「アイドルとはいえ、今どき恋愛ご法度だなんて時代錯誤も甚だしい!」のように使われる「ご法度」は、「禁止されていること」を指す言葉で、法律により禁じられたことから、特定の集団で習慣的に「控えるべきこと」まで、幅広く意味しています。今回は「ご法度」の意味やタブーとの違い、使い方がわかる例文など、わかりやすく解説します。
【目次】
【「ご法度」の「読み方」「意味」ほか「基礎知識」】
■読み方
「ご法度」は「ごはっと」と読みます。「ごほうど」は誤読ですよ〜!「御法度」とも表記されます。
■意味
「ご法度」の接頭語「ご」は、「法度」を丁寧に表した言葉です。
「法度」にはふたつの意味があります。「禁じられていること。してはならない事柄」という意味と「掟。法。特に中世・近世における法令」という意味です。江戸幕府による「武家諸法度(ぶけしょはっと)」という法の名前を記憶している人も多いのでは? そして「ご法度」として用いる場合は主に「法律で禁じられていること。一般に禁じられていること」という意味で使われます。
■「タブー」との違い
「タブー」はポリネシア語由来のカタカナ語です。日本語の訳語は「禁忌(きんき)」。本来は、異常と正常、聖と俗、清浄と不浄などを区別し、両者の接近や接触を禁止し、これを犯すと超自然的制裁が加えられるとする観念や風習を表す言葉でした。現在では比喩的に、社会や特定の集団の中で、法的に禁止されているわけではないが、それに言及したり、それを行ったりするのは良くない、そうすると悪い結果になると見なされている事柄を示す言葉となっています。わかりやすい例を挙げれば、「忌み言葉」です。結婚式のスピーチでは「終わる」「欠ける」「冷める」などの言葉は「縁起が悪いからタブー」とされていますね。
「タブー」は「ご法度」の類語と言えます。
【使い方がわかる「例文」4選】
「ご法度」は「一般に禁じられていること」という意味ですが、罰則があることはむしろ少なく、社会通念上「許されない」ことや、あるコミュニティの習慣、暗黙のルールとして「控えるべき」という意味で使われることが多いようです。
■1:「車の運転に飲酒はご法度だ」
■2:「A部長の接待?『酒の席で仕事の話はご法度』が部長ルールだから、覚えておいたほうがいいよ」
■3:「昭和から平成、令和になっても、アイドルは恋愛ご法度が暗黙の了解だ」
■4:「わが家では、親も子どもも食事中のスマホは御法度だ」
■5:「政治家にスキャンダルはご法度とはいえ、ここまで叩かれるのはさすがに気の毒というものだ」
【「類語」「言い換え」表現】
「ご法度」の言い換え表現をいくつかご紹介しましょう。
■NG
■不可
■ダメ
■禁止
■無用
「無用」は「してはいけない」という意味をもつ言葉です。「他言無用」「天地無用」のように使われます。
■禁制
「ある行為を禁じること」を「禁制」といいます。「女子寮は男子禁制」などと使われますね。「女子寮は男性の立ち入り禁止」という意味です。
【「英語」で言うと?】
「ご法度」をズバリ表す英単語はありませんが、「禁止されている」という意味の[be prohibited]で表現が可能です。また、[We can’t 〜][You can't]というフレーズで、「我々は〜できない(〜はご法度だ)」と表すことができます。
・We are prohibited by law from letting our dogs run loose.(犬の放し飼いは法律により禁止されている)
・We can’t take photos without permission.(許可なく写真を撮るのはご法度です)
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古めかしい印象のある「ご法度」という言葉。「禁止事項を守らないこと」は「ご法度破り」と表現できますよ。「入社早々ご法度破りだなんて、あの新人度胸があるわね」のように使われます。ただの噂話にも、どことなくユーモアと知性が漂うような気がしませんか?
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) :