『Precious』本誌をはじめ、テレビや広告など幅広く活躍する人気スタイリストの犬走比佐乃さんに、大人の女性に必要なファッションについて教えていただく連載。
今回のテーマは、犬走さんが積極的にワードローブに取り入れている「東京ブランド」。日本人デザイナーによる3つのブランドにフォーカスを当て、お気に入りのアイテムと最新の私物コーディネートを披露していただきます!
デザイナーのこだわりと美学が宿る「東京ブランド」がおもしろい!
この連載でも折に触れ、日本人デザイナーのアイテムを紹介してくださっている犬走さん。「コム デ ギャルソン」や「サカイ」をはじめ、日本人デザイナーによるブランドは、犬走さんのワードローブを彩る大切なエレメントだそう。
「せっかく日本に生まれたのですから、ファッション界で活躍する日本人デザイナーさんには常に注目していたいというか、無意識のうちに気に留めてきました」(犬走さん)
お気に入りのブランドだけではなく、若い世代のデザイナーや新しいブランドにもアンテナを広げ、情報をアップデートしている犬走さん。そのなかから、今シーズンの装いに取り入れたいものとして選んでいただいた3つのブランドとアイテムは? 最新の着こなしと共に解説していただきます!
■1:ブランド誕生からのステディブランド「ミカコ ナカムラ」
犬走さんが愛する「東京ブランド」のなかでも、とりわけご縁が深いというのが「ミカコ ナカムラ」。
「Precious世代ならご存知の方も多いと思いますが、オートクチュールやセミオーダーを中心とするブランド。デザイナーの中村三加子さんとはブランドを立ち上げられる前からの知り合いなのでシンパシーを感じますし、何より一貫性のある彼女のフィロソフィを感じるデザインに魅力を感じます」(犬走さん)
そんな犬走さんが今回コーディネートに取り入れたのは、2021年にセミオーダーしたブラウスです。
「このブラウスはほかの色のものを仕事でお借りしたのですが、とても気に入ったので“ネイビーでつくってください”とオーダーしたんです」(犬走さん)
首周りと、袖に二段にあしらわれたフリル、立体感のある仕立て、そして上質なシルク素材。シンプルでいながら1枚だけでも絵になるデザインを、ときにはネックレスで胸元を演出するそう。
「もちろんパールとも好相性ですが、こんなふうにボリュームのあるターコイズネックレスを合わせてもおもしろいかなと。現在ではこのネイビーのほか、ブラックとホワイトが定番色としてラインナップされていて、またシーズンごとに2色の新色が登場するそうです」(犬走さん)
■2:静謐な主張がさりげなく光る「ハルノブムラタ」
ブローチのような大ぶりなボタンがドラマティックに首元を彩るリネン素材のブラウスは、「ハルノブムラタ」のアイテム。
「確か2年くらい前だったと思うのですが、たまたま何かの雑誌で見てこのブランドを知り、購入したのがこのブラウスです」(犬走さん)
村田晴信さんは、数々の経験を積んだ後、ジル・サンダーのレディスデザインチームに所属し活躍。2018年に帰国し独立、東京をベースにラグジュアリーファッションレーベル「ハルノブムラタ」を立ち上げた注目の日本人デザイナーです。
「“ラグジュアリー・オブ・サイレンス”がコンセプトというだけあって、クリーンでシンプルなカッティングに上質な素材、そこに上手にデザインを加えていて、今の時代のムードを上手に捉えている。着てみるとわかるのですが、本当に丁寧につくられているし、例えばこの大きなボタンも思いのほか軽くて着心地もしなやか。これからもチェックしていきたいですね」(犬走さん)
■3:繊細なセンスと上質な素材感が光る「サポート サーフェス」
犬走さんの最新「東京ブランド」アイテムが、「サポート サーフェス」のパンツスカート。
「これは2024年の春夏コレクションで発表されたアイテムで、私はオーダー会で出合って一目惚れ! デザイナーの研壁宣男(すりかべ のりお)さんとは以前、トークショーでご一緒させていただいたことがあって、ファッションに対する考え方など、とても共鳴する部分がありました。このパンツスカートもそうですが、彼のデザインはシルエットがとても美しく、ディテールにちょっとした創意が宿っているんです」(犬走さん)
1999年にプロジェクトがスタートした「サポート サーフェス」。ほとんどのデザインが研壁さん自身による立体裁断から行われているのが特徴です。
「研壁さんが創作する服は個性的なだけではなく、着る人の表情や立ち居振る舞いまで美しく演出してくれます。お話させていただいた時に、ご自身の服は“いろいろなアイテムと合わせて自由に着てほしい”とおっしゃっていたことがすごく印象に残っていて、私もこのパンツスカートをこれからどう着こなしていこうかとても楽しみです」(犬走さん)
今回は犬走さんが愛する「東京ブランド」から、今シーズン楽しみたいアイテムを私物コーディネートでご紹介しました。インポートとはまた異なる個性や魅力を宿す、日本人デザイナーによるブランド。犬走さんのようにお洒落のアンテナを少し広げて、コーディネートに取り入れてみませんか?
※私物に関するブランドへのお問い合わせはご遠慮ください。
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- TEXT :
- Precious.jp編集部
- PHOTO :
- 田中麻衣(小学館)
- WRITING :
- 岡村佳代
- EDIT :
- 谷 花生(Precious.jp)