こんにゃく(蒟蒻)と言えば、おでんや田楽を思い浮かべるでしょうか。味がしみた甘辛煮やきんぴらなどもおいしいですし、ダイエットの期間に、ステーキやお刺身などで取り入れている人も多いと思います。ということで、今回は5月29日の「こんにゃくの日」にちなんだ雑学をお届けします。

【目次】

「こんにゃくの日」にはこんにゃく料理を!
「こんにゃくの日」にはこんにゃく料理を!

【「こんにゃくの日」とは?基礎知識】

■いつ?

5月29日は「こんにゃくの日」です。5月はこんにゃくの種芋を植え付ける時期であることから、「5(こん)」「2(にゃ)」「9(く)」という語呂合わせによって決まりました。

■誰が決めた?

全国こんにゃく協同組合連合会と、一般財団法人 日本こんにゃく協会というふたつの団体が、1989(平成元)年に制定。日本記念日協会によって認定・登録されました。

■何をする日?

本格的な夏を迎える前にこんにゃくについて知ってもらい、その機能性を認識して健康に役立てるために制定された「こんにゃくの日」。一大産地である群馬県や、玉こんにゃくがソウルフードである山形県をはじめ、各地で大小さまざまなキャンペーンやお祭りが行われています。


【「こんにゃく」ってどんな食品?】

■原材料はこんにゃく芋

こんにゃくはこんにゃく芋を加工した食品です。あの姿形や食感から、芋が原料とは想像しにくいですね。こんにゃく芋はミャンマーやマレーシア、タイなどの東南アジアが原産国といわれています。日本にいつ伝わったかは定かではありませんが、植物としては縄文時代に伝えられたと考えられているのだとか。こんにゃく芋はじゃがいもやさつまいもと同じように地下茎が育ったもの。地中に埋めた種芋から増えていきますが、成長するのに2~3年かかります。

■芋から大変身!こんにゃくができるまで

こんにゃく芋には強烈なえぐみ(灰汁/アク)があるため、ほかの芋のように加熱しただけでは食べられません。昔は草木灰(草木を燃やして灰にしたもの)を使用していましたが、近年では消石灰(水酸化カルシウム)や炭酸ソーダ(炭酸ナトリウム)がこんにゃく芋のアク抜きに使用されています。アクでアクを抜いているわけです。

こんにゃくは、古くはすりおろしたこんにゃく芋を使用して製造していましたが、18世紀ごろにはこんにゃく芋を薄く切って乾燥させ、細かい粉状にしてからつくる方法が主流になりました。こんにゃく芋は腐りやすかったので収穫時期の秋限定の食品でしたが、乾燥させることによって長期保存が可能になり、一年中食べられるようになったのです。

■ぷりぷり食感のもとは食物繊維

こんにゃくはぷりぷりとした独特の歯触りが特徴です。これはこんにゃく芋に含まれる「グルコマンナン」と呼ばれる食物繊維が化学変化によって凝固するためとか。そう、「マンナンライフの~♪」のCMソングで知られるあのゼリーも、こんにゃくと同じ成分からできた、こんにゃく食品なのです。

■黒い粒々の正体は…?

こんにゃくには、黒っぽい黒こんにゃくと、白っぽい白こんにゃくの、大きく分けてふたつのこんにゃくがあります。黒こんにゃくは生芋からつくられるため、こんにゃく芋の皮が入って黒っぽくなります。そして、白いこんにゃく粉からつくるのが白こんにゃく。現在では年中使えるこんにゃく粉による白こんにゃくが主流なのですが、ずっと黒こんにゃくを食べて慣れ親しんでいたこともあって、白いこんにゃくはあまり好まれなかったのだとか。そこで生芋からつくる黒こんにゃくに似せるため、ひじきやあらめなどの海藻の粉末で黒っぽい色を付けるようになったとか。黒こんにゃくのあの黒い粒々は海藻だったという訳です。

