【目次】
【「ガサツ」の「漢字」は?「意味」「語源」など基礎知識】
子どものころに「ガサツなんだから…」と叱られたことはありませんか? 考えてみると「ガサツ」ってどんな言葉なのでしょう。今回はなんとなくわかるけれど人には説明しにくい言葉である「ガサツ」について、さくっと解説します。
■意味
「ガサツ」は、落ち着きがなく荒々しい様子を表す形容動詞です。言葉や動作が下品で荒っぽい人ことを「ガサツ」と言いますね。人の様子だけでなく、文章や音、雰囲気などに洗練されたところがなく、荒く雑なことも「ガサツ」と表現します。
■「ガサツ」「がさつ」どっちが正解?「漢字」は?
実は「ガサツ」に漢字はありません。表記は「がさつ」あるいは「ガサツ」どちらでも間違いではありませんが、文章で用いるなら片仮名表記のほうが見やすく強調もされるので、注意喚起の観点からも「ガサツ」を使うことをおすすめします。
■語源
「ガサツ」の語源にはいくつかあるので紹介しましょう。
1)細部にまで立ち入って厳しく詮索することを表す「苛察(かさつ)」から。
2)同じく荒っぽい様子を示す動詞「がさつく」が略された。
3)ものを荒っぽく扱う際の擬音「がさがさ」からきた。
【「雑」との違い】
「ガサツ」の意味を理解すると「雑ってこと?」と感じるのではないでしょうか。「雑」にも「大まかで、いいかげんなさま。ていねいでないさま」という意味がありますね。
「ガサツ」は細かいところまで気配りができず、落ち着きなく洗練されていない様子を、「雑」はやり方が念入りではなく、大雑把なことを指します。ざっくりと表すなら「ガサツ」は性格のひとつ、「雑」はひとつひとつの行動について、と言ってもいいかもしれません。
【職場で「ガサツな人」と言われる人の特徴】
では、ビジネスシーンでどんな人が「ガサツ」と言われるのでしょうか。
■行動が粗野で洗練されていない
ドアや引き出しの開け閉めが乱暴だったり、大きな音を立てる、ものの扱いが雑など、行動が粗野な人。
■言葉遣いが荒い
敬語がうまく使えない、言い方がぶっきらぼう、下品な言葉を使う、必要な返事をしない、声がやたらと大きいなど。この連載“大人の語彙力強化塾”の読者なら、これはクリアできているでしょう。
■落ち着きがない
他人への接し方だけでなく、ひとりでいても落ち着きがない…こんな人も「ガサツ」と言われます。
■時間にルーズ
時間にルーズな人も「ガサツ」と言われがち。社会人なら約束の時間に余裕をもって行動すべきですが、ガサツな人は余裕なくバタバタしていて、早めの行動という観念にも乏しいのです。
■整理整頓が苦手
ガサツな人は言動が雑なだけでなく、本人の周辺も“雑”なのが特徴です。職場のデスク周りやロッカーなどの整理整頓ができないとか、引いた椅子や使ったものを元に戻さない、ものをなくしがち(どこかにあるはず!)、バッグの中身がぐちゃぐちゃ…こんな人、あなたの周りにもいませんか?
■身なりに構わない
ヘアメイクやおしゃれに無関心なのも、ガサツな人に多く見られます。社会人であれば、最低でも他者を不快にさせないレベルの身だしなみが必須ですね。
こうして挙げてみるとわかるように、「ガサツな人」は「他者への配慮に欠ける人」と言えそうです。
【「類語」「言い換え表現」】
「ガサツ」を別表現するなら、下記のような言葉が使えます。対義語も紹介しましょう。
■類語
・粗暴 ・粗野 ・野蛮 ・乱暴 ・大雑把 ・無神経 ・無遠慮
■言い換え
・荒っぽい ・品がない ・マナーが悪い ・礼儀知らず ・デリカシーがない
■対義語
・丁寧 ・きめ細やか ・慎ましい ・上品 ・行儀がいい ・繊細
【「ガサツな人」認定されるデメリット】
■「ガサツな人」のデメリット
言葉の意味や使い方を正しく理解すればするほど「ガサツな人」と思われ、指摘される人にはなりたくない…と思うでしょう。職場や仕事の現場でそのように思われるのはマイナスです。例えば…。
・気遣いや気配りが苦手そう(仕事はこれらの応酬で成り立つ部分も)
・詰めが甘そう(フィニッシュが大事!)
・時間配分が苦手そう(締め切りが守れるか不安…)
いずれも信頼関係に大きくかかわります。「ガサツな人」と思わせてしまう言動は、ビジネス上ではデメリットにしかならないといってもいいいでしょう。
■「ガサツな人」にならないために気を付けるべきこと
「ガサツ」は性格に大きく関わるので、自分では気付けないこともあるでしょう。日ごろから注意しておくことが大切です。
・周りの人と比べて声が大きくないか?
・言葉遣いがぞんざいになっていないか?
・身だしなみに気を遣っているか?
・常に清潔でいるか?
・約束やルールは守っているか?
・冷静さ、落ち着きを失っていないか?
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相対的に「ガサツ」はよくないイメージの言葉で、「ガサツな人」が好まれないのは「他者への配慮に欠ける」からでしょう。どんな社会もひとりひとりの「他者への配慮」で成り立っているのだと、改めて肝に銘じて過ごしたいものですね。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/『人は話し方が9割』(すばる舎)/『使い方のわかる 類語例解辞典』(小学館)/『プログレッシブ英和中辞典』(小学館) :