【目次】

深沢ってどこにあるの?「場所」「最寄り駅」「治安」

「場所」、渋谷までの距離は?

深沢エリアの住宅地には高い建物がない。自然が多く、歩いていて気持ちがよい。
深沢エリアの住宅地には一戸建て住宅が多く、高い建物が少ない。とても静かで自然が多く、歩いていて気持ちがよい。

東京都世田谷区深沢は、世田谷区の東南部。1丁目から8丁目まであり、東側は目黒区八雲、南側は世田谷区等々力、そして西側は世田谷区中町と、高級住宅街に囲まれています。東京23区内の高級住宅街は高台にあって、街なかはアップダウンが激しいこと多いですが、深沢はほぼ平坦。3丁目から6丁目あたりはところどころに畑があり、高級住宅街ながら、とてものどかな雰囲気です。

深沢6丁目あたりは銀杏並木が美しい。
深沢6丁目辺りは銀杏並木が美しい。

深沢には、東側には「駒沢オリンピック公園」、北西から南東に向かって桜並木の美しい「呑川親水公園」や「呑川緑道」があり自然豊か。かつて個人の邸宅の庭にあった屋敷林、松の大木などの自然を残すための「緑地」も近辺に点在しています。

深沢の「最寄り駅」

桜新町1丁目緑地は、通称「サザエさん公園」と呼ばれ、サザエさんのキャラクター像が並ぶ。隣は「長谷川町子美術館」だ。
桜新町一丁目緑地は、通称「サザエさん公園」と呼ばれ、サザエさんのキャラクター像が並ぶ。隣は「長谷川町子美術館」。

深沢エリアからもっとも近い駅といえるのは、漫画『サザエさん』の街としても知られている東急田園都市線の「桜新町駅」。桜新町駅から渋谷駅までは10分程度です。

桜新町はサザエさんの作者長谷川町子氏が育った街。駅前には飲食店やスーパーマーケット、病院などなんでもそろう。
桜新町はサザエさんの作者・長谷川町子氏が育った街。駅前には飲食店やスーパーマーケット、病院などなんでも揃う。

深沢エリアから東急田園都市線の「桜新町駅」までは、場所によっては徒歩で30分程度かかります。このエリア内の移動は実はバスがメイン。バスの路線はとても豊富で、駒沢大学駅、三軒茶屋駅、渋谷駅、自由が丘駅、用賀駅、二子玉川駅などに簡単にアクセスできます。

深沢不動があるのは深沢4丁目。この周辺は商店街があって活気がある。
深沢不動があるのは深沢4丁目。この周辺は商店街があって活気がある。

例えば、エリア中央を東西に通る「駒沢通り」と南北に通る「駒沢公園通り」の交差点には「深沢不動前」というバス停がありますが、このバス停には自由が丘駅や等々力駅(等々力操車所)、渋谷駅などに向かう東急バスが頻繁に通っています。一部の区間では「フリー乗降制」が採用されており、バス停でなくても降りたい場所で降りることも。ちなみに、深沢不動前から等々力まではバスで11分程度、自由が丘駅までは20分程度、駒沢大学駅までは8分程度、渋谷駅までは25分程度です。

深沢の「治安」

深沢エリア内は瀟洒な一戸建てが多い。自家用車を持ち車移動をする人も多そうだ。
深沢エリア内は瀟洒な一戸建てが多い。自家用車を持ち車移動をする人も多そうだ。

警視庁が発表した「区市町村別犯罪別認知件数」によると令和4年の深沢の年間犯罪総数は74件でした。これは世田谷区で起こった犯罪件数の2%程度。1丁目から8丁目までと広大ですが、駅から適度に離れ、文教地区でもある「深沢」は東京23区の中でも安心して暮らせるエリアのひとつといえるでしょう。

駒場の「地図」

深沢の「歴史」と「由来」

なぜ高級住宅街に? 深沢の「歴史」

「玉川通り」を超えるとさらに落ち着いた雰囲気の住宅街が広がる。
「玉川通り」を越えるとさらに落ち着いた雰囲気の住宅街が広がる。

山林や農地だった現在の「深沢」が高級住宅街となった発端は、明治40(1907)年に三軒茶屋から玉川(現在の二子玉川) 間に開通した「玉川電気鉄道」です。これに伴って大正2(1913)年に東京信託株式会社が新町駅(現在の桜新町駅)の近くに「新町住宅地」という高級住宅地の分譲を開始します。この宅地化は、東京信託株式会社が玉川電気鉄道の株主でもあり、鉄道利用者の増加を狙ったものだったそう。この開発の一部として、深沢7丁目や8丁目も開発されました。

桜新町1丁目にある「桜新町交番前」の道がY字に分かれている。ここが「桜新町住宅地」の入り口。道路脇には信託住宅発祥地の石標もある。交番の前にはサザエさんの像がある。
桜新町1丁目にある「桜新町交番前」の道がY字に分かれている。ここが「新町住宅地」の入り口。道路脇には信託住宅発祥地の石標もある。交番の前にはサザエさんの像がある。

