2024年の夏も真っ盛り。全国的に猛暑・酷暑のありがたくない記録を更新する勢いです。屋外での運動や長時間の作業はできるだけ避け、室内では快適な温度と湿度を保ち、栄養や睡眠をとって…など、夏バテや熱中症予防のための生活のコツは連日テレビなどで報道されていますね。冷えたスイカを食べるのも、熱中症予防のひとつの方法です。 今回は、7月27日の「スイカの日」にちなみ、おいしいスイカのお話です。ぜひ、ビジネス雑談に役立ててくださいね。

【目次】

最近は手軽に食べられゴミも出ない「カットスイカ」が人気!
最近は手軽に食べられゴミも出ない「カットスイカ」が人気です。

7月27日が「スイカの日」なのはなぜ?

スイカの生産者グループが消費の拡大を狙って制定したのが7月27日の「スイカの日」。スイカのおいしさも出荷量もピークを迎えるのは7月下旬。そのなかで、なぜ7月27日が選ばれたかと言うと、スイカを表面の縞模様を綱(つな)に見立てて「夏の綱」と表現し、これに「な=7」つの「つ=2」「な=7」という語呂合わせをしたのだそうです。


【スイカを漢字で書くと?原産国は?歴史は?スイカの基礎知識】

■漢字

「スイカ」は、漢字で「西瓜」と書きます。10世紀ごろにウルグアイから中国に伝わり、日本には室町時代以降に中国から伝来したようです。「西瓜」という当て字は、中国が日本の西側だからではなく、中国の西側から伝わったためだといわれています。ちなみに「南瓜」は「カボチャ」ですね。これも、中国の南に位置するカンボジアなどで生産されていたからとか。

■原産国と歴史

ウリ科の一年生つる草であるスイカは熱帯アフリカが原産といわれています。また、古代エジプトの王墓とされるピラミッドの中から種が発見されたり壁画に描かれていることから、当時から食され、大変貴重なものだったことがうかがえます。スイカは水分や糖分の補給源としてだけでなく、種に含まれる栄養素も重要だったよう。アフリカやエジプトから地中海沿岸地域、中央アジア、中近東へと伝わり、アメリカへはヨーロッパからの移民によって渡来したと考えられています。現在では日本はもちろん、熱帯から温帯地方にかけて広く栽培されています。

■実は美肌にも!スイカの栄養素

スイカには美容効果が期待できる栄養素がたくさん含まれています。嬉しい栄養面をみてみましょう。

・低カロリー:可食部100gで約40kcalと、ほかの果物に比べるとカロリーは少なめ。全体の約90%が水分です。

・ビタミンCとビタミンA:ビタミンCは抗酸化作用が高く、皮膚や細胞のコラーゲンをつくるのに欠かせません。日差しによる肌荒れやシミの予防にもつながります。ビタミンAには、目や皮膚の粘膜を健康に保つ効果があるので、健康的な肌を保ち、さらに免疫機能の維持にも期待できます。

・βカロテンとリコピン抗酸化作用が高いβカロテンとリコピンも豊富。リコピンの含有量は、平均してトマトの1.5倍にもなるのだとか。

・カリウム:体内の余分なナトリウムを排出する働きがあるので、利尿作用が高い栄養素。水分代謝を促し、身体のむくみや血圧の改善に期待できます。

・シトルリン:ウリ科の植物に多く含まれるアミノ酸の一種で、スーパーアミノ酸ともいわれる栄養素。血管をしなやかにする作用があるので、動脈硬化の緩和や血流の改善も。シトルリンにも利尿作用があります。

また、スイカの種のなかの白い部分には、葉酸やビタミンB6、マグネシウムといった栄養素が含まれ、最近ヘルシーおやつとして人気のドライシードのひとつです。

スイカに不足しているビタミン類は、D、K、B12など。これらはキノコ類や緑黄色野菜、豆類、魚介類で摂取できます。


【暑い日のビジネス雑談に役立つ「スイカの雑学」】

■おいしいスイカの見分け方

3つのポイントをおさえれば、甘くてジューシーなおいしいスイカが見分けられるようです。

1)縞模様がくっきり鮮明:緑地が濃く、黒い縞模様がはっきりしているものは健康に育った証拠。甘みが強い印でもあります。

2)ツルの周囲が盛り上がっている:完熟するとツルの付け根の周囲が盛り上がります。ツルの付根よりその周りが盛り上がっているものを選びましょう。

3)おへそが大きいのは食べごろ:ツルと反対側におへそのようなものがありますが、これが大きいものが食べごろとか。まだ小さいものは日持ちがするということですね。

■種が取りやすい切り方

表皮の縞模様部分に種が集まっているといわれます。縞模様に包丁を入れると、切り口に種が並んで取り除きやすいというわけ。

■スイカの名産地は?

出荷量でランキングすると、1位は熊本県。スイカは夏の果物…と思ったら、熊本県では3月から6月にかけておいしい「春スイカ」が主流なのだとか。日照時間が長く、盆地であることから昼夜の寒暖差が大きく、水はけがいい火山灰土壌で水がきれいと、スイカの栽培に適した土地なのです。

2位は千葉県、3位は山形県、4位は新潟県、5位は鳥取県。いずれも昼夜の寒暖差が大きい、水はけのいい土壌であるなどの環境が、スイカ栽培に適している土地なのです。千葉県は特にビニールハウス栽培の技術も高いのだとか。

■スイカはなぜ赤い?

これはもうおわかりですね。そうです、赤い果肉はトマト同様、リコピンが豊富な証。金時ニンジンや柿、ピンクグレープフルーツも、リコピン作用で赤いのです。ちなみにイチゴやリンゴ、サクランボの赤い色は、リコピンではなくポリフェノールです。

■千利休は無糖派

スイカに塩をかけて食べますか? これは少量の塩分で甘みを引き出すという食べ方ですが、中国では砂糖や甘いシロップをかけて食べることもあるのだそう。また、16世紀・安土桃山時代のわび茶の完成者である茶人 千利休が、飛喜百翁(ひきひゃくおう)という人物に招かれ、砂糖をかけて出されたスイカを供された際、「本来の味を生かすことこそ茶人のふるまい」と、その砂糖をよけて食したという逸話も。

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良く冷えた甘いスイカは暑さを軽減してくれるだけでなく、お肌や健康にも効果あり! 最近はひと口サイズで食べやすいカットスイカが、スーパーマーケットやコンビニエンスストアで買えますね。少量の塩をかけて食べれば塩分補給にも。おいしく食べて、酷暑を乗り切りましょう。

この記事の執筆者
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参考資料:『デジタル大辞泉』(小学館)/『日本国語大辞典』(小学館)/『12か月のきまりごと歳時記(現代用語の基礎知識2008年版付録)』(自由国民社) :