いよいよ冬本番。冷え込みが厳しく心身にとって過酷なこの時期に恋しくなるものといえば、やはり温泉ではないでしょうか。そこで、体や肌に蓄積したダメージをケアし、明日へのエネルギーをチャージするのにぴったりな“冬のご自愛宿”を、短期集中企画でご紹介! 温泉ジャーナリストの植竹深雪さんにピックアップしてもらいました。

今回ご紹介するのは、富山県氷見市にある「湯の里いけもり別館天座」です。

植竹深雪さん
温泉ジャーナリスト
(うえたけ みゆき)全国各地の3000スポット以上を巡っている温泉愛好家。フリーアナウンサー、温泉ジャーナリストとして、テレビ番組をはじめ、さまざまなメディアで活躍中。著書に『からだがよろこぶ! ぬる湯温泉ナビ』(辰巳出版)がある。
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車椅子のまま入浴可能!特殊装置を用いた貸切露天で体の芯から温まる

天然のいけす・富山湾に近く、漁業のまちとして知られる氷見。その市街地から少し奥まったところに佇む、1日2組限定の隠れ家風の宿が今回ご紹介する「湯の里いけもり別館天座」です。本館「湯の里いけもり」の建物の一部を改築し、「心と体に優しいユニバーサルデザインの上質な宿」をコンセプトに2022年にオープン。女将さんの「旅を諦めていた方にも温泉を楽しんでほしい」という温かな思いが込められていると植竹さんは話します。

「湯の里いけもり別館天座」の外観
「湯の里いけもり別館天座」の外観。

「近年、観光分野では年齢や障害の有無にかかわらず誰もが安心して楽しめる旅行“ユニバーサルツーリズム”が注目されていますが、こちらはまさにそのお手本のような宿。車椅子で移動しやすいように床はフルフラットで動線にも配慮されていて、家具の形状や手すりひとつひとつにもこだわっています」(植竹さん)

「湯の里いけもり別館天座」の客室
高い天井とユニークな空間デザインが印象的な客室。
「湯の里いけもり別館天座」の客室
片側の脚が1本のダイニングテーブルは特注。車椅子のまま席に着きやすいように…と細部までユニバーサルデザインを徹底。

「そして、何よりも画期的なのは貸切露天風呂。全国でもレアな特殊装置によって浴槽の床がエレベーターのように上下し、専用の車椅子に乗ったまま入浴することができるのです。極力段差をなくしてバリアフリーを謳う宿は数多くありますが、ここまで徹底しているところは類を見ません。脚が不自由な方でも湯浴みできるのは素晴らしいおもてなしだと思いますし、実際に涙を流さんばかりに喜ばれる方も多いのだそうです」(植竹さん)

「湯の里いけもり別館天座」の貸切露天
特殊な装置を施した貸切露天。

「泉質は、ナトリウム-塩化物泉。体の芯からよく温まり、塩のヴェールが肌表面をコーティングしてくれることで保温・保湿効果が期待できる湯です。ユニバーサルな機能面もさることながら、気候がよれけば満天の星空を眺めながらの湯浴みができるなど魅せ方にも優れた空間で至福のひとときを過ごすことができます」(植竹さん)

「湯の里いけもり別館天座」の星空観測小屋
敷地内には星空を観測するための小屋も。リクライニングチェアに横たわり、夜空を見上げてリラックス。
「湯の里いけもり」本館の露天風呂
本館の露天風呂。

「別館の宿泊者は、本館にある大浴場も利用可能。露天風呂には地元・氷見の杉を使った樽型サウナがあり、セルフロウリュもできます。サウナで血行を促進し冷えや凝りを解消できるという点でも冬の養生にぴったりでしょう」(植竹さん)

「湯の里いけもり」本館のサウナ
本館の樽型サウナ。

旨味が格別!冬の味覚・氷見寒ブリを味わい尽くす至福のひととき

「湯の里いけもり別館天座」で提供されるのは、“情土料理”。その土地で育った旬の食材で作られた料理を通じて、土地の文化を味わい、思いを巡らせてほしいという宿のメッセージが込められています。

寒ブリ
冬の味覚・寒ブリ。

「氷見では一年を通じて富山湾から水揚げされたばかりの新鮮な魚介を堪能でき、なかでも冬の味覚・寒ブリが絶品。“氷見寒ブリ”は重さなど一定の条件をクリアしたものしか名乗れないブランドで、ツヤツヤの見た目からして通常のブリとは別物です。脂のノリが極上で口の中でとろけるよう。ブリの固定観念を覆すほどの口福をもたらしてくれます」(植竹さん)

「湯の里いけもり別館天座」料理
低温調理で仕上げた氷見寒ブリに自家製の照り焼きソースと醤油ベースの泡を添えた一皿。

「丁寧に低温調理した創作料理やしゃぶしゃぶなど、さまざまなアプローチで寒ブリの魅力を堪能することができ、この味に出合えただけでも氷見を訪れた価値があった…と冬旅の醍醐味をしみじみと噛み締めることができました」(植竹さん)

「湯の里いけもり別館天座」の料理の一例
肉料理やデザートも手が込んでいる。写真のデザートには自家農園で栽培したりんごを使用。

以上、「湯の里いけもり別館天座」をご紹介しました。ユニバーサルデザインにこだわった上質な宿で体の芯から温まるとともに、冬の味覚・氷見寒ブリを味わい尽くしたい人は次の旅先候補のひとつに加えてみてはいかがでしょうか。

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WRITING :
中田綾美
EDIT :
谷 花生(Precious.jp)