大山街道(桜新町駅前の通り)から通称「サザエさん通り」を南に向かうと、玉川通りの手前でY字に分かれる通りがあります。その先が高級住宅地「新町住宅地」でした。 この住宅地内には、電灯や電話、下水道が整備され、のちには駐在所も設置され、計画された住宅地としては先進的な内容だったのでしょう。ちなみに、上の写真の右の通りを進むとすぐのところに「長谷川町子美術館」があります。

深沢7丁目の「都立深沢高校」。「清明亭」は非公開だ。
写真右手が深沢7丁目の「都立深沢高校」。敷地内にある「清明亭」は通常は非公開だ。

最初にこの「新町住宅地」を購入したのは、交通の便の良さを利とし、週末などに過ごす別荘にしようと考えた日本橋などで商いをして財をなした商人でした。その後、軍人や実業家もこの地を買い求めました。昭和に入って都市圏が拡大し、宅地の需要が増えたことにより、日常的にここに住み、都心へ通勤通学をする人も増加。現在、「深沢高校」(深沢7丁目)がある場所は、わかもと製薬の創業者・長尾欽彌氏の大邸宅でした。昭和6(1931)年に建てられた数寄屋造りの離れ「清明亭」は現存しており、高校の施設として利用されています。

新町住宅地内の桜並木の通り。この辺りは第一種低層住居専用地域でマンションも低層だ。
新町住宅地内の桜並木の通り。この辺りは第一種低層住居専用地域でマンションも低層だ。

現在の深沢7丁目と8丁目に隣接した通り沿いには宅地開発の記念として、数千本ものソメイヨシノが植えられました。「桜のトンネル」と呼ばれ、有名な桜の名所のひとつとなったことで、昭和43(1968)年に町名が「新町」から「桜新町」に改名されました。

駒沢公園にあったゴルフ場では、大正11年ごろに英国皇太子プリンス・オブ・ウェールズと日本皇太子(昭和天皇)が親善ゴルフを楽しまれたそう。
駒沢公園にあったゴルフ場では、大正11年にイギリスの皇太子と皇太子時代の昭和天皇が親善ゴルフを楽しまれたそう。

実は、紳士たちは、この近辺に別荘をもつことに楽しみがありました。それが、当時、現在の駒沢オリンピック公園がある場所にあったゴルフ場「東京ゴルフ倶楽部」です。玉川村(現在の野毛)や砧村(現在の砧公園)にもゴルフ場があり、この辺りは東京のゴルフの名所だったようです。週末を楽しむのに最適だったのですね。

深沢の「由来」

呑川沿いは桜並木になっていて春になるととても美しい。
呑川沿いは桜並木になっていて春になるととても美しい。

深沢という地名は、文字通り「深い沢」という地形が由来といわれています。呑川が台地を侵食して作り出した地形からこの名が付けられたのだとか。 諸説ありますが、鎌倉時代に鎌倉幕府3代将軍の源実朝の家臣土岐左衛門がこの地を与えられ、深く入り組んだ地形からこの名を付けたのだという説も。 世田谷区内には、深沢のほかにも、下北沢や上北沢、奥沢といった「沢」が付く地名がたくさんあります。

深沢はエリアによって雰囲気が異なる。畑が多いのが深沢6丁目周辺だ。
深沢はエリアによって雰囲気が異なる。深沢6丁目周辺は畑が多い。

明治22(1889)年の町村制施行時に、上馬引沢村、下馬引沢村、野沢村、弦巻村、世田ヶ谷新町村、深沢村が合併し、駒沢村が誕生します。このときに深沢村は駒沢村大字深沢となりました。昭和7(1932)年の世田谷区成立時に深沢1丁目から4丁目に区分され、昭和42(1967)年の住居表示の実施に伴う町区域の変更で現在の深沢1丁目から8丁目に区分されました。

住みやすさは?深沢の「魅力」

■1:近隣に公園が複数あって緑が豊富です

深沢エリア周辺にはたくさんの大きな公園があります。緑が豊富で広大な公園が住まいの近くにあるのはうれしいことです。それぞれをご紹介しましょう。

■駒沢オリンピック公園(世田谷区駒沢公園1丁目)

駒沢オリンピック公園
駒沢オリンピック公園は世田谷区内で最大級の広さを誇る。

駒沢オリンピック公園は、昭和39(1964)年に開催された東京オリンピックの際にサッカーやレスリング、バレーボールやホッケーの会場として使用された跡地につくられた公園です。前述したようにもともとは「東京ゴルフ倶楽部」というゴルフコースがありました。愛犬の散歩にも最適なとても広大で緑の多い公園で、サイクリングコースやジョギングコースが公園の外周を一周するような形で設けられています。

■JRA馬事公苑(世田谷区上用賀2丁目)

馬事公苑
馬事公苑は日本中央競馬会(JRA)が運営する公園だ。

JRA馬事公苑は、深沢エリアの北西ある、約18ヘクタールという、とても大きな公園です。2021年の東京五輪の開催に伴って休園していましたが、2023年の11月にリニューアルオープン。馬術競技場を備えていて、カフェもあり、レストランもあり、ピクニックのできる美しい芝生広場もあり、子ども広場やツリーハウスもあります。

