共感できない役こそ自分自身が解放されるんです
その瞳に映るのは、狂気か孤独か─。役づくりには、感性で挑むという岡田さんだが「でも、いちばん大切にしているのは“目”なんです」と、語る。「台本を読んでいるときから、こういう目で演じようというのが湧き出てくるんです。本当は、最初は俯瞰(ふかん)で読まなくてはいけないんですが、どうしても役目線になってしまって」
映画『ゴールド・ボーイ』で演じるのは、富豪の義父母を殺害するサイコパスキラー。作中で見られる、美しい顔立ちに潜む冷たい眼差しには、そんな思いが込められていた。
物語は、冷酷な殺人者と恵まれない環境に生きる3人の少年少女、ふたつの世界が並行して進んでいく。しかしお互いが出会ったことから、話は思いがけない方向に…。10代の役者との対峙も、岡田さんにとっては新しいチャレンジだったとか。
「この物語の主人公は子供たちなので、がむしゃらに作品と向き合うのではなく、あえて一定の距離を保とうと思いました。それは自分が10代のときにそうしてくださった先輩方がいて、今度は僕に、そのターンがきたと思ったから。映画のタイトルどおり、彼らが輝いてほしいという気持ちがありました」
しかし同時に、非情な役を追求するのには、心も体もかなり消耗したという。近年は、こういったクセのある役も増えているようだが、それはなぜ?
「僕からすると、そういった役のほうがすごく人間っぽいんですよ。欲望のままに生きているというか。ふだんいろんなことを抑えているせいなのか、お芝居でそういう役をやらせてもらうと、自分自身が解放的になるんです。でも共感はできないので、共演者の方々に助けてもらったり、監督と話し合って、演じていきます。むしろ皆さんとお話しする時間が好きなので、ついクセのある役を多く選んでしまった気もします(笑)」
バランスのいい食生活と好きな読書で自分を取り戻す
あれほどにハードな役を終えたあとは、自分をどうリセットするのだろうか。
「ふだんどおりの生活に戻ることですかね。ひとつの作品が終わったら、ちゃんと休み、1週間ぐらいはぼーっとしたり、友人とおいしいごはんを食べたりして、だらしない生活を送っています。あ、食事は気をつけています。なるべく3食、野菜もお肉もバランスよく食べるっていうのは、ずっと意識していますね。自分でごはんをつくったりもします。作品後は家の冷蔵庫にものがないので、スーパーに行くのも楽しいですね。あと、もともと読書が好きなので、小説や漫画を読んだりとか、映画を観たり。そういうのに触れていると、自然と日常生活に戻っているというか。それでいうと、本屋さんに行く時間がいちばん至福かもしれないです」
人として、あたりまえのことを大切に。ひとつひとつの質問に、丁寧な言葉で返す岡田さんが醸す、穏やかな空気感。その本質を、少しだけのぞけたような気がした。
■映画『ゴールド・ボーイ』3月8日より公開中!
監督:金子修介
脚本:港 岳彦
原作:小説「坏小孩」(The Gone Child)by ズー・ジンチェン(紫金陳)
出演:岡田将生、黒木華、羽村仁成、星乃あんな、前出燿志、松井玲奈、北村一輝、江口洋介
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