高田賢三のハッピーなクリエイションに心が躍る! 1970〜80年代のフォークロア作品は必見です!

’20年に逝去した高田賢三の生涯にわたる創作活動を振り返る回顧展。日本人ファッションデザイナーとして単身渡仏したのは1965年のことでした。世界を魅了したその自由で華やかなデザインに、生きる喜びを感じて。

Navigator:浦島茂世さん
美術ライター。All About「美術館」ガイド。
古今東西のアートに幅広い見識をもつ。最新刊は街角アートの歴史と魅力を紹介した『パブリックアート入門 タダで観られるけど、タダならぬアートの世界』(イースト・プレス)。

今月のオススメ「高田賢三  夢をかける」

初のブティック JUNGLE JAP の店内装飾 1970年 撮影/岩田弘行
初のブティック JUNGLE JAP の店内装飾 1970年 撮影/岩田弘行

1970年、パリで初のブティック「JUNGLE JAP」を立ち上げ。モード界の寵児に。


日本人デザイナーのパイオニアとして世界で活躍した高田賢三の、没後初となる大規模個展。幼少期から学生時代、パリに渡ってから、そして晩年にいたるまで、さまざまなトピックを織り交ぜつつ、その人生を紹介していきます。衣装展示もたっぷり。

1960年に若手デザイナーの登竜門「装苑賞」(第8回)を受賞した作品や、日本のきれを使った初期作品、渡仏後、70年代に自らのブランドを立ち上げてから次々と発表した「アンチクチュール」「ペザント・ルック」「ミリタリー・ルック」。そして、代名詞である70〜80年代のフォークロア作品も一堂に展示され、そのイメージの自由さ、無限の広がりに圧倒されます。

日本、中国、ルーマニア、ロシア、アフリカなど、世界各地の民族衣装にインスピレーションを受け、その魅力を取り込んで、自分にしかできないデザインを生み出す。多様性や包摂性が当たり前とされる今から見ると、高田賢三というデザイナーの先進性により驚かされます。

約20年にわたって集めたリボンを使って制作したマリエ(ウエディングドレス)も登場。思わず「かわいい〜!」と黄色い声を上げてしまうこと請け合いです。

高田が文化服装学院に入学したのが58年。同期には親友でありライバルでもあったコシノジュンコ、「NICOLE」の松田光弘、「PINK HOUSE」の金子功がおり、のちに「花の9期生」と呼ばれました。そんな時代の高揚感もまた楽しく、ファッションの魅力を改めて発見できます。(談)

1971-1972 秋冬 文化出版局 (C)High Fashion 1971年10月号 撮影/大西公平
1971-1972 秋冬 文化出版局(C)High Fashion 1971年10月号 撮影/大西公平

独特の色使いや柄の組み合わせで「色彩の魔術師」とも称された。

1982-1983 秋冬©RICHARD HAUGHTON
1982-1983 秋冬(C)RICHARD HAUGHTON

1982年秋冬のショーでは、約20年間にわたって集めたリボンを使い、マリエ(ウエディングドレス)を制作。花の刺繍が施された色とりどりのリボンのドレスは、1999年に行われたショー「30ans(トランタン)」でモデル・山口小夜子が着用した。

※高田賢三さんの【高】は「はしごだか」が正式表記です。


Information「高田賢三 夢をかける」

各年代を網羅する貴重な衣装展示と共に、幼少期から描いていた絵画やアイディアの源泉となった資料、衣装のデザイン画なども紹介。没後初となる大規模な回顧展。

開催期間:2024年9月16日まで開催中
場所:東京オペラシティ アートギャラリー

問い合わせ先

東京オペラシティ アートギャラリー

TEL:050-5541-8600(ハローダイヤル)

EDIT&WRITING :
剣持亜弥、喜多容子(Precious)
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