「氏神」を読めますか? なんのことかわかりますか? 「うじがみ」と聞けばなんとなくわかる、という人もいるかもしれませんね。「氏神さま」と親しみを込めて呼ばれるこの神さまは、とても身近な存在です。自分の「氏神さま」はどこにおられるのか、ぜひ確認してみてください。

【目次】

あなたの「氏神神社」はどこ?
あなたの「氏神神社」はどこ?

【「氏神」とは?「読み方」「意味」「由来」 】

■読み方

「氏神」は「うじがみ」と読みます。

■意味

氏人(うじびと)が祀(まつ)る氏族と関係の深い神や氏族の祖先神(そせんしん)や、その神様を祀った神社のことを「氏神」と言います。氏人は同じ氏族に属している人のことですが、簡単に言うと「氏神」とは「一門一族の神」のことで、藤原氏の春日神社などがそれにあたります。また、「氏神」は村や町など、ある一定の地域を守る神さまのことでもあります

■由来

もともとは、血縁関係にある氏族が祀った神さま、一族の祖先、また、ゆかりのある神さまを「氏神」と言いました。ですから、その土地を離れて違う地域に住んでも「氏神」は変わりません。ところが中世以降になると血縁より地域的な関係が強くなり、「氏神」神社の周辺に住む人々は氏族でなくても「氏子(うじこ)」と呼ばれるようになります。

この「氏神」さまに加え、私たちの周りには土地や地域、城や寺社などの造営物を守る「鎮守神(ちんじゅがみ)」と、その人や一族が誕生した土地の守護神である「産土神(うぶすながみ)」がいます。生まれてからずっと同じ地域で暮らしている人は「産土神」と「鎮守神」、「氏神」が同じということになりますが、それぞれ違う、という人もいるのです。現在いちばん身近なのは、やはり住んでいる地域の「氏神」でしょう。氏族に関係なく、その神さまが守っている地域に住んでいれば、氏子であると考えてよいのだそう。血縁より地縁、ということですね。


【自分の「氏神」さまの見つけ方、参拝のタイミング】

■「氏神」さまはどこに?

神社ごとに氏子とする地域があるので、最寄りの神社が自分の氏神である(自分を氏子とする)とは限りません。とはいえ参拝自体はご利益につながるので、行きやすい神社を自分の氏神さまとしてもかまわないようです。厳密に自分の住んでいる地域の氏神神社を知りたいなら、最寄りの神社に聞いてみたり、各都道府県の神社庁にあたってみるといいでしょう。

■初詣は有名神社より氏神様に?

神社の参拝に、タイミングや回数などの決まりごとはありません。願いごとがあるとき、心を鎮めたいとき、あるいは願いが叶った際のお礼参りなど、自分のタイミングで参ってOK! そもそも神社仏閣には地域の集会所のような役割があり、広く開かれた場所です。また、観光名所として多くの人でにぎわう寺社もあります。旅先などで訪れることもあるかもしれませんね。氏神神社でなければいけない…ということはないのです。

ただし、過ぎた1年に感謝し、新年の無事と平安を願う初詣に限っては、まずは氏神さまにお参りを…ともいわれています。これも、いちばん身近な神様にまずはお礼と祈りを捧げる、ということなのでしょう。ですから「氏神さまより先に明治神宮に参拝しちゃった!」という場合でも大丈夫。氏神さまは広い心で見守ってくれますよ。


【神社は2種類?「氏神神社」と「崇敬神社」の違い】

今回取り上げている「氏神さま」がおられる神社は「氏神神社」といいますが、「崇敬(すうけい)神社」という名称を聞いたことはありませんか? 日本の神社には「氏神神社」と「崇敬神社」があります。「崇敬神社」とは、地縁や血縁的な関係ではなく、個人的な信仰などによって崇敬される神社のこと。ですから「氏神さまはA神社だけど、B神社も崇敬している」という人の場合、A神社が氏神神社でB神社が崇敬神社ということになります。


【英語では何と言う?】

「氏神」は守護神を意味する[tutelary deity]、「神社」は[(Shinto) shrine]ですが、「氏神神社」は[Ujigami Shrine]でいいでしょう。

・I am going to visit a Ujigami Shrine tomorrow.(明日、氏神様に参拝します)

・The first visit to Ujigami Shrine(初詣は氏神神社へ)

・Every year on New Year's Day, I go to Ujigami Shrine for the first visit of the year.(毎年元日に氏神神社へ初詣に行きます)

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とくに信心深いわけではなくとも、「住む場所の氏神さまが守ってくれている」という考えは、安心を与えてくれます。また、たとえ旅先の神社であれ、参拝は心が鎮まるもの。神社の“よい気”に触れるだけでも、心が洗われますよね。穏やかなマインドを保つためにもぜひ利用したいところです。もちろんマナーはしっかりと。鳥居の下では一礼し、参道は中央を避けて歩き、手水があれば口や手をすすぎ、お賽銭をして、二礼・二拍手・一礼の順でお参りを。御朱印やお守りなどの授与はそのあとで…が大人のふるまいですよ。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本国語大辞典』(小学館)/『デジタル大辞泉』(小学館)/『角川類似新語辞典』(KADOKAWA)/神社本庁ホームページ/『プログレッシブ和英中辞典』(小学館) :