■赤いこんにゃくも!? こんにゃくの種類

おでんの具や田楽には、厚さ1.5cm前後の板状のこんにゃくを使う地域が多いようです。スーパーマーケットにはこの板状のこんにゃくをはじめ、糸こんにゃくやつきこんにゃく、さしみこんにゃくなどが並んでいますね。山形のソウルフードである丸い玉こんにゃくをおしょうゆで煮たものは、お祭りの屋台メニューとして知っている人も多いのではないでしょうか。滋賀県近江八幡市の名物には、三二酸化鉄という鉄分で赤く染められた赤こんにゃくが。こんにゃく独特の匂いがなく、きめが細かく煮ても脱色しない赤こんにゃくも、じわじわと全国に広がっているようです。


【「こんにゃく」はダイエット食品!「おいしいこんにゃく」の雑学】

■低カロリー・低糖質のダイエット食品

こんにゃく100gあたりのカロリーは約5kcal、300gの板こんにゃくを1枚食べてもたったの15kcalで、糖質も約0.3gしかありません。こんにゃくは低カロリーで低糖質の食品なのです。

■日本人に不足している栄養素がたっぷり

こんにゃくの主な栄養成分は食物繊維(グルコマンナン)とカルシウム。100gあたりの食物繊維はさつまいも並みで、カルシウムは牛乳に含まれる半量に値します。この食物繊維とカルシウムは、日本人が特に不足してる栄養素。それをカロリーをあまり気にしないで摂取できるのはうれしいですね。

■便秘解消にも?美肌にも効果的?

便秘と肌荒れの関係はご存知ですね。便秘の原因のひとつは水分不足ですが、こんにゃく粉を30~40倍の水で練ってつくるこんにゃくの水分はなんと97%とか。3%の固形分のほとんどが食物繊維のグルコマンナンです。そんなこんにゃくは水分97%のまま大腸に達したところで膨らんで、腸壁を刺激して排便反射を高めるのだとか。さらに水分を供給して便を柔らかくする作用もあります。また、さつまいも並みにたっぷり含まれた食物繊維が腸内細菌のエサになり、腸内が酸性化して善玉菌が優勢に働きます。そうして腸内環境が改善され、排便を促す腸のぜん動運動も活発化。おなかが重い、すっきりしないという方は、積極的にこんにゃくを食べてみてはいかがでしょう。

■ひと手間でもっとおいしく!

調理前のひと手間で、こんにゃくはぐんとおいしく食べられます。いくつかご紹介しましょう。

・叩く:水気をよく拭いた板こんにゃくに塩や砂糖をふり、めん棒などで軽く叩きます。出てきた水分をしっかり拭き取ると水っぽさがくなり、味がよく染みます。煮物や汁物、味噌漬けなどに。

・乾煎りする:焦げないように木じゃくしなどでかき混ぜながら中火で乾煎りすると、こんにゃくの身が締まって歯触りがよくなり、味がよくなじみます。煮物、和え物、炒め物の調理直前に。

・茹でる:熱湯にさっとくぐらせ、水気を切ってから調理するとしっかり味が染みます。電子レンジで加熱して水分を抜いても味染みが良くなります。おでんや煮物など、調理全般に有効な方法ですが、最近は水洗いだけでOKの商品も出ています。

■いろいろな切り方で

おでんには三角形、田楽には長方形が定番の形。手やスプーンでちぎったり、手綱にしたり細かい賽(さい)の目に切り込みを入れたりするのは、表面積を大きくして味染みをよくするためです。

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カロリーが低いだけでなく、糖質もごくわずかで、何より食物繊維とカルシウムが豊富なこんにゃく。ダイエットやメタボ改善にも効果的と、健康食品としての認知も進んでいます。こんにゃくをスライスして乾燥させ、味付けしたチップスやジャーキーなどもあるので、おやつやお酒のお供にもどうぞ。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉プラス』(小学館)/『日本大百科全書(ニッポニカ)』(小学館)/『世界大百科事典』(平凡社)/一般財団法人・日本こんにゃく協会 https://www.konnyaku.or.jp/ :