2024年のゴールデンウィーク最終日となった5月6日、4大世界スーパーバンタム級タイトルマッチの12回戦が東京ドームで行われ、統一王者の井上尚弥がルイス・ネリに6回TKO(テクニカル・ノックアウト)勝ちして防衛! 5月19日の「ボクシング記念日」を前に、試合会場となった東京ドーム4万3000人の大観衆を熱狂させました。ここで「はて? ボクシング記念日とは?」と思った人も多いのではないでしょうか。今回は雑談に役立つ「ボクシング記念日」にまつわるあれこれを、さくっとご紹介します。

【目次】

「ボクシング記念日」と「ボクシング・デー」は別ものです!
「ボクシング記念日」と「ボクシング・デー」は別ものです!

【「ボクシング記念日」の基礎知識】

 ■「ボクシング記念日」って何?

2010年、元WBC世界ライト級王者であるガッツ石松氏が設立したプロボクシング・世界チャンピオン会。その発足を記念して制定されたのが5月19日の「ボクシング記念日」です。

■由来

“サーカスのカンガルーとボクシングした少年”としても知られるプロボクサーの白井義男氏が、世界王者のダド・マリノに挑戦すること3度目にして勝利したのが1952(昭和27)年の5月19日。「ボクシング記念日」は、ボクシングという競技で日本人初の世界チャンピオンが誕生した日に由来します。


【「ボクシング・デー」とは違う?】

もしかしたら「ボクシング記念日」より「ボクシング・デー」のほうがなじみがあるでしょうか。「ボクシング記念日」と「ボクシング・デー(Boxing Day」はまったく別物。「ボクシング・デー」は、イギリスの伝統に基づいたもので、クリスマスの翌平日を指します。教会に備えられた喜捨(きしゃ/寺社や僧侶、貧者などへ金品を施すこと)のためのクリスマス・ボックスを開ける日のことで、やがて使用人やごみ収集人などへチップを渡して感謝を伝える日になったとか。イギリスの一部やオーストラリアなどの旧イギリス連邦諸国では、ボクシング・デーが法定休日に制定されています。また、この日は、クリスマスも仕事をしなければならない使用人たちが家族と過ごすための休日。また、クリスマスにプレゼントや手紙を配達しなければならない、郵便配達員の労をねぎらう日でもあるのだとか。


【「ボクシング」にまつわる雑学】

■人類最初の競技?ボクシングの歴史

ボクシングの起源は1万年以上前とも、紀元前4000~前3000年とするものなど諸説あります。紀元前600年代に開催された古代オリンピックにはボクシングの原型と見られる競技が行われているので、いずれにしても人類史上最も古い競技のひとつであることは間違いなさそうです。5世紀初頭にローマ皇帝によってボクシング(当時の呼称はピュージリズム)が禁止されたのち1200年もの間封印されていましたが、18世紀になって今日のボクシングにつながる競技が復活しました。

■日本へはペリーの黒船で?

ボクシングが日本に伝わったのはいつだったのでしょう。外国語習得のためアメリカへ渡った渡辺勇次郎という人物が、ボクシングという新しい競技と共に帰国したのは1921(大正10)年。その年の年末に本格的なジムを設立したのが始まりというのが定説のよう。

しかし、それより以前の江戸時代、1853(嘉永6)年、浦賀沖にペリー提督率いる黒船が来航した際に、拳に薄皮布を巻いた水兵たちが船上でスパークリングする様子がたびたび目撃されていたのだとか。これが日本がボクシングを知った最初だともいわれています。

■日本人初のボクサーは力士だった!?

ペリーによって日本上陸を果たしていたボクシングですが、翌年にペリーが横浜で日米和親条約の締結を迫った際には、幕府側が招集した大関の小柳常吉と、アメリカ側のレスラーやボクサーが異種格闘技戦を行っています。勝負は小柳の圧勝だったとか。ボクシングに似た試合に臨んで勝利を収めた初めての日本人は力士だったというわけです。

■女子ボクシングにキックボクシング、エアボクシング…派生競技もいろいろ!

ロンドンでは18世紀前半に、アメリカでは19世紀後半に、女性同士がボクシングで戦った記録があります。現在のような厳密なルールのもと行われたわけではないようですが、日本でも大正時代にその歴史は始まっているのだとか。女子ボクシングの歴史は意外に古いのです。

ボクシングは拳のみで相手に立ち向かう競技ですが、拳によるパンチと足によるキックを使うのがキックボクシング。これはタイの格闘技ムエタイを参考にした競技で、日本で1966(昭和21)年に協会が設立されました。また、筋肉量の増加やダイエット目的で開発されたボクササイズや、子どもから高齢者まで楽しめる打ち合わないエアボクシングなども。ボクシングは意外に裾野が広いのですね。

***

今回は5月19日の「ボクシング記念日」にちなんで雑学をご紹介しました。まったく興味がない人や、「打ち合うのが痛そうで見ていられない」という人も少なくありませんが、「強さ」を競う格闘技に熱狂するのは、その身体能力のすばらしさや日々積み重ねられた努力に感動させられるからかもしれませんね。

この記事の執筆者
Precious.jp編集部は、使える実用的なラグジュアリー情報をお届けするデジタル&エディトリアル集団です。ファッション、美容、お出かけ、ライフスタイル、カルチャー、ブランドなどの厳選された情報を、ていねいな解説と上質で美しいビジュアルでお伝えします。
参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『ブリタニカ国際大百科事典』(ブリタニカ・ジャパン)/日本プロボクシング協会 https://jpba.gr.jp/ :