『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。

今回のテーマは、タイムレスなアイテムのようでいながら、実はデザインや着こなし方の更新が必要な白シャツ&ブラウス。犬走さんは今季、どんな気分で取り入れるのか? 犬走さんの私物と注目アイテムを教えていただきましょう。

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)『Precious』本誌をはじめとする数々の女性誌、テレビ、広告など多彩な分野で活躍。女優のスタイリングも手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目されている。

ベーシックアイテムだからこそ、「遊び心」と「素材感」が大切

白いシャツやブラウスは、犬走さんのステディアイテムのひとつ。この連載でも以前、白シャツを1枚でおしゃれに見せるための「選び方&着こなし方」を公開していただきましたが、選ぶ際のポイントはずっと変わっていないそう。それは「遊び心のあるデザインであるかどうか」ということ。

【関連記事:人気スタイリストが伝授!定番の白シャツを1枚でおしゃれに見せるための「選び方&着こなし方」

「シャツにしろブラウスにしろ、ジャケットのインナーとして着るもの以外、つまり今の季節1枚で着るものなら、シンプルすぎるものではなく、何かしら”デザイン”されているものを選びます。」(犬走さん)

ベーシックなアイテムだからこそ、ちょっと遊び心を利かせるのが犬走さんの白シャツ&ブラウスの流儀。

「あとはやはり、素材感にはこだわること。着心地はもちろん、白いシャツやブラウスは素材感が見た目にもダイレクトに伝わるので、大人の女性ならなおさら、そこにはこだわるのが大切です」(犬走さん)

■1:デザインもコンセプトも技アリ!「アドーア」のシャツブラウス

裾部分に向かって重なった切り替えや袖のデザインがケープのような雰囲気も漂わせる「アドーア」のティアードブラウスは、犬走さんが展示会でチェックしたというアイテム。バンドカラーのマニッシュさと、フロントのデザインや袖のシルエットから醸し出されるフェミニンさが溶け合い、程よく個性を主張します。

「バンドカラーはもともと私の好みなのですが、これはボリューム感やデザインに主張があるのと、とても上質なコットン素材というところも気に入りました」

大人コーデ_1,ブラウス_1,ワイドパンツ_1
イギリスの名門シャツメーカー「トーマス メイソン」のコットン100%の生地ならではのしなやかなハリ感が、シルエットをより優美に演出する「アドーア」のブラウス。パンツは「ザ・ロウ」の『ガラ』で、今旬のクワイエットラグジュアリーな着こなしに。

実はこのブラウス、京都紋付に黒染めをオーダーできるスペシャルアイテム

犬走さんがこのブラウスを気に入ったポイントはもうひとつ。日本の伝統的な正装である黒紋付だけを100年間染め続けてきた「京都紋付」とのコラボレーションにより、のちのち黒に染め替えることもできるというサステナブルな取り組みです。

「白のシャツやブラウスは年月が経つとどうしても変色してしまいますよね。私も泣く泣く処分した服がいっぱいあるので、今回のアドーアのこの取り組みには心動かされました。何より“染め直す”っておもしろいじゃないですか。染め直すと風合いもフレッシュに生まれ変わるそうなので、その点も魅力ですよね」(犬走さん)

ブラウス_2,京都_1
 右/ブラウス¥49,500(アドーア) 左/右のブラウスを染め直したもの。

より深い黒に見えるよう生地の光の反射率を変えるという独自の「深黒加工」で染め直したブラウスは、あえて染まらない素材が用いたステッチ部分だけ白のまま、少しだけ褪せたようなヴィンテージライクな風合いのブラックへと変身! 

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■2:「スタイリスト魂」を揺さぶった「メゾン マルジェラ」の3Lサイズ

シャツワンピースのようにも見えるけれど、実はメンズの3Lサイズのシャツは、犬走さんの「スタイリスト魂」を揺さぶった1着。

「確か一昨年だったと思うのですが、セレクトショップで見つけて、”これはおもしろい! 着てみよう! ”と。実は左の裾に刺繍でロゴが入っていたり、そういうところもマルジェラらしくて好きですね」(犬走さん)

購入当初から「はおりもの感覚」で着こなすつもりだったという犬走さんですが、グラマラスなスパンコールのロングスカートと合わせるときは、こんな風にウエストまでボタンを閉めて。

大人コーデ_2,シャツ_1,スカート_1
スパンコールのスカートは、「たまにはこういうのもいいかも!」と遊び心を刺激されて購入した「H&M」のもの。

犬走さんの「スタイリスト魂」に響いただけあって、少々難易度が高そうに見えますが、センスを磨くためには、時にこうしたおしゃれのチャレンジをすることが必要と改めて教えてくれます。

「私はブティックのメンズコーナーやメンズブランドのお店をチェックするのも好きで、そこで新しい着こなしのヒントを得ることも少なくありません。年齢を重ねるとどうしても“守り”に入ってしまいがちになると思うのですが、アンテナは常に広げて、私自身新しい挑戦を続けていきたいと思っています」(犬走さん)


今回は犬走さんの白シャツ&ブラウスの最新コーディネートをお届けしました。定番的アイテムだからこそ、遊び心や挑戦心を忘れずに、着こなしをアップデートしてみませんか?

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PHOTO :
田中麻衣(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)