「瞠目」は「どうもく」と読み、「感心して目を見張ること」を意味します。日常生活ではあまり使うことはないかもしれませんね! 今回は「瞠目」について、その詳しい意味や使い方のわかる例文、間違えやすい「刮目」との違いなどを解説します。

【目次】

「瞠」には「驚いて見る」という意味があります。
「瞠」には「驚いて見る」という意味があります。

【「瞠目」の「読み方」「意味」など「基礎知識」】

■読み方

「瞠目」は「どうもく」と読みますよ。

■意味

「瞠目」は「驚いたり感心したり、あるいは感動して、目を見張ること」。「呆れて見つめる」という意味もありますが、現在ではポジティブな意味で使われることが多いようです。「瞠」には、これだけで「見つめる」「目を見張る。驚いて見る」といった意味があり、「瞠目」は同じような意味の文字を重ねて意味を強調した熟語です。


【「刮目」との「違い」、知ってる?】

「刮目」は「かつもく」と読み、「注意して見ること」を意味します。「刮」の文字には「こする」という意味があり、ここから「目をこすって、よく見ること」という意味になりました。「刮目に値する」「刮目して待つ」のように使われます。「瞠目」は何かを見た結果として「感心」「感動」「驚愕」してさらに「見つめる」ことですが、「刮目」は感心をもって(今後の成り行きを)注意して見る」といったニュアンスです。ですから「今後の成り行きを刮目して待つ」という言い方はしますが、「今後の成り行きを瞠目して待つ」とは言いません。


【「使い方」がわかる「例文」4選】

「瞠目」は「瞠目すべき○○」や「瞠目に値する○○」のように使われます。

■1:「彼は入社一年目にして、瞠目すべき成果を挙げている」

■2:「この発案は瞠目に値する出来栄えだ。我が社の社運を左右すると言っていい」

■3:「彼女のプレゼンターとしての能力に、その場にいる全員が瞠目した」

■4:「誰も真似ができない彼女の豊かな発想には、いつも瞠目させられる」

「瞠目」は、驚愕や感心、あるいは感動など、心が大きく動かされたときに使われる言葉です。些細な出来事に使うと、少々大げさに聞こえるので注意してくださいね。


【「類語」「言い換え」表現】

日常会話ではあまり馴染みのない「瞠目」の言い換え表現も覚えておきましょう。

・目を丸くする

・息を呑む

・目を見張る

・感服する

・舌を巻く
「舌を巻く」は「驚き、恐れ、また、感嘆して言葉も出ない様子」のこと。


【「対義語」は?】

驚いたり感心したり、感動したりして目を見張る「瞠目」の「対義語」には、どんなものがあるでしょうか。

・平静:態度や気持ちが穏やかで静かなこと。

・平然:慌てることなく落ち着いていて平気な様子。

・泰然(たいぜん):落ち着いていて動じない様子。

・こともなげ:平然としている様子。

ただ単純に「目を閉じる」という意味であれば「瞑目(めいもく)」も対義語と言えます。ただ、「瞑目」には「安らかに死ぬこと」という意味もありますから、使用には注意が必要です。


【「英語」で言うと?】

「瞠目」を英語で表現する際には、 「じっと見る、凝視する、見つめる」という意味をもつ[gaze]を使いますが、この英単語だけでは「瞠目」の「感心して」「感動して」「驚いて」の意味を伝えるには不十分です。[in wonderment]を一緒に使えば「驚いて」の意味を、[with admiration]を加えれば「感動して」といったニュアンスを添えられます。

・I gazed at the stars with admiration.(感動して星を眺めた)

・She gazed in wonderment at the result.(彼女はその結果に瞠目した)

***

一般には「瞠目」よりさらに馴染みのない言葉ですが、「瞠若(どうじゃく)」「瞠然(どうぜん)」も「目を見張って驚く様子。あきれて見つめる様子」を表す言葉です。また「瞠瞠(どうどう)」でも「目を見張る」「驚いて見る」ことが表せますよ。おもしろいですね!

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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館) /『デジタル大辞泉』(小学館) /『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) /『ランダムハウス英和大辞典』(小学館) /『新選漢和辞典Web版』(小学館) /『角川類語新辞典』(角川書店) :