ゴルフに代表される、フォルクスワーゲンの実用的で飽きのこないキャラクターは、ミドルサイズセダンのパサートにおいても同様。すでに導入済みのガソリンエンジン版に加えて、今年からディーゼル版も追加された。「これこそ最もパサートらしい」と、モータリングライターの金子浩久氏は語る。
「感情」ではなく「理性」に訴え掛けるディーゼルエンジン
真打ちが登場した!
フォルクスワーゲンのパサートに、ようやくディーゼル版が導入された。
派手さはなく、堅く実質を追求しているパサートというクルマの良さは残念ながら日本ではなかなか理解されていなかったが、きっとこれで好転するだろう。
なぜならば、パサートのキャラクターにディーゼルの特性や使い途がピッタリと合っているからである。
実際に運転してみても、エンジンを高回転域まで回さなくても力強い加速をする。高速道路での100km/hではエンジン回転は1600rpmに過ぎないから静かだ。カラカラ音も聞こえてこない。
乗り心地や操縦性などもバランスが取れていて、黒子に徹している。パサートに乗るということは、クルマが目的なのではなく、クルマはあくまでも手段である。
ディーゼルは、クルマ好きの「理性」に訴え掛ける技術である。
最高速度や0-100km/h加速のような、「感情」を刺激する、派手でわかりやすい指標を競い合うスポーツ系のエンジンとは正反対の価値をディーゼルは持っている。
エンジンを高回転まで回さなくてもチカラがあって、それゆえ高回転まで回さないから高速走行が静かで快適なものになる。だから、長距離走行に向いている。
人生を豊かにするための選択
ディーゼルの価値とは、燃費の優秀性やそれに伴った長距離走行での経済性と快適性などだ。他人から見られることよりも、自分と家族にとってどれだけ実利があるかを優先し、あくまでも実質本意。プレミアムとかラグジュアリーとは正反対の価値観だ。自分を大きく、強く見せようとせず、反対に控え目に、謙虚に実を取ろうとしていく。
そうした価値は、パサートのキャラクターと重なり合うところが大きい。
だから、ディーゼルがライフスタイルを充実させる道具としてのクルマにふさわしいエンジンだと考えれば、ディーゼルこそがパサートに最もふさわしいエンジンではないだろうか。
パサート ヴァリアントTDIを購入し、家族や仲間たちとたくさんの荷物を乗せ、仕事に余暇に多くの距離を走り、長い間乗り続けてライフスタイルを豊かなものにしていけたら、どれだけ素晴らしいだろうか。
見栄や他人との比較ではなく、自分と家族が第一。そういった用いられ方をするのに、パサートにはディーゼルがふさわしい。
〈フォルクスワーゲン・パサートTDI エレガンスライン〉
全長×全幅×全高:4,785×1,830×1,465㎜
車両重量:1,560kg
排気量:1,968cc
エンジン:直列4気筒DOHCターボ
最高出力:190PS/3,500〜4,000rpm
最大トルク:400Nm/1,900〜3,300rpm
駆動方式:2WD
トランスミッション:6AT(DSG)
価格:422万9,000円(税込み)
■問い合わせ先 フォルクスワーゲン カスタマセンター
TEL:0120-993-199
https://www.volkswagen.co.jp
- TEXT :
- 金子浩久 モータリングライター