■2:街なかも自然が豊かで心穏やかに過ごせそうです

深沢の杜緑地
湧水池の周囲には四季折々の花を楽しめる植物が植えられている。

かつて深沢エリアにはたくさんのお屋敷があり、その屋敷庭が緑地として整備されています。深沢8丁目の「深沢の杜緑地」は、もともと民家の庭にあった立派な門や園内の庭石、飛び石、水の流れなどを移設しながら残している公園です。このお隣には「カトリック無原罪聖母宣教女会」があります。通常は非公開ですがそこにも回遊式庭園があって世田谷区の特別保護区に指定されています。

呑川
呑川は、深沢から目黒区内を流れ、九品仏川と合流して大田区を通り、東京湾に流れ込む。

また、深沢周辺を水源とし、湧水を集めて循環させている「呑川」という川が深沢エリアを流れています。深沢7丁目から8丁目は開放水面をそのまま残した親水公園となり、1丁目から5丁目は暗渠化して緑道として整備されています。この呑川の両側には桜の木が植えられています。

■3:サザエさんの町としても知られています

長谷川町子記念館
長谷川町子記念館と美術館は道を隔てて向かい合わせに建つ。

桜新町駅南側の「サザエさん通り」には飲食店やドラッグストアなどが並びます。「サザエさん通り」をまっすぐ進むと、「長谷川町子記念館」と「長谷川町子美術館」(桜新町1丁目)があります。ここには、長谷川町子氏とその姉が集めた美術品が展示されていて、観光名所にもなっています。

前でも紹介した「桜新町一丁目緑地」。通称「サザエさん公園」と呼ばれる。立派な木々が印象的だ。
「桜新町一丁目緑地」は、通称「サザエさん公園」と呼ばれる。立派な木々が印象的だ。

美術館の南側すぐにも「桜新町一丁目緑地」という緑地があります。東京23区内ではなかなか見かけなくなった立派な木々に癒される場所です。

■4:人気の学校もたくさんある文教地区です

写真右手に「東京学芸大学附属世田谷小学校」がある。この辺りも一戸建て住宅が並ぶ人気の高い住宅地だ。
写真右手が「東京学芸大学附属世田谷小学校」。この辺りも一戸建て住宅が並ぶ人気の高い住宅地となっている。

深沢4丁目には国立の「東京学芸大学附属世田谷小学校・中学校」があり、校風に魅力を感じた優秀な生徒が、東京23区やそのほか、幅広い地域から集まっています。

日本体育大学
日本体育大学は閑静な住宅地にある。ここは桜新町駅から徒歩で18分ほどかかる距離だ。

また、深沢6丁目には「駒澤大学 深沢キャンパス」が、深沢7丁目には「日本体育大学世田谷キャンパス」があります。

写真右手が「東京都立園芸高等学校」。
写真右手が「東京都立園芸高等学校」。世田谷区域で栽培されている商品作物に影響を与えた学校だ。

深沢5丁目にある「東京都立園芸高等学校」は明治41(1908)年に創立した歴史のある学校です。かつて、この周辺は農地が多かったので、地元の農家の子どもたちがここに入学し、教員が近隣の農家に技術指導を行うこともあったそう。特に、温室栽培は当時の最先端技術だったそうです。

■5:車移動の便利な街です

「玉川通り」の高架上には首都高速3号線が通る。
「玉川通り」の高架上には首都高速3号線が通る。

深沢エリア内には北側を東西に「玉川通り」が、南側には東西に「駒沢通り」が通っています。さらにその2本の通りを結ぶのが「駒沢公園通り」。ショッピングスポットとしての人気の高い自由が丘や二子玉川までは車で10分程度です。

■6:エリア内には活気のある商店街があります

おしゃれなカフェやレストランが並ぶ駒沢公園通り沿い。
おしゃれなカフェやレストランが並ぶ駒沢公園通り沿い。

駒沢通りと駒沢公園通りが交差する深沢の街の真ん中には「深沢中央商店街」があり、この商店街周辺の通りには、おしゃれなカフェやベーカリー、レストランなどが並び、注目を集めています。

コシュカ(世田谷区深沢5丁目)はバゲットなどのパンが人気。
「コシュカ」(世田谷区深沢5丁目)はバゲットなどのパンが人気。行列が絶えない人気店だ。

駒沢公園が近いこのエリアは、ドッグカフェも多数。駅は近くにないものの、住民が立ち寄ることのできる活気のある商店街が街じゅうにあるのは安心です。

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世田谷区深沢エリアに住むとなると「駅が近くにない」という不便さを感じるかなと思いましたが、自由が丘や二子玉川など人気の高い駅を経由するバスが豊富に通っているので問題なさそうです。長い桜並木やイチョウ並木が続く道は、歩くのもだって楽しそう。おしゃれな商店街もあり、ここならば豊かな生活ができそうです。

参考:世田谷区ホームページ
   目黒区ホームページ
   深沢中央商店街
   馬事公苑
   世田谷区の歴史と歴史と文化(世田谷区立郷土資料館)
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PHOTO :
AC,柳堀栄子
WRITING :
柳堀栄子