毎年、桜の季節になると、テレビや新聞の「開花予想」が気になります。日本人にとって、桜は心の琴線に触れる特別な花ですよね。ところで、3月27日の「さくらの日」をご存じですか? 今回は「さくらの日」の意味や由来、桜の花を詠った和歌など、桜に関する雑学を解説します!

【目次】

日本では「花」と言えば……?
日本では「花」と言えば…?

【「さくらの日」とは?まずは「概要」から】

■「さくらの日」って、いつ、どんな日?いつから始まった?

「さくらの日」は3月27日です。国の法律により定められた「国民の祝日」ではありませんが、「日本さくらの会」により、1992(平成4)年に制定されました。日本の歴史や文化、風土と深く関わりのある「さくら」を通して、日本の自然や文化について国民の関心を深めることを目的としています。

■「日本さくらの会」って?

「日本さくらの会」とは、1964(昭和39)年に設立された公益財団法人。日本の桜を守り育てるため、「宝くじ桜」配布事業をはじめ、さまざまな桜植樹事業を実施しています。現在までに約320万本の桜の植樹を行ったほか、「さくら名所100選」の選定や「日本さくらの女王」の選出なども「日本さくらの会」による活動です。

■「日にち」の理由は?

3月27日に制定された理由については、ふたつの説があります。ひとつは、「3×9(さくら)=27」の語呂合わせであるという説。もうひとつは、七十二候のひとつである「桜始開(さくらはじめてひらく)」の時期が重なることから、という説です。いずれにせよ、3月27日前後は、毎年桜が美しく咲き誇る時期に重なることが多いですね。


【「さくらの日」は「何をする」日?】

「さくらの日」に「何をするか」は、特に決まってはいません。ただ、時期的に桜の開花時期と重なるので、お花見をする人が多いのでは。

■お花見

実は「お花見」という言葉には、「花を見ること」だけではなく、「宴を催すこと」という意味が含まれています。「お花見」は日本独特の習慣で、奈良時代や平安時代では貴族の行事だったものが、江戸時代に広く庶民に広がりました。

桜餅・草餅・三色団子をいただく

春の和菓子の定番といえば、桜餅や草餅、三色団子ですね。三色団子は別名「お花見団子」とも呼ばれています。


【桜にまつわる「雑学」あれこれ】

■たくさんある!「桜」が入った言葉

・桜花爛漫(おうからんまん):桜の花が咲き乱れている様子。

・秋桜:コスモスの別称。

・徒桜:散りやすい桜の花。はかないもののたとえ。

・桜雲(おううん):桜の花が一面に咲き続いて、遠方からは白雲のように見えること。花の雲。

・桜雨:桜の花の咲くころに降る雨。

・桜狩り:桜の花を見ながら山野を歩くこと。

・桜吹雪:桜の花びらが舞うように散る様子。桜が散る様子を雪が激しく降る様子にたとえた言葉。

■「百人一首」に詠まれる桜

小倉百人一首には、桜を詠んだ歌が6首あるといわれています。はっきり「桜」とされているものもあれば「花」と書かれているものも。「花」は平安時代以後、多くは桜の花(まれに梅の花)のことを指していました。花と詠んで桜を連想するのは、やはり日本人独特の感性なのでしょうね。

花の色はうつりにけりないたづらに わが身世にふるながめせしまに  小野小町
(雨の日が続いて、桜の花の色は儚(はかな)く褪せてしまいました。同じように、むなしく物思いしている間に私の容貌も衰えてしまいました…)

久方の光のどけき春の日に しづこころなく花の散るらむ       紀友則
(日の光がのどかな春の日に、どうして桜の花ははらはらと散り急ぐのでしょう)

いにしへの奈良の都の八重桜 けふ九重ににほひぬるかな       伊勢大輔
(その昔、奈良の都で咲いたという八重桜が、今日は京の都の宮中でひときわ美しく咲き誇っています)

