「土饅頭」ってなんのこと?誤解はNGな言葉です!
明日、3月25日は、令和6年の春の「社日(しゃにち)」です。日本古来、「社日」は春と秋、年に2日あり、春分と秋分に最も近い「戊(つちのえ)の日」に土地の守護神・産土神(うぶすながみ)を祀ります。そして、春の「社日」は、その年の五穀豊穣を願い、秋の「社日」は、収穫に感謝する日…とされております。明日はぜひ、農産物を育ててくれる自然の恵みに改めて感謝しながら、お食事を頂いてくださいね。ということで本日は、「土」という字の入った日本語クイズをお送りします。
【問題1】「土饅頭」ってなんと読む?
国語辞典に掲載されている「土饅頭」という日本語の正しい読み方をお答えください。
ヒント:「土」の読み方がポイントです。
<使用例>
「軽々しく『これ、土饅頭かも?』なんて言うものじゃないわ」
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 土饅頭(どまんじゅう) です。
「土饅頭」という表記、言葉を知らないと「つちまんじゅう」と読んでしまいそうですが、「どまんじゅう」と読みます。音読みは漢語読みから来た読み方、訓読みは日本でつくられた読み方ですが、「土」は人間との関わりの歴史が古いからか、「土蔵」「土台」「土足」などなど、音読みで定着した言葉がとても多いです。というところで「土饅頭(どまんじゅう)」に戻って、2問目にまいりましょう。
【問題2】「土饅頭」って何?
「土饅頭(どまんじゅう)」という日本語の意味として正しいものを、以下の選択肢の中から選んでください。
1:田舎の人を揶揄する言葉
2:農民を卑しめて言う語
3:土を盛った簡素な墓
…さて、正解は?
※「?」画像をスクロールすると、正解が出てまいります。
正解は… 3:土を盛った簡素な墓 です。
「土饅頭(どまんじゅう)」とは、「土を盛った形の墓」を指す言葉です。函館の五稜郭などにも「亡くなった兵士を埋葬した土饅頭」に、松の木が植えられたものなどが残っています。熊の出る地域では、「熊が食べきれなかった獲物を埋めておく、土の盛り上がり」を「土饅頭(どまんじゅう)」と言うようですが、こちらも「死んだ動物(人間含む)」が入れられている、という点で「墓」かもしれません。「土」とつく言葉には、歴史が古いゆえに、現代のコンプライアンス的にはセンシティブな表現が少なくありません。今回のダミー選択肢であった「田舎の人を揶揄する語」には「土臭い(つちくさい)」、「農民を卑しめて言う語」には「土百姓(どびゃくしょう/どんびゃくしょう)」などがそれにあたります。「土臭い」は「土の香りがする」という意味でも使われますが、使い方によっては誤解されかねない言葉であることを意識しておきましょう。
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本日は、3月25日、令和6年の「社日」にちなんで、「土」という字の入った日本語から、
・土饅頭(どまんじゅう)
の読み方、言葉の意味、背景と、
・「土」とつく言葉の留意点
などをおさらいいたしました。
- TEXT :
- Precious.jp編集部
- BY :
- 参考資料:『日本大百科全書(ニッポニカ)』『精選版日本国語大辞典』『デジタル大辞泉』(株式会社小学館)/一般社団法人日本記念日協会ウェブサイト/北茨城市ウェブサイト/函館市公式観光サイト『はこぶら』/知床財団ウェブサイト/『漢字ペディア』(公益財団法人日本漢字能力検定協会)/photo AC
- ILLUSTRATION :
- 小出 真朱