4月9日は「大仏の日」。行事が催されるようなことはあまりありませんが、奈良の東大寺にとってはたいへん意味のある日です。今回は「大仏の日」にちなんで、大仏豆知識をお届けします!
【目次】
【知ってる?「大仏の日」の基礎知識】
■いつ?
4月9日は「大仏の日」ですが、「そんな日があるなんて知らなかった」という人がほとんどではないでしょうか?
■4月9日が大仏の日なのはなぜ?
語呂合わせでもなさそうだし…なぜ4月9日なのか疑問でしょう。これにはちゃんとした理由があります。「大仏」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、奈良県奈良市にある東大寺の大仏でしょうか。関東圏の人なら、神奈川県鎌倉市、高徳院の大仏かもしれませんね。実はこの「奈良の大仏さま」として親しまれている東大寺の大仏が「大仏の日」の由来です。
奈良時代の天平勝宝4(752)年4月9日に、東大寺の大仏の開眼供養会(かいがんくようえ)が行われました。開眼供養とは仏教では「悟りを開くこと」を言い、仏像や曼荼羅 (まんだら) などが新しくつくられたり修理された際に、新たに魂を入れる儀式や作法を行うことを言います。日本で最初に盛大な開眼供養会が行われたのが奈良の大仏さま。孝謙 (こうけん) 天皇、聖武 (しょうむ) 上皇、光明 (こうみょう) 皇太后が揃って臨みました。その4月9日を「大仏の日」としているのです。
【そもそも「大仏」って?】
ここで「大仏」について確認しておきましょう。
■大仏の大きさ
大仏とは「大きな仏像」のこと。「立像」の場合は像高が丈六(約4.8m)、「坐像」の場合は約半分の像高8尺ほどあると大仏と呼びます。奈良の大仏は坐像で14.98m、鎌倉の大仏も坐像で11.312mなので、大仏と呼ばれる仏像のなかでも飛び切りの大きさです。
■仏像の種類
仏像は、位の高い順から「如来」「菩薩」「明王」「天」と4つのカテゴリーに分けられます。東大寺の大仏は正式には盧舎那仏(るしゃなぶつ)もしくは毘盧遮那仏(びるしゃなぶつ)と言い、如来の一尊です。
さらに仏像の姿勢は修行の状態を表し、坐像は「どうしたら人々を救済できるか思案している修行中」の姿勢。立像は「救済方法を得て、人々に伝えるべく立ち上がった」姿勢。さらに臥像(がぞう)という横になった姿は、「煩悩が消えて苦もなくなり、最も悟りを開いている高度な状態」なのだとか。寝転んでくつろいでいる仏さまがいちばん格が高いのです。奈良も鎌倉も如来なので上位クラスですが、坐像なのでまだ修行中の身というわけ。
【ついでに知っておこう!「大仏豆知識」】
■日本三大大仏
奈良の大仏(東大寺の盧舎那仏/るしゃなぶつ)、鎌倉の大仏(高徳院の阿弥陀如来)と並んで「日本三大大仏」に数えられる大仏は、京都の大仏(方広寺)でしたが、1973(昭和48)年に焼失してしまい、その後は定まっていません。岐阜市・正法寺の岐阜大仏(釈迦如来)や、神戸市・福能寺の兵庫大仏(毘盧遮那仏/びるしゃなぶつ)がその候補に挙げられています。
■大きさ世界一
立像で桁違いの大きさを誇るのが、像高100mで台座を合わせると120mにもなる牛久大仏(茨城県牛久市)。世界一像高が高い青銅製の仏像としてギネスブックにも認定されています。内部を地上85mまでエレベーターで上がると胸部に展望台があり、天候によってはスカイツリーや富士山まで眺望できる大きさです。坐像では、タイ・アーントーン県の金ピカ大仏「ルアンポーヤイ」(ワット・ムアン)が像高93m! 臥像では、福岡県糟屋郡の南蔵院(なんぞういん)に横たわる全長41m、高さ11mという釈迦涅槃像が、ブロンズ製の臥像では世界一とか。
■お釈迦様の誕生日は「大仏の日」の前日4月8日!
仏教の創始者とされる釈迦は、紀元前463年~前383年ごろに部族国家が分立していたインドで、シャーキャ族(釈迦族)と呼ばれる小さな部族の王子として4月8日に誕生。父はシュッドーダナー王、母である妃はマーヤー夫人(摩耶夫人/まやぶにん)です。
仏教にとって大切な日であるお釈迦様が生まれた4月8日には、「灌仏会(かんぶつえ)」という行事を行います。一般的には「花まつり」として知られ、釈迦像に甘茶をかける慣習があります。これは「降誕の際に天から神々が降りてきて、祝福のために甘露の水を注いだ」という経典の説に由来するのだそう。
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今回は「大仏の日」や「大仏豆知識」についてご紹介しました。ぜひビジネス雑談に使ってみてください。
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- Precious.jp編集部
- 参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『情報・知識imidas』(集英社) :