岡山天音さん
(おかやま・あまね)1994年、東京都生まれ。2009年に俳優デビュー後、映画、テレビドラマで活躍。2017年『ポエトリーエンジェル』で高崎映画祭最優秀新進男優賞、2018年『愛の病』でASIAN FILM FESTIVAL最優秀男優賞を受賞。『キングダム2 遥かなる大地へ』『キングダム 運命の炎』『沈黙のパレード』など話題作に出演。2024年は最新映画『ある閉ざされた雪の山荘で』が公開予定。

「僕の芝居と、ツチヤの笑いはどこか近いものがあるのかも知れません」岡山天音さん

――――『笑いのカイブツ』は、“伝説のハガキ職人”と呼ばれたツチヤタカユキさんが、もがき苦しみながらも、お笑いに全人生を捧げる物語。決して経済的に恵まれているとはいえない状況で、ひたすら笑いを追求する。その姿は痛々しくもあり、神々しさも感じます。

「実は元々、ツチヤさんのことは存じ上げており、映画化のお話しをいただいてから原作を読みました。自分が演じると知った上で読むと、ツチヤは笑いに取り憑かれ、たったひとりで戦っている狂気の人だということを感じて…。加えて、その戦いには、終わりがない。カオスだと。この役を任せていただいた喜びと同時に、大変な時間をツチヤとともに過ごすのだ、という覚悟が固まってきました。

ツチヤという人は、笑いにのめり込み、生活のための仕事、友達、平穏な暮らしのすべて放り出して、“笑いだけ”に没入しています。作品の中でも変わり者扱いされていますが、実は僕とツチヤは重なるところが多いんです。

僕も芝居となると役にのめり込んでしまうところがあります。やるからにはとことん深堀りしていきたいですし、芝居という正解がないものだからこそ、ベストをつくしたい。僕の芝居と、ツチヤの笑いはどこか近いものがあるのかも知れません。そこに共感しながら、撮影していきました」

俳優の岡山天音さん
やるからにはとことん深堀りしていきたいですし、芝居という正解がないものだからこそ、ベストをつくしたい。(岡山さん)

「実は元々、ツチヤさんのことは存じ上げており、映画化のお話しをいただいてから原作を読みました。自分が演じると知った上で読むと、ツチヤは笑いに取り憑かれ、たったひとりで戦っている狂気の人だということを感じて…。加えて、その戦いには、終わりがない。カオスだと。この役を任せていただいた喜びと同時に、大変な時間をツチヤとともに過ごすのだ、という覚悟が固まってきました。

ツチヤという人は、笑いにのめり込み、生活のための仕事、友達、平穏な暮らしのすべて放り出して、“笑いだけ”に没入しています。作品の中でも変わり者扱いされていますが、実は僕とツチヤは重なるところが多いんです。

僕も芝居となると役にのめり込んでしまうところがあります。やるからにはとことん深堀りしていきたいですし、芝居という正解がないものだからこそ、ベストをつくしたい。僕の芝居と、ツチヤの笑いはどこか近いものがあるのかも知れません。そこに共感しながら、撮影していきました」

「僕もツチヤ同様、“人間関係が不得意”なんです」岡山天音さん

――「自分の中に戦争が起きている」とはどういう状況なのでしょうか。

「たくさんありますが、代表的なのは、世間の常識、社会の通年、社会人としての在り方…そういうことに迎合できないことでしょうか。

俳優の岡山天音さん
「自分の中で戦争が起きている」(岡山さん)

僕は16歳で俳優の道を進みました。この世界には、自分の力ではコントロールできないものが多すぎますし、自分自身も制御が効かなくなる瞬間を感じることも。そのたびに、周囲の大人や、プロの方々から学び、社会という感覚を身に着けていきました。

『笑いのカイブツ』でツチヤとして生きながら、あのときの感覚を思い出しつつ、その本質にも気付くことができました。それは、“自分のことが許せない”という思いなんじゃないか、と。自分で自分のことが許せないから、他者のことも許せず、それが表出してしまう。許せない自分自身を埋めるために、笑いのネタを作り続ける…。どれだけ報われなくても、それをせざるを得ない。存在意義とか、そういうものを獲得する為に、もう、『やらざるを得ない』。一人ぼっちで、命を燃やして…。僕もツチヤ同様、“人間関係が不得意”なので、とても共感しながら演じることができました」

俳優の岡山天音さん
僕もツチヤ同様、“人間関係が不得意”なので、とても共感しながら演じることができました(岡山天音さん)

――舞台は大阪、東京生まれ育ちの岡山さんの流暢な大阪弁も話題です。

「大阪弁は完全に耳コピ―するように聞き込みました。いただいた方言データをひたすら聞いて、丸暗記ですね。発音記号を台詞の横に書き込んで、それで覚えられる方もいるらしいのですが、それがわからないので体で覚えることに。

方言指導の方の熱意が強くて、『大阪の人に、天音君の関西弁がおかしいとは、少しでも思わせたくない』とその方と真正面から向き合って、マンツーマンの熱血指導を受けました。これも作品のパワーになっています。

実際は『方言もいいけれど、もっと芝居を掘り下げていきたい』と思った瞬間もしばしばでしたが(笑)。スタッフや共演者の皆さま、多くの関係者、ひとりひとりの愛情と熱意が渦巻く、幸せな現場でした。そういう熱と狂気を『笑いのカイブツ』から感じてください」

岡山天音さんのインタビューVol.2は1月5日に公開予定。こちらも合わせてチェックしてみてください!


■映画『笑いのカイブツ』1月5日(金)テアトル新宿ほか全国ロードショー!

(C)2023「笑いのカイブツ」製作委員会
(C)2023「笑いのカイブツ」製作委員会
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岡山天音 
片岡礼子 松本穂香
前原滉 板橋駿谷 淡梨 前田旺志郎 管勇毅 
松角洋平
菅田将暉 仲野太賀

監督:滝本憲吾
原作:ツチヤタカユキ『笑いのカイブツ』(文春文庫)
脚本:滝本憲吾、足立紳、山口智之、成宏基
企画・制作・プロデュース:アニモプロデュース
配給:ショウゲート、アニモプロデュース 宣伝協力:SUNDAE

大阪に住む主人公・ツチヤは15歳から6年もの間、ラジオの大喜利番組に投稿を続ける。笑いに人生を捧げ続け、念願かなってお笑い劇場の作家見習いになる。しかし、人間関係がうまくいかずドロップアウト。その後、あるラジオ番組への投稿が注目を集めツチヤは“伝説のハガキ職人”となる。そして、お笑いコンビ・ベーコンズの西寺から「東京に来て一緒にお笑いやろう」と声をかけられ上京するが、“大人の社会”はツチヤを飲み込んでいく……。

公式サイト公式X(元Twitter)公式Instagram

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PHOTO :
中田陽子(MAETTICO)
STYLIST :
岡村春輝
HAIR MAKE :
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WRITING :
前川亜紀