「電気記念日」は、日本で初めて電灯がともされた日。今回は、この「電気記念日」をさらに詳しく、由来や歴史、電気に関する雑学についても解説します!

【目次】

電気記念日とは?日本の電気事業の発祥を記念して制定されました。
日本の電気事業の発祥を記念して制定されました。

【「電気記念日」って知ってる?】

■「電気記念日」とは

日本における電気事業の発祥を記念するために、1927年(昭和2)に一般社団法人日本電気協会が制定、翌年1928年3月から実施された記念日です。この日は、全国各地でさまざまな記念行事が開催されています。

■「由来」

「電気記念日」は、1878(明治11)年に東京・虎ノ門で日本初の電灯が点灯されたことにちなみます。


【「電気記念日」はいつ?その「日にち」になった理由は?】

■2024年の「日にち」は?

「電気記念日」は、毎年、3月25日です。

■どうしてその日になったの?「理由」

明治政府の官庁のひとつだった工部省電信局は、万国電信連合に加盟する準備として、1878(明治11)年に東京・木挽町(現在の銀座)に電信中央局を設けました。その開局祝賀パーティが催された東京・虎ノ門の工部大学校(現在の東京大学工学部)の講堂で、日本で初めてアーク灯が点灯されたのが、3月25日だったのです。

この祝賀パーティは、大臣や各国行使など150名を超える人々が参加し、盛大に行われました。 この日、会場に電気灯を使用するよう、伊藤博文工部卿から命ぜられていたのは、英国人のエアトン教授。教授はグローブ電池50個を使い、講堂の天井に設置されたアーク灯を点灯するため、自ら難しい調整にあたったといいます。 やがて午後6時、エアトン教授の合図とともに目もくらむような青白い光がほとばしり、講堂をくまなく照らし出すと、その場にいた来賓たちは、「不夜城に遊ぶ思い」と驚嘆の声をあげたそうです。 これが、日本で電灯が公の場で初めて点灯された瞬間でした。

■一般市民が初めて電灯を見たのはいつ?

日本で電灯が初めて点灯された翌年の1879(明治12)年には、アメリカでエジソンが白熱電球を発明し、日本にも輸入されました。そして1886(明治19)年に東京に電灯会社が生まれ、電灯に動力にと、電気の時代が幕を開けました。 一般の市民が公の場で初めて電気による光を目にしたのは、 1882(明治15)年のことです。この年の7月に東京電灯会社が銀座二丁目の大倉組の中に創立仮事務所を置き、11月1日、事務所の前に設置した宣伝用の街灯を点灯しました。 当時の新聞は「見物の群集は市街に満ち」と報じ、そのときの様子を描いた錦絵も登場しました。


【「電気記念日」と電気にまつわる「雑学」】

■東京タワーのライトアップにかかる電気代は?

1989(明治22)年1月1日より点灯されている東京タワーのライトアップは、「ランドマークライト」と呼ばれるもので、計180灯が東京タワーの鉄骨を浮かび上がらせています。春・秋・冬は温かみのあるオレンジ色のライト(高圧ナトリウムランプ)、夏は涼しげなシルバーライト(メタルパライドランプ)の2種類が使われていますよ。また、2019(令和元)年10月からは「インフィニティ・ダイヤモンドヴェール」も併せて点灯を開始。こちらは東京タワー17段に設置したLEDライト268台で形成されています。気になる電気代は、1日平均で2万1,000円程度。あれ程の規模の愛とライトアップがこの費用とは、意外とお安いんですね!

■電気代がいちばん高い家電は?

家電製品のなかで電気代が最も高いのは、年間を通してエアコンです。そして夏場はエアコンに続く2位が照明、3位は冷蔵庫です。冬場では、2位が冷蔵庫、3位が給湯だそうです。冷蔵庫って、意外に電気代がかかること、ご存じでしたか? 

■ヘアドライヤーの電気代は10分でいくら?計算してみよう!

私たちがほとんど毎日使っているヘアドライヤーは、10分間でどれくらいの電気料がかかっているのでしょうか。とはいえ、「強」で一気に乾かす場合と、「弱」でゆっくり乾かす場合とでは、電気代は変わってきそうですよね。そこで電気代の概算方式をご紹介しましょう。

まずはW(ワット)数を消費電力量に置き換えます。ヘアドライヤーの「強」が1200W(ワット)だとすると、1時間あたりの消費電力量は(1200W÷1000=1.2kWh)です。仮に電気代を1kWh=約30円とすると(1.2kWh×30)で、36円となります。ヘアドライヤー10分の使用であれば、所要時間は1時間の6分の1ですから、「強」モード10分にかかる電気代は約6円となります。ヘアドライヤーの「弱」モードは600Wが多いので、こちらも計算してみましょう。髪が乾くまでに「強」の1.5倍にあたる15分かかると仮定すると、電気代は(600÷1000×30)の4分の1。「弱」モード15分にかかる電気代は約4.5円です。「強」でかかる時間の倍にあたる20分以内に乾けば、「弱」のほうが「強」よりも電気代が安くすみますね。

■「電気料金の三原則」とは?

一般家庭の電気料金は、基本料金、電力量料金、燃料費調整額、および再生可能エネルギー発電促進賦課金で構成されています。基本料金は、契約電力(kW)や契約容量(kVA)に比例する固定的な基本料金です。そして基本料金と電力量料金単価の決定は、「原価主義の原則」、「公正報酬の原則」、そして「電気の使用者に対する公平の原則」の3原則に基づき行われています。

原価主義の原則:料金は、能率的な経営のもとにおける適正な原価に適正な利潤を加えたものでなければならない。
公正報酬の原則:設備投資等の資金調達コストとして、事業の報酬は公正なものでなければならない。
電気の使用者に対する公平の原則:電気事業の公益性という特質上、お客さまに対する料金は公平でなければならない。

この3原則があることにより、電力会社の利用者は過剰な料金を請求されることがなく、同時に電力会社も電気を供給するためにかかった費用を回収できるバランスが保たれています。電気料金を値上げする場合は、経済産業大臣の認可が必要となります。

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「電気記念日」は、今から約150年前の1878年に、日本で初めて電灯が点灯されたことにちなんだ記念日です。私たちにとって、電気は水と同様に重要なインフラ。例えば、スマホ用の充電器が簡単に借りられる充電レンタルスポットも、今や当たり前の存在となりつつあります。携帯電話の普及率が90%を超えていた10年前であっても、この利便性はとても想像できませんでした。一方で、燃料の高騰による電気料金の高止まりは、当面の間、回避できそうにありません。新年度に入り、改めて電気の重要性を再認識すると共に、使い方を見直してみてはいかがでしょうか。

この記事の執筆者
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参考資料:『日本大百科全書 ニッポニカ』(小学館) /『デジタル大辞泉プラス』(小学館) /一般社団法人日本電気協会「電気記念日の由来」https://www.denki.or.jp/about-event-origin/ 東京タワー「タワペディア」https://www.tokyotower.co.jp/plan/towerpedia/ Panasonic「電気の基本:電気代」https://www2.panasonic.biz/jp/basics/electric/electricity/electric-bill/ 電気事業連合会「電気料金のしくみ」https://www.fepc.or.jp/enterprise/ryokin/index.html#:~:text=基本料金と電力量,に基づき行っています%E3%80%82 :