新連載「Tomorrow Will Be Precious!」明日への希望をアクションに変える

雑誌『Precious』4月号からスタートの新連載【Tomorrow Will Be Precious!】では、明日への希望をアクションに変える人たちの活動に注目し、紹介していきます。

今回は、N.Y.を拠点に、世界中の難民と、その支援を望む企業とを結びつけるエリン・ザイキスさんのお仕事に注目しました。

エリン・ザイキスさん
「Rise by Sundara」ファウンダー/「HIAS」シニアディレクター
大学卒業後、企業に就職。転勤でタイにいた際にインドへ行く機会があり、その後会社を辞めてムンバイの孤児院で生活する。ホテルの石鹸をリサイクルして1日2ドル未満で暮らす子供たちに配布する非営利団体「Rise by Sundara」を設立。アジアやアフリカの女性起業家への資金提供も行う。’22年より難民の再定住を支援する団体「HIAS」に参加。

不可抗力で苦しんでいる人の力に。難民が再定住できる場所を探し続ける

「Rise by Sundara」ファウンダー/「HIAS」シニアディレクターのエリン・ザイキスさん
「Rise by Sundara」ファウンダー/「HIAS」シニアディレクターのエリン・ザイキスさん

エリンさんは現在、難民の再定住を促進する団体「HIAS」でシニアディレクターを務めている。N.Y.を拠点に、世界中の難民と、その支援を望む企業とを結びつけるのが仕事だ。

「ケニアではウーバーと提携し、難民が医療を受けるための配車サービスを提供。アマゾンと提携してウクライナ難民に冬用の衣類や家庭用品も寄付しています。ポーランド難民のメンタルヘルスと社会的ケアのために、製薬会社モデルナから資金提供もとりつけました。戦争や飢餓、政治的・性的迫害、経済的苦痛による迫害――。現在、世界には1億1千万人を超える難民がいます。 “助けなくてはいけない人々” と “助けたい企業” との関係をつなぎ、不可抗力で苦しんでいる人々の力になりたい。それが私の未来への想いです」

映画『スラムドッグ$ミリオネア』を観てインドに興味をもち、大学卒業後、会社勤めを経て、ムンバイの孤児院で130人の女の子たちと数か月暮らした経験が、エリンさんの人生を決定づけた。「自分がどれだけ幸運かを知った」彼女は、恵まれない人々を助けることを自身の使命としたのである。その後、タイに渡って性産業で人身売買された子供たちの援助をしているときに、石鹸で手を洗ったことがない子がいることを知って、ホテルの石鹸をリサイクルして配布する活動を開始。非営利団体「Rise by Sundara」として、アジアやアフリカで衛生の改善に尽力してきた。そして’22年。ウクライナで戦争が始まった。

「私の母方の家族はウクライナ出身です。もし彼らがアメリカで新しい生活を始めるべく国を離れていなかったら、私も戦争を経験することになっていたかもしれない。とても他人事ひとごとには思えなかった。それで、『HIAS』に参加したのです。今後は、一対一で人を癒やすヒーリング・ワークもやっていきたい。ストレスや孤独、混乱を抱える人々がますます増えていく世の中で、より多くの “内なる平和” を見つける手助けができたら、と思っています」

◇エリン・ザイキスさんに質問

Q.朝起きていちばんにやることは?
携帯電話のチェック…悪い習慣です(笑)。太陽の光を浴びることは大切なので、愛犬ヨシと散歩も。

Q.人から言われてうれしいほめ言葉は?
「母性的で寛大で、おおらかな人」

Q.急に休みがとれたらどう過ごす?
ギリシャへ飛んでムサカとメロマカロナのつくり方を学びたい。タイでムエタイを学んだり、タイ式マッサージをしたりも。 DJのクラスに入って、アマピアノミックスのつくり方を学ぶのもよいですね。

Q.仕事以外で新しく始めたいことは?
アーユルヴェーダや中国医学についてもっと学びたい。

Q.10年後の自分は何をやっている?
家族をもち、庭をもち、コミュニティに積極的に参加し、定期的に旅行している。大好きな日本と南アフリカへはぜひ旅したい!

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PHOTO :
Hiroshi Abe
EDIT&WRITING :
剣持亜弥、木村 晶・喜多容子(Precious)
取材 :
Junko Takaku