誰もがイメージできる街の表現ってありますよね。たとえばファッションの都と言えばパリ。東洋のパリと言えばハノイ。小江戸といえば川越(ちょっと違う?)。では美食の都と言えば? やっぱりパリでしょうか?
ここは意見が分かれるところでして、コペンハーゲンという人やメルボルンという人もいるでしょう。もちろん東京や香港だという人もいるでしょうね。え、私? 今なら断トツ、バンコクを推します。
バンコクが何故美食の地か? それは、このほど発表された「世界のベストレストラン50」を見ても明らか。バンコクからは9位に「ガガン」、38位に「ソーン」、40位に「ル・ドゥ」の3店が入賞(ちなみに日本からは15位の「セザン」と21位の「フロリレージュ」が2店入賞)しています。
タイ料理は甘味・辛味・酸味・塩味・旨味の五味を大切にしていると言われますが、その複雑で繊細な味わいがシェフの海外交流などによってイノベーティブに進化し、世界的な評価につながったのではないかと。
「The Standard, Bangkok Mahanakhon」
そこで、今注目の美食の街、バンコクで食い倒れてみませんか。というありがたい(なんと私向きの!)お誘いをいただき、一路タイへ。東京~バンコクは直行でおよそ6時間と近いのもうれしいポイントです。
今回訪れたのはホテル「ザ・スタンダード バンコク・マハナコーン」。バンコクのランドマークである高層ビル「キングパワー・マハナコーン」(なんと78階建て!)内に位置し、バンコクの街並みが一望できるロケーションが魅力です。
「ザ・スタンダード」とは聞き慣れないホテルブランドだと思いましたが、NYのハイラインを皮切りに、ロンドン、イビザ、シンガポールなど世界10都市で展開しているライフスタイルホテルのブランドなのだそうです。ライフスタイルホテルといえば「エースホテル」や「W」がすぐ思い浮かびますが、エースよりラグジュアリー路線で、Wほどギラギラしていない、シックな印象でしょうか。
デザインはスペイン・バレンシアに拠点を置くデザイナーで、アーティストでもあるハイメ・アジョン。世界各国のホテルやレストランのデザインを手がける人気デザイナーだけあって、ホテルのどこかしこも映えスポットで一杯! 洗練されていながらもどこかレトロな風合いの空間に落ち着きます。
そして、この「ザ・スタンダード バンコク・マハナコーン」の魅力は“映え”だけではありません。館内に7か所もレストランやバーがあるので、ホテルの中だけでも食い倒れられるという何とも私向けなホテルなのでした。
しかもそれぞれデザインもユニークで個性的なんだとか。せっかくだからすべて周ってみたい……なんて食いしん坊がほかにもいるのでしょうか。もってこいのプログラムが用意されていました。
Three of a Kindは「ザ・スタンダード バンコク・マハナコーン」で人気のレストラン3か所をハシゴしながら食事を楽しむ美食家のためのプログラム。まずは数々のレストランアワードを受けている「Motto 32 Bangkok」」で8種もの前菜をいただきます。
バンコクで中華?とちょっと意外に思っていたのですが、エビ蒸し餃子や焼売、チャーシューなどどれも本格的!聞けば、タイには中華系の移民も多くいるので、中華料理のレベルは高いのだとか。
続きまして(と言っても、点心8種いただいてほぼ満腹だったんですが)、メインはメインダイニングである「Grill The Standard」へ。アメリカの地下鉄をイメージした半ドーム型の屋根や、床一面に敷き詰められた1セント玉(通称ペニー)など、レトロモダンなデザインが印象的でした。
ここではスペシャリティであるビーフステーキをすすめられたのですが、ちょっとボリューム的に自信がなくてチキンのグリルをチョイス。このあとのデザートのことを考えてセーブしたかったのに、ついすべて食べてしまいました。だって、美味しかったんだもん。
さらに、〆のデザートはなんと76階にあるモダンメキシコ料理の「Ojo Bangkok」へ。ここにはバンコク最速というエレベーターで行くのですが、その分速なんと480m! バンコクの街を一望できるし、ここへ行くだけでちょっとしたアトラクション気分が楽しめます。
はしご酒には慣れている私ですが、さすがにレストランのはしごは疲れる…。胃腸を軽くせんと午後はフットマッサージに入ったり、ショッピングに出かけたり。
ほかにもホテル内のジムで毎日走ったりしたのですが、ちっとも身体は軽くならない。え、なんでって?
実はこちらのホテルのダイニング「Double Standard」での朝食は、アラカルトで食べ放題。つまりある日はガパオライスにパンケーキ、また次の日はアボカドトーストにタイヌードル…とまるで節操のない組み合わせが好きなだけ楽しめるという、実に危険なスポットなのでした。
ほかには、アリスのティーパーティーが行われそうなカフェ「Tease」でのアフタヌーンティーも質量ともに申し分なかったし、ホテルがかりで私を太らせようとしているのかしらん。
なんと帰国の日まで、早朝フライトだった私を気遣って、スタッフさんが車中で食べるお弁当を用意してくれていました。熱々のコーヒーとサンドイッチとフルーツ…おいしかったけど、もう私、おなかいっぱいだよ、パトラッシュ。
最後まで食べて、食べて、食べつくした「ザ・スタンダード バンコク・マハナコーン」よ、ありがとう。美食の街、バンコクへまたいつか帰ってきたいと思います。
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- 秋山 都さん 文筆家・エディター
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- 秋山 都