『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。

今回のテーマは、犬走さんがこの春気になって早々に新アイテムも投入したという「大人のピンク」。2024年春のトレンドカラーのひとつでもあるピンクを、大人の女性はどう取り入れ着こなすべきか? そのヒントをご自身のコーディネートとともに伝授していただきましょう!

犬走比佐乃さん
スタイリスト
(いぬばしり ひさの)『Precious』本誌をはじめとする数々の女性誌、テレビ、広告など多彩な分野で活躍。女優のスタイリングも手がけ、「マダム犬走」の愛称で多くのファンをもつ。30年以上を誇るキャリアと卓越した審美眼でセレクト&スタイリングする自身の着こなしも注目されている。

やっぱり大人は、「ピンクを甘くは着ない」が正解です!

そのフェミニンさから、「ピンク」を敬遠してきたというPrecious世代はきっと少なくないのでは? おしゃれのプロである犬走さんもそのひとり。レッドやオレンジといった暖色系の綺麗色はしばしば取り入れても、ピンクには食指が動かなかったそう。

「若いころ、ピンクのパイソンのハイヒールが気に入って履いていたことはありましたが、トップス、ボトムス共にまず、ピンクは自分では着ませんでしたね。ひと言でピンクといってもさまざまな色味がありますが、やはりどうしても甘くなってしまうような気がして」(犬走さん)

そんな犬走さんですが、この春、とうとうピンクを解禁! どんなアイテムを選び、どんな風に着こなしているのでしょうか? 

■1:個性的デザインのカーゴパンツはライダースでハードさをプラス

今回の「大人のピンク」というテーマのきっかけのひとつとなったのが、この鮮やかなピンクのカーゴパンツ。2024年1月、犬走さんの友人でデザイナーの山口八千代さんが手がけるブランド「0008infinity」の展示会で見つけ、即決でオーダーしたそう。

大人コーデ_1,春コーデ_1,パンツ_1
ライダース、インナー、ベルト、シューズ、すべてブラックで統一し、印象を引き締めながらピンクの甘さを中和。

「サイドだけではなく後ろにもポケットがついていて、それらがとても立体的。ありがちなカーゴパンツではなく個性的にデザインされているし、生地がなかなかおもしろいんですよ」(犬走さん)

素材は麻59%・綿41パーセントで、ハリ感としなやかさが絶妙なバランスで共存しています。

「この連載でも毎回のように、大人の女性のアイテム選びは素材感が大切とお伝えしていますが、ピンクという色なら余計、生地の上質さにはこだわるべきだと思います。ピンクは色自体が十分フェミニンですから、逆にハンサムに、そしてひと匙の遊び心を加えて着こなすのが洗練への近道です」(犬走さん)

今回はブラックレザーのライダースを合わせて少しハードに。

「こんな風にブラックはもちろん、ネイビーでもグレーでもブラウンでも! こういう色味のピンクって実は応用範囲が広いということを私も改めて気づきました。私は自分の顔に合わないからスルーしますが、ベージュもきっと合うと思いますよ」(犬走さん)

■2:シンプルなシャツはサロペットでトレンド感を演出

これぞ「大人かわいい」を体現する、ピンクのシャツとサロペットのコーディネート!

大人コーデ_2,春コーデ_2,シャツ_1
リネンとはまたニュアンスの異なるハリがあるラミエ素材のシャツは、数年前に購入してみたものの結局クローゼットで眠っていた「イエナ」のもの。「ドゥーズイェム クラス」のサロペットに、コンパクトなスカーフを首元にあしらって。

「トップスにピンクをもってくる場合、顔映りがとても重要になってきます。でも、おもしろいことに顔映りって変わってくるもので、昨年まで似合っていた色が似合わなくなっていたり、逆にこれまでイマイチだった色がマッチするようになることもあるんです」(犬走さん)

今回は落ち感のある生地のサロペットに合わせて。

「普通にパンツを合わせてももちろんいいけれど、それじゃ普通過ぎるかなと(笑)。これから初夏にかけて、いろいろと着こなしをアレンジしていこうと思います」(犬走さん)


今回はすべて犬走さんの私物で「大人のピンク」のセレクト&コーディネートのポイントをお届けしました。大事なのは、フェミニンな色だからこそハンサムウーマンに着こなして甘さを加減すること。成熟した大人になった今だからこそ、臆せずピンクを取り入れて、ポジティブに春のおしゃれを楽しみませんか?

※私物に関するブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。

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この記事の執筆者
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PHOTO :
田中麻衣(小学館)
WRITING :
岡村佳代
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)