「碩学」という言葉をご存じですか? あまり馴染みのない言葉ですね。「碩学」は「せきがく」と読み、「博学であること」や「広く深く学問を修めた人」を表す言葉です。今回は「碩学」について、その意味や使い方、言い換え表現を解説します。一緒に学びましょう!

【目次】

「博学であること」や「博学な人」を表します。
碩学とは「博学であること」や「博学な人」を表します。

【「碩学」の「読み方」「意味」】

■読み方

「碩学」とは「せきがく」と読みます。

■意味

「修めた学問が幅広く深いこと」「博学であること」や「広く深く学問を修めた人」を「碩学」と言います。少々堅い印象なのは、文章語だからでしょう。「碩学」の「碩」には「大きい」「盛んな」「立派な」といった意味があります。ここから「立派な言葉」は「碩言(せきげん)」、「学問や人格が秀でた人」は「碩士(せきし)」 という意味になりました。

【「博学」「博識」との「違い」は?】

■「博学」「博識」の意味

「博学」は「広く種々の学問に通じていること。また、そのさまや、その人」を意味する言葉です。そして「博識」は「知識が広い分野に及んでいること。広く物事を知っていること。また、そのさま。博学」という意味になります。「博」という文字には「幅広い」という意味があるのです。どちらの言葉も、文章はもちろん対面での会話でも使われる言葉です。

■「碩学」との違いは?

「博学」の場合、身につけた学問はひとつに限らず、さまざまな学問にも通じ、広くいろいろな知識をもっていることを表現しています。「碩学」と意味はほぼ同じですが、「博学」は話し言葉でもあり、広く一般的に使われています。また、「広く種々の学問に通じた人」の意味ももちますが、現在では「博学な人」「博学者」のように用いられ、人そのものを示すことは多くありません。「博識」は、学問的な事柄だけでなく、政治や社会、文学、芸術など、多方面にわたる知識に広く用いられます。


【「使い方」がわかる「例文」4選】

■1:「弁護士であり医師でもある彼女は、碩学と呼んでいいだろう」

■2:「当時、その学問所には多くの碩学の徒が集ったそうだ」

■3:「彼の碩学ぶりには脱帽と言うほかないな」

■4:「碩学の長老から学ぶべきことは多い」


【「類語」「言い換え」表現は?】

「碩学」という言葉はあまり一般的なものではありません。言い換え表現を覚えておきましょう。

博学:「博学」は「広く種々の学問に通じていること。また、そのさまや、その人」。

博学多才(はくがくたさい)」:「広く諸学に通じ、才能が豊かであること」を表す言葉です。学問に通じた「人」という意味はありません。

学者:「学問を生業とする人」のこと。

学究:「学問、研究に没頭すること。また、そういう人」を「学究」と言います。生業として学問を行っているかどうかはあまり関係がありません。

物知り:「物知り」は、「博識」と同様にも用いますが、学問的な事柄よりも、身近な事柄、例えば漢字や草花の名をよく知っているとか、しきたりや生活の知恵に詳しいなどと言うときに用います。

生き字引:「字引」(=辞書)のように、「尋ねるとなんでもわかるほど、ものごとをよく知っている人」のこと。


【「英語」で言うと?】

「碩学」そのものズバリの英単語はありませんが、「優れた学者」を意味する[a man of great (profound) learning][great scholar]といった言葉で表現できます。

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いかがでしたか? 「碩学」という言葉は文章語であり、平安時代初期に編さんされた勅撰の歴史書『続日本紀(しょくにほんぎ)』に記載があるほど、日本でも古くから使われてきた言葉です。「博学」と同じような意味の言葉ですが、あまり気軽に使うのはためらわれますね。ちなみに対義語は「浅学(せんがく)」。「大人の語彙力」として、ぜひ覚えておきたい言葉ですね。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) /『使い方の分かる 類語例解辞典』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :