「食傷気味」は同じ食べものや状況が何度も続き、飽き飽きして嫌になってきたことを表す言葉です。「もういらない」ことをやんわりと表現していますが、相手に意味が伝わらないと困ってしまいますね。今回は「食傷気味」の意味や語源、言い換え表現から英語表現まで、詳しく解説します。
【目次】
【「食傷気味」を正しく理解するための「基礎知識」】
■読み方
「食傷気味」は「しょくしょうぎみ」と読みます。
■意味
文字通り「食(しょく)」に関して使われることが多い「食傷気味」。毎日、あるいは毎回、同じ食べ物が続いたために食べ飽きてきたことを表現する言葉です。また、ここから派生して、同じことに何度も接し、飽き飽きしてイヤになってきたことを表します。
■語源・由来
「食傷気味」をさらに深く理解するために、「食傷」と「気味」、それぞれの意味を考察してみましょう。
実は「食傷」は、もともと「食中毒や食あたり」を示す言葉でした。「3日前のカレーで食傷した」のように使われますが、現在では「飽同じものを食べすぎてうんざりすること」「同じような状況に飽きて嫌になること」といった意味で使われることがほとんどです。そして「気味」は単独では「きみ」と読み、「いくらかその傾向にあること」という意味があります。たとえば「風邪気味」といえば、「風邪のような症状がある」ことですね。はっきり「風邪だ」と断言せず、やんわりと示すように、「食傷気味」も「(同じものが続く食べものや状況に)うんざり」する気持ちをマイルドに表現する言葉になっています。
【「使い方」がわかる「例文」3選】
■1:「カレーはひと晩寝かせたほうが美味しいとはいうけど、3日も続いてはさすがに食傷気味だよ」
■2:「部長のダジャレには部下全員が食傷気味だったから、新人が相手をしてくれて助かった(笑)」
■3:「不景気のせいなのか嫌なニューズばかりが続き、いささか食傷気味だ」
【「類語」「言い換え」表現】
「食傷気味」と似た意味の言葉をいくつかご紹介しましょう。「もう飽きた」「うんざり」などいくつかありますが、どれも「食傷気味」よりも強い印象を与えますね。
■倦怠(けんたい)
「倦怠」には「物事に飽きて嫌になること。飽き飽きすること」という意味がありますが、現在では「倦怠感」として「心身が疲れてだるいこと」を表すために使われる事が多いようです。
■飽き飽き
■うんざり
■げんなり
「うんざり」や「飽き飽き」は、「食傷気味」と同じく「同じことが続いたり何度も繰り返されたりして、イヤになる様子」を表します。一方、「げんなり」は、十分すぎて嫌になる様子で、必ずしも同じことが繰り返されているとは限りません。「暑さでげんなりしている」のように、疲れなどで弱ってしまったさまにも用いられます。
■見るのもイヤ
■おなかいっぱい
「お腹一杯」はもともと「たくさん食べたのでもう入らない」という意味ですが、若者言葉としての「おなかいっぱい」は「食傷気味」とニュアンスが近く、「もう結構」「もういらない」という意味で使われます。
【「英語」で言うと?】
「食傷気味」を英語で表現するには「うんざりする」というフレーズを用いるのがよさそうです。
・I am sick and tired of my daily routine.(決まりきった毎日の仕事にうんざりしている)
・I have had enough of her complaints.(彼女のぐちにはうんざりだ)
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あなたが最近「食傷気味」と感じているのは何でしょうか。ネット配信の連続ドラマ? 友人との愚痴トーク? それともパートナー? もしも惰性で続けているだけならば、少し距離を取ってみるのもいいかもしれませんよ。離れてみて初めてわかるよさがあるのかもしれませんし、もしかしたら「不要」なのかもしれません。いずれにせよ、再発見につながるのではないでしょうか。2023年のうちに、今抱えている「食傷気味」を整理すれば、2024年をすっきりした気持ちで迎えられそうです。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :