コロナ禍以降、増加傾向にある“ひとり旅”。特に、行き先が温泉地の場合、誰にも遠慮することなく名湯に浸かり、自由気ままな旅時間に癒されたい…と願う人も少なくないのではないでしょうか。これまで温泉宿ではひとり客は敬遠されることもありましたが、ウエルカムの宿があるのならぜひ知りたいところ!

そこで、温泉ジャーナリストの植竹深雪さんに“ひとり温泉旅が叶う上質宿”をピックアップしてもらいました。今回ご紹介するのは、三重県菰野町(こものちょう)ある「アクアイグニス別邸 湯の山 素粋居(そすいきょ)」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
公式サイト

アートな世界に泊まる!新感覚のひとり旅の世界へようこそ

名古屋から車で1時間ほど。三重県北部・菰野町に位置し、1300年以上の歴史を誇る湯の山温泉。その麓にて、極上の天然温泉と贅沢な食事を楽しめるのが、今回ご紹介する「アクアイグニス別邸 湯の山 素粋居」です。

「素粋居」の外観
個性溢れる12棟のヴィラが立ち並ぶ「アクアイグニス別邸 湯の山 素粋居」。
「素粋居」のフロント
「素粋居」のフロント。非接触の顔認証客室入退室システムにも対応(要事前登録)。

「『アクアイグニス』は、癒しと食をテーマとした複合温泉リゾート。そこから徒歩5分ほどにある別邸の『素粋居』は、露天風呂を備えた12棟のヴィラからなる美術館のような宿です。こちらでは“アートな世界に泊まる”という唯一無二の体験が叶えられます。

温泉は自家源泉を所有しており、泉質はアルカリ性単純温泉。空間プロデュースは陶芸家・造形作家の内田鋼一氏。そして、飲食は世界的なパティシエの辻口博啓氏やミシュラン星付きシェフなどそうそうたるメンバーが監修しており、全方位から最上級のおもてなしを提供してくれるという点で、旅慣れた大人の女性が満足できる要素満載です」(植竹さん)

客室「碉石」の室内
“石”がテーマの客室「碉石」の室内。

「客室の建築美も必見。12棟のヴィラは、土、石、漆喰、木、漆、和紙、硝子、鉄の8つの素材をテーマにしており、それぞれインテリアも間取りもすべて異なるというこだわりぶりです。

例えば、私が宿泊した『碉石(ちょうせき)』という客室では、建物内外の壁に地元の菰野石を大胆に使用しているほか、洗面台や露天風呂の浴槽なども石。自然とアートが融合したような独特の世界観に圧倒されますし、他の客室もどんな素敵な空間なんだろう…と好奇心をくすぐられます」(植竹さん)

客室「碉石」の露天風呂
客室「碉石」の露天風呂。

「客室に露天風呂が付いていて、夜中でも明け方でも好きなタイミングで湯浴み三昧できるのもうれしいポイント。しかも、ただ雰囲気がいいだけでなく、源泉かけ流しだから湯の鮮度も抜群です。

少しとろみのある湯が心地よく、気ままに出たり入ったりを繰り返すうちに、肌がすべすべになるのを実感できます。まるで美術館で温泉に浸かるかのような新感覚、非日常感もあいまって身も心も十二分に癒すことができました」(植竹さん)

“鉄”がテーマの客室「界鉄」の露天風呂。
“鉄”がテーマの客室「界鉄」の露天風呂。
客室「囲土」の外観
“土”がテーマの客室「囲土」の外観。
客室「白露」の室内
“漆喰”がテーマの客室「白露」の室内。
客室「木刻」の露天風呂
“木”がテーマの客室「木刻」の露天風呂。
客室「紙季」の室内
“紙”がテーマの客室「紙季」の室内。
客室「玄漆」の室内
“漆”がテーマの客室「玄漆」の室内。
客室「硝白」の室内
“硝子”がテーマの客室「硝白」の室内。

選べる5つの美食処でグルメ欲も満たす!

食事の選択肢が多いのも、「素粋居」に泊まる楽しみ。敷地内にそば切り、うなぎ、直火料理の店。そして、近隣の姉妹施設「アクアイグニス」内にイタリアン、割烹があり、5か所のレストランからチョイスできます。

直火焼きレストラン「HINOMORI(ヒノモリ)」。
直火焼きレストラン「HINOMORI(ヒノモリ)」。

「私は、直火料理の店『ヒノモリ』で夕食をいただきました。こちらの店は、フランスで活躍するシェフ・手島竜司氏が監修しており、伊勢海老や鮑、和牛など地元の高級食材を薪や炭の直火で豪快に焼き上げます。絶妙な火入れで素材のよさが最大限に引き出された料理の数々に感動しきりです。

レストラン「ヒノモリ」の料理の一例
レストラン「ヒノモリ」の料理の一例。

「ちなみに、別の機会に地産地消のパイオニア・奥田政行氏のイタリアン『サーラ ビアンキ アル・ケッチァーノ』も訪問しました。さすが奥田氏が手がけただけあって、地の食材の魅力を存分に生かしつつサプライズ感もあり、わざわざ足を運んでよかったと一皿ごとにしみじみ実感…。連泊して究極のグルメ旅をしたい人にとっても『素粋居』は満足度が非常に高いと思います」(植竹さん)

イタリアン「サーラ ビアンキ アル・ケッチァーノ」(左上)、割烹「露庵温味」(右上)、「そば切り石垣」(左下)、「うなぎ 四代目菊川」(右下)。
イタリアン「サーラ ビアンキ アル・ケッチァーノ」(左上)、割烹「露庵温味」(右上)、「そば切り石垣」(左下)、「うなぎ 四代目菊川」(右下)。

以上、「アクアイグニス別邸 湯の山 素粋居」をご紹介しました。個性溢れる美術館のようなヴィラで源泉かけ流しの露天風呂に癒され、一流シェフが手がけるレストランで美食を満喫したい人は、次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

※辻口氏の【辻】は「一点しんにょう」が正式表記です。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)