もろともにあはれとも思へ山桜 花よりほかに知る人もなし      大僧正行尊
(私がお前をしみじみ愛おしく思うように、お前も私を愛おしく思っておくれ、山桜よ。この山奥ではお前以外に、私の心をわかってくれる友はいないのだから)

高砂の尾上の桜咲きにけり 外山の霞立たずもあらなむ        前中納言匡房
(遠く高い山の峰の桜が美しく咲いた。人里近くにある山の霞よ、どうか立たずにいておくれ。あの美しい桜が霞んでしまわないように)

花さそふ嵐の庭の雪ならで ふりゆくものはわが身なりけり      入道前太政大臣
(桜の花を誘って散らす嵐が吹く庭は、まるで雪のように花が降りゆきます。でも実は、本当に散りゆくのは、老いていく我が身なのだなあ)

このほかにも「世の中にたえて桜のなかりせば 春の心はのどけからまし」(『古今和歌集』紀友則)など、桜を詠った和歌は数多くあります。

■「日本さくらの女王」って?

「日本さくらの女王」は、日本の国花「さくら」を象徴する親善大使です。「日本さくらの会」により、1966年に初代女王が選出されて以来、2年に1度全国から選ばれ、桜の愛護や育成、保全推進の象徴としてボランティアで活動しています。アメリカやドイツなどを親善訪問して海外のさくらの女王とも交流し、国際親善にも努めます。2024年2月には、杉浦美桜里さんが第30代「日本さくらの女王」に選出されました。

■桜の種類

桜は植物学上、バラ科、サクラ属の落葉高木または低木の樹木です。日本にはヤマザクラ、オオシマザクラなど約10種を基本として、変種をあわせると100種類以上のサクラが自生しており、沖縄には野生化したといわれるカンヒザクラがあります。また、これらから育成された園芸品種は200~300種類あります。花色は白から濃紅色、花弁数は5から350を超えるものまで、花弁の大きさも小から大と実に多彩です。私たちにいちばん馴染みの深いソメイヨシノ(染井吉野)は、江戸末期に東京・染井村で生まれた品種。九州から北海道の石狩平野あたりまで植栽されているといわれ、エドヒガンとオオシマザクラの交雑種です。

■桜の「開花日」とは?

「桜の開花日」とは、気象庁が定めた標本木に5~6輪以上の開花を認めた最初の日です。「満開日」は、標本木の約80%以上のつぼみが開いた最初の日。観測の対象は主にソメイヨシノです。ソメイヨシノが生育しない地域では、ヒガンザクラやエゾヤマザクラを観測します。

■世界の桜の分布

桜は主に、北半球の温帯に広く分布しています。なかでも、美しい花を咲かせる種類はアジアに多く、しかも日本列島を中心に、多くの種類が集中しているそうです。また、中国や朝鮮半島にもかなりの種類があり、中国の奥地やヒマラヤ地方などには、ヒマラヤ桜のように美しい花の咲く種類が分布しています。一方でヨ-ロッパには、日本のように美しい花が咲く桜の種類はなく、サクランボ、いわゆるミザクラの類があります。北米大陸には、日本にもあるウワミズザクラに近いような種類や、常緑の種類などはありますが、これらは、日本人の桜の概念からはかけ離れた種類ばかりだそうですよ。

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「花の咲く時期、開花期を予測すること」を「開花予想」と言います。気象庁は桜の「開花状況」や「満開情報」を、公式ホームページで12月から6月までの間、1日3回(!)更新しています。2024年は当初の予想を外れて開花が遅れていますが、ちょうど「さくらの日」のころには、街がピンクに染まり始めるのではないでしょうか。今回ご紹介した桜の雑学を頭の片隅に留め、お花見を楽しんでくださいね。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /日本さくらの会https://www.sakuranokai.or.jp /気象庁HP「生物季節観測の情報」(https://www.data.jma.go.jp/sakura/data/index.html) /日本気象協会HP「桜開花・満開予想 2024」(https://tenki.jp/sakura/expectation/) :