しいです)」という意味の歌ですが、もともと「同衾」は「男女の仲」だけを指す言葉ではなく、「同じ夜具(布団)で一緒に寝るほど、友愛が厚いこと」を意味していました。


【「使い方」がわかる「例文」3選】

日常会話ではほぼ登場しない「同衾」ですが、使うとしたら…の例文をご紹介しましょう。馴染みのない言葉だけに、男女関係の生々しさが半減する印象ですね。

■1:「高校時代、自宅で彼女と同衾していたら母親が帰ってきて…あのときは焦ったよ」

■2:「結婚前まで同衾しない、つまり婚前交渉はなし、というのが、本来のカトリック教会の教えだ」

■3:「親友の彼氏と酔った勢いで同衾しちゃうなんて…。墓場までもっていく黒歴史がまたひとつ増えてしまった」


【同じ意味の「類語」「言い換え」表現】

■共寝

「共寝」は「同衾」同様、「男女が一緒に寝ること」の意味でも使われます。ちなみに「添い寝」は特に赤ちゃんや病人により添って寝ることを指します。

■ベッドを共にする

■ベッドイン

■メイクラブ

■致す

「いたす」は「する」の謙譲語・丁寧語ですが、「もしかして…?」「…いたしました」などの表現で「男女の関係」をソフトに表します。

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「男女の関係」や「性行為」を遠回しに表現する言葉には「ベッドイン」や「メイクラブ」などがありますが、さらに婉曲な表現として、「致す」は下品な響きもなく、なかなか便利な言葉です。「同衾」は古めかしい言葉で漢字からも音からも意味が推測しにくいだけに、生々しい印象を与えずに済むような気がしますが、いかがでしょうか。下世話な噂話を耳打ちされたのち、「何それ?どうきんってどういう意味?」などと聞き返さずに済むように、頭の片隅にインプットしておきましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) /『現代用語の基礎知識』(自由国民社) :